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EV-E801系乗車

2017-03-13 20:47:38 | 秋田のいろいろ
3月4日からJR東日本・男鹿線で運転を開始した、蓄電池式電車EV-E801系。※車内などの様子
4日から3~4日ほどは車掌が乗務していたようだが、その後はワンマン運転が行われているようだ。ただし、トラブルに備えてか、現段階では乗務員が複数名乗るのが基本のようだ。

遅ればせながら、秋田から土崎まで1駅だけ乗ってみた。

正面の行き先表示は、展示会時と同じ路線・愛称名に加え、「ワンマン 男鹿」が交互に表示。
なお、運行開始間もない頃に、走行中のところを見たら「普通 男鹿」の固定表示だった。

側面表示は、展示会時とは「男鹿線」の位置が異なり、愛称といっしょに枠の中。

正面にはヘッドマークが貼られた。
ナマハゲの包丁がEV-E801系
改めて車内。
ドア開閉時は、車内側のドア上部が赤く点滅。
開閉チャイムは、JR東日本では初採用の音らしいとのことで、たしかに耳慣れない音。「ピンポン、ピンポン」と2回鳴るが、1回目と2回目の間の間隔が長い。ドアボタンを押した直後に1回目、ドアが動いている時に2回目といった感じ。
首都圏の電車は、もっとせっかちに3回繰り返すようだ。

展示会の時、「つり革が多めでちょっとうるさい」という印象を受けたと書いた。
今回、それはうるささだけでなく、「圧迫感」によるものであることも分かった。701系よりもキハ40系よりも、天井が少し低い(床から天井までの距離が短い)ようで、特に立っているとややきゅうくつに感じることが分かった。【4月4日追記】改めて乗ってみると、低くもないような気もする。天井に凹凸が少なく真っ平らな感じはした。
赤いほうのパンタグラフの下は、さらに少し低くなっている。といっても、身長2メートルとかじゃない限り、頭がつっかえるわけではない。
そんな関係か、ドア上の掲示スペースが701系などよりやや狭く、ワンマンカーの利用方法の掲示や路線図は、縮小版が掲出されていた。


ワンマン自動放送。
英語入りながらJR東日本標準タイプとは別仕様で、新潟支社(のやや古い車両)と同じとかいう噂だった。
実際のところ、日本語放送は、なんのことはない、従来の男鹿線のキハ40系、奥羽本線・羽越本線の701系と同じ女声。富士急バスや松江市営バスも同じ人。
ということで、「レゾナント・システムズ(旧・ネプチューン)」という、放送機器メーカーのものだと思われる。

従来のキハ40系の男鹿線は、おそらく701系と共通の音声データを使っている。
「電車」を「列車」と差し替えているのは芸は細かいが、音声データの圧縮率が高いようで(それにスピーカーの性能も悪そう)、クリアさには欠けた。
EV-E801系は、新たに収録し直したもので、言い回しも内容も701系と違うし、音声も明瞭。
英語は女声。どこかで聞いたことがある声のような気もするけど…
【6月12日追記】従来のワンマン放送では、冒頭にピンポーンとチャイム音が鳴ってからアナウンスが始まっていたが、EV-E801系ではチャイムなしでいきなりしゃべる。

あと、これも天井の関係か、椅子部分の車内放送用スピーカーは、天井ではなく、壁の天井際に設置されているようだ。
乗った時は、音量がやや高めの気がしたが、そのせいか、天井か壁の一部が、声に合わせてビリビリと振動してしまっていた。不快なわけではないし、低くて聞き取れないよりはずっといいけど。


警笛。
鉄道車両の警笛は、空気を送って笛を鳴らすものが多かったが、近年はスピーカーから音を流す「電笛」が増えている。
EV-E801系は電笛。首都圏の電車のものと、同じだろうか。「ぱーん」みたいな音。
秋田では電笛は、リゾートしらかみには搭載されていたかもしれないが、少数派。吹雪の中では、笛のほうが音の通りがいいという話を聞いた記憶があるけれど、どうなんだろう。
【4月4日追記】空気笛も搭載されていた。おそらくペダルを軽く踏むと電笛のみ、強く踏み込むと電笛と空気笛両方が鳴るようだ。

秋田支社では、ワンマン列車が発車する時は、必ず警笛を短く鳴らす決まりになっているようなので、各駅で電笛を聞くことができる。
ほかに、秋田-秋田貨物駅間、秋田工業高校近くの旭川橋梁(というかそのたもとの踏切?)を通過する前には、運転士の所属運輸区によっては鳴らすことがある。JR貨物や弘前運輸区の人は、まず鳴らさないみたいだが、この列車は秋田運輸区担当か、2度遭遇して2度とも鳴らしていた。【6月12日追記】5月以降辺りは、EV-E801系では鳴らさないことが多くなった気がする。701系などは変わらず鳴らしている。


乗り心地は評判通り。一般的な電車と違わない。加減速はスムーズで、走行中の揺れや振動も穏やか。赤い「EV-E801」形のほうにモーターを積んでいるそうで、そちらに乗ったのだが、モーターやインバーター類の音も気にならなかった。
ディーゼルカーのキハ40系と比べてはかわいそうだけど、701系電車と比べても、車内が静かだし、不規則というか突発的な揺れがなく、良好な乗り心地。

ただ、あんまりスピードが出ていないことに気づいた。
そうだった! 現在のダイヤは、キハ40系当時のものを踏襲していて、高性能のEV-E801系にとっては余裕があるのだった。早着しないよう、控えめに運転していると思われる。
性能いっぱいに本気で走ったら、また違う印象になるのかもしれない。だけどそれは、車両が増備されて、専用のダイヤが設定されるまでおあずけ。

車内に電源の供給状況を示すディスプレイがあると紹介したが、走行中は電車が走る(正確には背景が流れる)アニメーションになっていた。
今回は画面左に向かって走っていたが、上り電車だと逆向きになるのかな?


土崎駅までの乗車では確認できなかったが、赤信号の手前で運転席内で鳴るATS(列車自動停止装置)のベルとチャイムの警告音も、この電車では、本物のベル・チャイムでなく、スピーカーから録音した音が流れるとかいう話も目にした。いずれ確認。

あと、前回の運転席付近の外観の写真を見ると、この電車には、安全装置として「ATS-P」も搭載されている旨が表示されている。
ATS-Pとは、速度に応じて作動する、より安全性を高めたATS。秋田-男鹿間では、線路側では対応していないから不要なのに、車両側に搭載されているのが珍しい。【奥羽本線にATS-Pが導入される計画があるとのこと。コメント欄参照】


乗り合わせた沿線のみなさんも、乗降などで戸惑う人は見かけなかった。男鹿線内の無人駅ではちょっと心配だけど、とりあえず順調に浸透していそう。
ネット上で、鉄道に興味がない沿線の利用客や住民の反応を少し見てみると、マスコミの報道や駅のポスターのせいか、認知度は高い。そしてその評価はことごとく好意的。
「きれい」「男鹿線が都会になった」「ドアが3つで(奥羽)本線並みになった」「(放送で)英語しゃべってて激アツ」といった表面的なことだけでなく、「静か」「揺れなくて快適」といった本質的な部分で改善されたと感じる人も少なくない。蓄電池電車というメカニズムをご存知なのかは分からないけれど。
たまたま乗り合わせて「この車両で毎日通いたい」という声も。
ロングシートになったことへの不満の声があるかと思ったが、見当たらない。既にキハ40系の一部をオールロングシート化している“効果”か?(ネット上の声は若い人のものが多く、ボックスシートに対するなじみやこだわりが低いのも一因だろう。年齢層が高い人たちはどう感じているか…)

否定的な声として「(新車)臭い」というのは仕方ないけれど、「扉開閉のたびに(ドアチャイムが)ピンポンピンポンうるさい」という男子高校生の声があった。でも、それってキハ40系だってそう(後付け改造なので全車で鳴るわけではない)でしょ。「キンコーンキンコーン」と刺さるような音で、あっちのほうがずっとうるさいと思うけど…
「単なる車両更新。別にスピードアップするわけじゃないんでしょ」というものあったが、それは予備車両がない現段階での話。上記の通り、車両の性能はアップしたのだから、増備されれば対応したダイヤになってスピードアップすると思われる。また、乗り心地と環境性能も向上しているわけであって、「単なる車両更新」ではない。

男鹿線の全車両が新しくなったと勘違いし、「男鹿線に乗ったけど、古いのだった」という方も。
今後、点検整備で運行されない日(キハ40系で代走)が生じるはずだが、遠方から乗りに来た人などをがっかりさせてしまうことになる。ホームページやせめて改札口などで、「運行しない日」を告知したらどうだろうか。【5月24日追記】計画的な代走がある時は、その旨、事前に駅に掲示が出されているとのこと。

そして、予備知識がない旅行客などがEV-E801系に乗り合わせたら、どう感じるだろう。外観の色以外はただの電車だと思われて、何の感想も持たれないで終わってしまうかもしれない。
秋田支社の駅で配られるきっぷ袋もEV-E801系
この袋の左右にあるナマハゲの顔は、男鹿線全線開通100周年のマーク。ナマハゲの横顔を秋田県の形に見立て、鼻の部分の線が男鹿線。
このマークはキハ40系の側面中央窓下にも貼られている。【5月24日追記】秋田駅の場合、5月までには、従来の袋に戻った。

【4月4日追記】運転席と客席の境界は、いちおう壁状に区切られている。中央部分は、既存車両同様運賃箱が仕切りを兼ねているが、その上部も、扉状に動く枠付きの透明ガラスで仕切ることができる構造。
ところが、この仕切りガラス(の枠?)があることにより、運転士が客の乗降をミラーで視認しづらいようで、実際にはその仕切りを助士席側へ固定して(仕切りとして使わず)運行しているという話を聞いた。(あるいは、この仕切りは車掌乗務時に使うものであって、元からワンマン時は開ける設計なのかもしれない。運賃収受時に客とコミュニケーションしにくそうだし)【5月24日追記】運転士によって対応が違うようだ。本来はドアを閉めて、無人駅での降車扱い時は、ガラスだけを開けるのが原則らしい。

【6月12日追記】天井の照明は、棒状のLED。一般的な従来の蛍光灯よりは細く、コンビニなどに設置されているLED照明に似たもの。メーカーのロゴは、日立かと思いきや、運賃箱や運賃表示器と同じ車載機器メーカー「レシップ」のものだった。

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4 コメント

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旭川橋梁 (りお)
2017-03-14 00:08:32
旭川橋梁のたもとの踏切で、私が中学生の時に人身事故がありました。あの時はまだ踏切に遮断竿がなく、朝、警報器が鳴っていた時に高校生が進入したのでした。
それからすぐ遮断竿のある踏切に切り替わりましたが、事故発生後からは列車があの地点を通る時にはほぼ必ず警笛を鳴らすようになったはずです。
きっと運転士さんは「ここで昔事故があった」と勉強するなり、先輩から聞くなりしているのでしょうね。
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Unknown (HARU)
2017-03-14 09:49:23
新しい男鹿線(電車)は、見るたびに子供が小学生の時に使っていた「赤青えんぴつ」をおもいだします
自学ノート(家庭学習)の丸つけを親がやることになっていたので…
新型車両なのに、懐かしさを感じながら見ています 笑
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ATS-P (ax)
2017-03-14 20:43:06
今回のEV-E801系のATS-P搭載は、今後奥羽線(秋田~青森)及び羽越線(秋田~新発田)にATS-Pが整備される予定となっている為だと思います。
現在701系(5000番台を除く)はATS-Psを装備しており、ATS-Pは装備していませんが、今後秋田に新車が登場時はATS-Pが搭載されそうですね
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コメントありがとうございます (taic02)
2017-03-14 22:28:30
>りおさん
警笛自体は、それ以前(少なくとも1995年)から鳴らしていたような気がします。
以前は、土崎駅北の松田踏切(2006年廃止)、追分駅南の踏切など、本線でも遮断器はおろか警報機もない踏切があって、そこでも鳴らしていました。

>HARUさん
ネットでは、小学校の理科で使う「棒磁石」を連想した人がいましたが、棒磁石はどちらかと言えば赤と黒。
色の組み合わせや光沢具合からして、赤青鉛筆のほうがふさわしい表現ですね。削る前の。
今は使用頻度に応じて、半々じゃなく赤部分が長いものもあるそうで。30年前はなかったかな…

>axさん
ほう。そんな計画があったのですか。その備えとすれば納得です。
既存車両への設置もあるのかもしれませんね。
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