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デジアナ変換終了

2015-03-22 21:04:41 | その他もろもろ
テレビの地上波アナログ放送は、2011年7月24日で終了。東日本大震災のため延期された岩手、宮城、福島各県も1年後には終了していた。
しかし、その後も、ひっそりとアナログ放送は続いていた。

上のリンク先でも取り上げた「デジアナ変換」である。
2015年3月までの期限付きで、ケーブルテレビ局がデジタル放送をアナログ放送に変換して、加入世帯へ送信するもの。加入世帯では従来と同じく、アナログチューナーしか内蔵されないテレビや録画機器を使って、地上波放送を視聴できていた。
※自社制作のコミュニティチャンネルやBSなどは変換されないので、視聴可能チャンネルは減った。秋田ケーブルテレビ(CNA)の場合、区域外再送信のTBS系列・IBC岩手放送は変換された。
移行期に製造されたアナログ・デジタル両対応のテレビでも、(あえてやる意味はないが)デジアナ変換を見られた
デジアナ変換は、総務省が各ケーブルテレビ局に要請して実施したもので、どうも、そのための機器などに補助金も出ているらしい。
目的は、テレビの買い換えや廃棄を遅らせて、消費者や関係業界の負担を分散させること。

(この段落は以前の繰り返しで、総務省やケーブルテレビ局に対する苦言です)
しかし、CNAは、アナログ放送終了の1か月前になって、いきなり「デジアナ変換します」と公表し始めた。総務省では、少なくともその半年前に、CNAがデジアナ変換の実施事業者として決定していたのに。
当時の国民は、CMやエコポイントなどで「地デジ化」をさんざんあおられていたわけで、1か月前、あるいは半年前なら、既に対策済みの人が大部分のはず。そこに来て、「加入者はあと4年、アナログテレビが使えますよ」と言われては、ガックリくる。
中には、アナログテレビに外付けのデジタルチューナーを接続して地デジ化をした人もいたと思われるが、デジアナ変換されるのなら、チューナーは不要な出費になってしまうのだから。
税金が投入される事業でもあるのだから、やるのなら、充分に周知をしてほしかった。総務省にしてもCNAにしても。


そんなデジアナ変換も、終わりの時が来た。
一般社団法人デジタル放送推進協会では、ホームページで「あなたのテレビ本当にデジタル?」として告知を行い、久々に地デジ化キャラクターの鹿の「地デジカ」が登場している。CNAのコミュニティチャンネルでも、地デジカが出るCMが流れていた。(コミチャンは上記の通りデジアナ変換されない。デジタルで見ている人に対して、他の部屋のテレビのことを気づかせる目的なんでしょう)

デジアナ変換は、2015年3月末で全国一斉に終わるわけではない。
同ページによれば「2015年3月までに終了」とあり、さらに「1月、2月、4月に終了する地域もあります。」だそう。

さらに、3月12日付秋田魁新報経済面によれば「県内では17日午後2時に終了する。」。
CNAのほか、由利本荘市CATVセンター、大館ケーブルテレビの3局がデジアナ変換していたそうで、一斉に終了した。
新聞記事では、CNAで「推計200~300世帯でアナログテレビが視聴できなくなる」、他2局は「サービスを受けている人が少数いるとみられる。」としている。
CNAの200~300世帯というのは、それらの家で「まったくテレビが見られなくなる」という意味ではなく、「その世帯でどれか1台でも映らなくなるテレビが発生する」という意味だろうか。
CNAのデジアナ変換画面。我が家では微調整していないせいか、チャンネルによってはちらつきが出た
デジアナ変換終了直前の頃は、画面の上下の黒帯を使って、終了を告げる黄色い文字が表示された。(デジアナ変換は、その意義からしてアナログ時代の4対3の画面比率での放送なので、16対9の横長テレビでそのまま見ると四辺とも黒枠が挿入された)
上段には「3月17日午後2時放送終了」。
下段はスクロール表示で「ご覧の放送は、まもなく観られなくなります。マル1デジタルテレビ購入 マル2地デジ録画機等購入 マル3ケーブルテレビへのご加入のいずれかの対応をお急ぎ下さい。お問い合わせは、秋田ケーブルテレビ 0120-…」という文面が、流れ続けた。問い合わせ先電話番号はCNAのもの。

デジアナ変換を見ていた人が、変換終了後に対処できることは3つ。
「アナログテレビをやめて、デジタルテレビに買い換える」「外付けチューナーやレコーダーなどを接続して、アナログテレビを継続使用」「ケーブルテレビ局と契約し、セットトップボックス(STB。要はデジタルチューナー)を借りて接続し、アナログテレビを継続使用」が想定される。
3番目については、デジアナ変換を見ている時点でケーブルテレビと既に何らかの契約をしていることになるが、STBをもう1台使えるようにするなどの「追加契約」をするという意味。

この3点について、デジアナ変換終了を告知する時と場所によって、順番や言い回しが異なるのが、気になる。
上記の通り、CNAの画面では、買い替え、録画機等、加入の順。「ケーブルテレビへのご加入」という表現が分かりにくく、「追加契約」とするべきだ。
CNAのホームページでは、STB設置、買い替え、録画機等。
CNAから加入者に送られたメールでは、買い替え、録画機またはチューナー購入、STB設置。
デジタル放送推進協会ホームページでは、ケーブルテレビ局と契約、買い替え、チューナー購入。言い回しは、こちらのほうが誤解しにくい。
統一感がないし、知識のない人は混乱するかもしれない。


17日14時になって、CNAでは予定通りデジアナ変換が終わった。
ぷっつりと停波するのかと思ったらそうではなく、地デジ終了直後と同じく、青画面に告知が表示されている。画面サイズは4対3で、左右に黒帯。音声やBGMはなし。
デジアナ変換していた各チャンネルとも同一(CNA側で入れているんだからそれで当然)
文面は、地デジ終了時に民放各局が表示していたものと似ている。問い合わせ先はCNAのほか、総務省のコールセンター(地デジ終了時と同じ番号)も表示されるので、総務省作成のひな形でもあるのだろう。
22日現在も同じ画面が表示されている。例えば31日まではこうなんだろうか?
【5月13日追記】その後、5月13日に思い出して見たら、完全な「砂嵐」になっており、送信が停止していた。


20日付秋田魁新報社会面で、「ケーブルテレビ「デジアナ変換」終了/県内3社問い合わせ2日で134件」と報道された。
加入者からの問い合わせが、デジアナ変換が終わった日とその翌日だけ(17・18日)で、CNA44件、大館63件、由利本荘27件あり、「19日現在も問い合わせがあ」るとのこと。
大館は「(問い合わせは)ほとんどが高齢者世帯からで、職員約10人が家庭を訪問し、対応チューナーなどへの接続作業などを手伝った」。

デジタル・アナログ両対応のテレビなのに設定や操作を間違えてデジアナ変換を見続けていたようなケースや、難視聴対策で自ら契約しないで意識せず視聴している世帯もあるのだろうが、デジアナ変換を使っていた人がそれなりの数存在し、そしてそれが終わったのを知らなかった人もそれなりにいたのか。
世の中にはいろんな人がいるということを忘れてはいけないし、何かをやる時はそういう人を取りこぼさないように配慮しなければならないもんだ。


それにしても、デジアナ変換の費用対効果はどうだったのか。
12日の記事の推計では、デジアナ変換を使っていたのは各ケーブル局当たり「200~300」もしくは「少数」。それだけのために、税金を含む費用をかけてデジアナ変換していたのはどうなんだろう。
事前に余裕を持って充分に周知すれば、もっと利用者が増えて、より意味があるデジアナ変換になったかもしれないし、逆に地デジ化キャンペーンをもっときめ細かく熱心にやれば、デジアナ変換などしなくて済んだかもしれない。



さて、この記事の写真のテレビ画面は、アナログチューナーも内蔵したデジタルテレビのもの。
地デジ開始が全国一斉でなかったこともあり、移行期間に発売されたテレビは、両方のチューナーを内蔵したものが多かった。家電エコポイント(2010年まで)があった頃のテレビは、たいていそうではないだろうか。
今にして思えば、アナログチューナーが無駄になるし、後の機種と比較して筐体の枠のサイズがわずかに大きかったり、チャンネル切り替えのタイムラグがややあったりする。エコポイントを当てにせず、ギリギリまでアナログテレビを使い続け、少しでも使いやすくなった後発機種を買ったほうが良かったかも…(日本の家電製品がわずかながらも着実に進歩していることは喜ぶべきだろう。4Kなんかより、そういう細かな使い勝手を改善してほしい)

そうした両対応のテレビのリモコンには、アナログ放送に切り替えるためのボタンがある。BSやCSに切り替えるのと同じように。
(冒頭の再掲)
写真はPanasonicビエラのリモコンで「アナログ」とある。他にシャープアクオスは「地上A」、東芝レグザは「地アナ」と表示していたようだ。

ちなみに、テレビのリモコンは、同じメーカーならば機種が違っても共通で使用できる場合がほとんど。でも、地上波のアナログとデジタルが関係するとどうなるか。【分かりにくかったので、23日に以下の文面を改訂】
メーカーによっては、リモコンのチャンネルの数字ボタン(1~12)を押すと、「アナログ」「デジタル」の区別なしに、チャンネル番号だけが送信されるので、その場合は問題ない。
Panasonicのテレビの場合、数字ボタンだけを押した時でも[直前に押していた放送種別と数字]が同時に送信されるようだ。単に「1」ではなく、[地上デジタルの1]とか[BSの1]とか。(そのせいで、直前に電子番組表を見た時とか、本体や別のリモコンで放送種別を切り替えた後は、意図しないチャンネルに切り替わってしまうことがある)(同社製のレコーダーやSTBでは、数字だけが送信されるようだ)
では、Panasonicの地デジチューナーのみ(アナログ非対応)のテレビに向けて、以前の機種のリモコンで[地上アナログ+数字]を送信するとどうなるか。
どうも、デジタル専用テレビでは[地上アナログ+数字]を受信しても、[地上デジタル+数字]と読み替えて動作するらしく、地デジのチャンネルが切り替わる。(ただし「アナログ」ボタンを単独で押した場合は、反応しないようだ)
したがって、昔の「画王」などアナログ専用テレビのリモコンを用いても、現行ビエラの基本的操作(電源や音量は元から同じ信号)は可能なはずだ(実際にどうなるかは未確認)。


アナログ・デジタル両用テレビでさし当たって少々困るのは、何かの拍子にリモコンの「アナログ」ボタンを押してしまうこと。
今までなら、いつの間にかデジアナ変換の映りの悪いものを見ていたということになるし、これからは砂嵐になってしまう。
この点は、対応できる機種もある。
ビエラでは「受信対象設定」という設定項目があり、そこで「地上アナログ」を「使わない」にすれば、リモコンからアナログ選局の信号を受けても、無視してくれる。
同様に、アンテナをつないでいないBS/CSでも設定可能
東芝レグザ(一部機種)では、「地アナ」ボタンだけをフタの中に入れて、押し間違いを防ぐ策が取られていたようだ。



今後は、アナログチューナー内蔵機器も、外部入力端子に他の機器をつないで、使い続けることはできる。
でも、その内蔵チューナーを使って受信することは極めて少なくなるだろう。昔のビデオデッキとかゲーム機から、外部出力端子の代わりに1または2チャンネルとかに出力する「RF接続」でもしない限り。

アナログ放送が過去のものになると見納めになるものがいくつかある。映像が二重になるゴーストや画面に雪が降ったような受信障害(デジタルの受信障害はモザイク状のノイズ)、停波時の「砂嵐」(※末尾参照)、VHF/UHFの区別(地デジは全部UHF)など。
※BSデジタル放送で大雨が降っている時に出るようなモザイク状の画面の乱れは「ベリノイズ」「ドロップノイズ」だそうで、「ブロックノイズ」と見た目は似ているけれど別物だそうだ。ブロックノイズはJPG画像を圧縮し過ぎた時に起きるヤツ。

地デジ化によって、ほとんどの地域で放送局(民放の系列局)とチャンネル番号の関係が統一された。NHK総合が1、Eテレが2、日テレ系が4、…と。
青森や名古屋では引き続き「1」が老舗民放局であるように例外もある(なんで変更しなかったんだろう?)ものの、かつては首都圏では2チャンネルが空きチャンネルだったとか、秋田放送が11チャンネルだったとか、はたまた地方ではUHF局をどのリモコン番号に割り当てるか世帯によって違っていたり、そんなものも過去の話。
電球・蛍光灯、二槽式洗濯機、ワープロ専用機、カセットテープ、ダイヤル式テレビ、レコードのような存在に、4対3のテレビ、ブラウン管テレビ、アナログ放送も含まれていくのだろう。
砂嵐 ※表示されているチャンネル設定はアンテナ受信とCNAデジアナ変換の中途半端な状態
アナログ放送を受信できる機器がある限り、砂嵐だけはもうしばらく“見られる”わけか。(砂嵐状態だと自動的にブルー画面になる機種もある)

【28日追記】28日に折り込まれたヤマダ電機のチラシでは、「お手持ちのテレビにデジアナ変換表示が出ていませんか?」「デジアナ変換サービスは3月までに終了します!」などと、秋田でまだデジアナ変換が見られるかのような文言が出ていた。
各地域の現状を把握せずに、全国一律で入れているのだろう。(一部地域では4月まで実施されることは記載されている)

【4月5日追記】アニメ「サザエさん」の磯野・フグ田家の茶の間のテレビは、2015年4月時点でも、まだ4対3画面どころか、ブラウン管式(と思われる分厚いボディ)で、昭和50年代前半頃まで多かった木目調ボディのいわゆる「家具調テレビ」。選局はダイヤルではなく本体のボタンを押すようだが、リモコンはない。

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2 コメント

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CATV (あんなか)
2015-03-23 22:03:24
CNAは今度コミュニティチャンネルを増チャンネルさせるそうで今日23日から試験放送開始。
でも高齢者では設定が出来ず悩む方、増チャンネルさえ知らない方もいそうですね。
CNAでは全県に光ネットラインサービスを開始しますが
勘違いされて全県でケーブルテレビが利用出来ると思い込んで
TBS系のIBCが視聴できると思ってガックリされる県南内陸部の方もいらっしゃるとか。
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コミュニティチャンネルと光卸 (taic02)
2015-03-25 00:08:40
コミチャンのことは、冊子のチャンネルガイドに書いていましたが、よく読んでいません。
ちょっと視聴してみましたが、試験放送だからなんでしょうか。小画面が小さすぎて拡大できず、文字が読めないものもあるような…

ネットは「光卸」ってやつですね。
ケーブルテレビ局であるからには、テレビサービスが第一というイメージはたしかにあります。物理的・法的制約もあるのでしょうが、まぎらわしいですね。
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