広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

バス運賃値上げ

2009-03-05 19:15:23 | 秋田のいろいろ
秋田市内など秋田県中央地区で独占的に路線バスを運行する秋田中央交通が運賃値上げの手続きを始めたことが、今日、報道された。初乗りが140円から160円になり、全区間で値上げになるようだ。国土交通省の処理期間を考えれば、5月下旬から6月ごろには新運賃が適用されるとのこと。
また、通学定期券の割引率を40%から45%に上げ、負担軽減を図るようだ(一般定期券は30%で変更なし)。
距離に対する加算額も変更になるようなので、一律20円値上げではなく、それ以下、それ以上の区間も出てくるのだろう。

時期はずれですが、秋の竿燈大通りにて。

秋田中央交通の運賃値上げは1997年4月以来12年ぶりと報道されているが、その時は消費税率が3%から5%に変わったためであり、しかも初乗り140円は据え置きだったから、今回とは事情が違い、ひとくくりに12年ぶりと報道するのは違うと思う。
調べたら(同時期に運賃を改定していた旧秋田市交通局の場合)、1996年3月に初乗りが130円から140円に変わった時が、おそらく実質的な前回の運賃改定だと思われる(1年しか違わないけど)。ずいぶん長い期間親しんだ運賃だった。

地方バス事業者は原油価格の変動、少子高齢化、バス離れと厳しい状況に置かれていて、昨年、秋田県南部の羽後交通や青森県津軽地方の弘南バスも同様の値上げをしており、「中央交通にも来る時が来たか」という感じで、個人的には驚かなかった。
ただ、この不況下、さらにバス離れに拍車をかけ、乗客が減り、運行本数の削減や廃止など悪循環にならないかは心配だ。


中央交通の公式サイトにアクセスすると、運賃改定については掲載されていなかったが、報道されていない、別の情報が出ていた。
「3月末で乗継回数券の販売を終了する」というもの。「会社内部においても経費節減など努力を重ねて参りましたが、少子高齢化の進展・マイカー普及の影響から利用者減少に歯止めがかからず、収支の悪化を招いており、この度割引率の高い乗継回数券の販売を終了させていただきたいと存じます。」とのこと。

乗継回数券は、僕も存在を忘れていたくらいで、ご存じない方が多いと思うが、
2つの路線を乗り継ぐ際、その通しの距離で運賃を計算し、なおかつ10回分の値段で12枚綴りの乗車券を販売するというもの。有効期限があったはず。
元は中央交通の商品ではなく、旧秋田市交通局だけが発売していたものを同局の廃止に伴い、中央交通が引き継いでいる。
これ以外の秋田市内のバスの回数券は、無期限の金額式で区間に関係なく使える中で、この乗継回数券は利用区間が決まっていて、“オーダーメイド”の定期券的な回数券であり、異色な存在だった。
秋田市のバス路線は駅前に一極集中しており、駅で乗継ぐ人も少なくないので、「初乗り運賃の2度払い」が解消され、なおかつ回数券としての割引率もやや高く、乗客としては便利だったが、バス会社にしてみれば大損だっただろう。使わない僕には関係ないが、実際の利用者はどのくらいいて、負担増になる人はいないのだろうか。
今後、さらに収益が悪化して、羽後交通のように、割引率が高く便利な「買物回数券も廃止」なんてことにならないことを祈りたい。


公営交通事業から手を引いてしまった秋田市だが、「公共交通政策ビジョン」とやらを作成し、新しい交通のあり方は考えているようだ。バス路線や運賃体系の再編も考えられているようだが、それ以前に、バス会社の経営自体がうまくいかなければ話にならない。


ともかく、全国的に見れば、(100円バスなど定額制は別として)初乗り140円というのは安い部類に入ると思うし、中央交通さんは今までよく努力して経営してきたと思う。秋田市の公共交通の主力を担う企業として、今後の安定経営を期待している。ついでに、案内など「乗客の立場に立って」分かりやすくしてもらえれば・・・

(秋田市に限らず)普段、車で移動するみなさんも、何かの機会にたまにはバスや鉄道など公共交通機関を利用してほしい。地元住民としての、数少ない、そして最も直接的な鉄道・バス会社を応援する方法なのだから。

【6月4日追記】国土交通省東北運輸局から、値上げが認可され7月1日から実施される旨が発表された。(同局サイトにpdfファイルあり。一部で報道もされている。4日夕方現在、バス会社の公式サイトには記載されていない。→と思ったら5日朝にはpdfで役所みたいな形式の文書が掲載された)
【6月23日追記】秋田駅前バス乗り場には、20日付けで運賃改定の告知ポスターが掲示されていた。(ホームページとは別形式。回数券の発売・使用方法に変化がないことも併記。一部車両の車内にも掲示)ポスターの内容など、値上げ1週間前の確定事項をこちらの記事に載せてあります。併せてご覧ください。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 秋田花まるっ | トップ | 雄物川早春 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
住民が提案する必要性 (Unknown)
2009-03-05 20:58:10
この報道をする1週間くらい前に中央交通へバスのサービスに対するアイデアなどをメールし、提案をしました。利用者として秋田市の公共交通問題は非常に危機感をもっています。私が提案したのはお金をかけずに、サービス向上をする方法です。ホームページに掲載されていない男鹿・秋田市西部委託路線の時刻表の掲載や運転士のマナー向上などです。他にも提案したいことがあり魁に投書をしようと考えています。少なくとも見やすい時刻表を作る必要があるでしょう。
返信する
同感ですが・・・ (taic02)
2009-03-05 21:30:05
実は僕も昨年、公式サイトの時刻表検索のしにくさと表示内容の誤り、運転士の接遇について、メールしたことがあります。
ところが、サイトの間違いは直してくれましたが、中央交通からの反応(返信)がなく、客に対する対応がそんなものかとがっかりした経験があります。今どきお役所だって丁寧な返信をくれるのに・・・
社外モニターに応募しようとしましたが、条件にある「月に15回以上バスを利用する人」ではなくあきらめました。
公共交通機関として努力はしているのでしょうが、そういうわけで、実はちょっと不信感を持っているところです。
折をみて、また秋田市の交通を記事にしていくつもりです。
返信する
社外モニター (あどれ)
2009-03-06 12:44:11
月に15回以上利用しないと応募されないの?へ~、知らなかった。何の基準で月15回なんでしょう。少ない回数でも市民のご意見は実現は難しくても聞き入れるべきだと思うけどね。
返信する
常連さん (taic02)
2009-03-06 18:59:39
常連さんの意見しか聞きません! ってことなんでしょうか。
毎日乗るけど漫然とぼけーっと乗ってる人(それが普通です)よりも、週1~2回しか乗らない僕の方がいろいろ見ている自信はあるんですけどねー
担当営業所の違ういろんな路線に乗るので、気付くことだってあるし、他のバス会社に乗って気付くこともあるので、常連以外の意見にも耳を傾けて、返事くらいはしてほしいものです。
返信する
Unknown (Unknown)
2017-08-12 09:49:27
乗継回数券が廃止されたのを思い出して、秋田に導入されるIC乗車カードに、乗継割引のような機能を付加してほしい。

icscaだと地下鉄とバスの乗継で30ポイントが付与(バス同士の乗り継ぎポイントはない。地下鉄の乗換は、南北線と東西線の通しの距離で計算されるので、料金上の乗継乗車の制度はない)、りゅーとだと、バス同士の乗り継ぎで、区間によって条件は異なるものの、30円ないし60円が偶数回目に乗車した側から値引きするということを行っています。
※ 仙台市交通局と宮城交通の双方がかつて発行していた「スキップカード」は、後から乗車した方が40円引かれる制度でしたが、「スキップカード」自体にはプレミアムが全くありませんでした。
※現金の場合は、バスが先の場合は、バスの運賃と地下鉄の1区(初乗りの200円)分の通しの運賃(合算額-40円)を支払って、1区までの切符をバスで発行する仕組みとなっていて、地下鉄を2区から5区の区間で降車する場合は、降車駅の改札を通る前に精算機で残りを払う仕組みになっていました。
※現金の場合で、地下鉄が先の場合は、券売機でバス乗継用の切符(地下鉄運賃+150円-40円)を購入し、乗継先のバスで初乗り運賃の150円を超過する分と改札を出たときに排出された切符を一緒に運賃箱に入れる仕組みになっていました。

どちらも、ICカードの導入で、最初の降車から1時間以内に次の乗換先に乗車をするのが条件だったと記憶しています。

乗継割引相当分が30円や60円程度というのが、高いのか安いのかが分からないのですが(ないよりは当然いい)、本来の乗車分のプレミアなりポイントなりがどうなるかによって効果が高まるんでしょう。

この辺りは、注視したいと思っています。
返信する
乗り継ぎ (taic02)
2017-08-12 14:41:44
路線が秋田駅西口に一極集中している秋田市では、乗り継ぎへの優遇がほしいですね。
秋田市公共交通政策ビジョンでの検討対象にはなっていて、IC乗車券導入時にも考えてはいるはずです。運賃を乗り継ぎ前後で通しで計算するということかもしれません。
それこそないよりはあったほうがいいですが、実際どうなるやら。

個人的には、同一バス停でなくても、位置的に近いバス停間(新屋割山方面「赤れんが館前」と新国道方面「交通公社前」など)での乗り換えも対象にしてほしいです。
返信する

コメントを投稿