弘前の話です。※前回の記事。
春にも紹介した、中土手町商店街。街路整備事業が8月末で完成したとのこと。
アーケードに代わって設けられた、共通のひさしに付けられたロゴ
中土手町で楽しいのは木製看板。今回もいくつかご紹介します。
果物屋さん
コンタクトレンズ店。分かりやすいしおもしろい!
服屋さんらしいけど、なんで見ザルと言わザル?
【3日追記】「聞かザル」の代わりに「着飾る」で、洋服屋さんを示しているようだ。
統一感があり、見て楽しい。
ハロウィンの花屋さん
弘前市の中心市街地である土手町は、秋田市でいえば、広小路(に通町を合わせた)的な性格の街だと思う。
だけど、空き店舗はずっと少ないし、通行人も多い印象があり、高齢者以外の通行人も少なくない。
中三(百貨店)や紀伊国屋書店など、幅広い年齢層を集客できる店舗があること、大学が近いので学生が通ること、100円バスのバス停がいくつかあって10分ごとにバスが来ることなどが影響していると考えられる。
通行人=商店のお客ではないし、お店や商店街の経営も楽ではないと思うが、活気を感じる街というのはいいもんだ。
※その後についてはこちら
だけど、それぞれ事情があるのだろうし、何らかの意図があるのかもしれないが、改めて中土手町を見ると、景観上・デザイン上やバリアフリーの点から気になる点がいくつかあった。
・ソフト地中化
(春の記事から再掲)
中土手町を眺めると、車道と歩道の間に、柱が並ぶのが目に付く。柱には照明が付いていているのだが、単なる街灯の柱としては太すぎる。一般的な電柱並みの太さだ。
左側の柱がそれ
その柱には、よく電柱の上に設置されているトランスか何かのような機器(若干コンパクト化されて塗装されている)が載っている。
柱は緑色に塗られ、デザイン的には周囲と違和感がないが、視覚的にはうるさく感じる。
本事業で電線の地中化が行われ、電線はなくなった。それなのに、なぜこんな状態なのかと不思議だった。
調べてみた。電線を見えなくするには、費用や場所に合わせて、いくつかの方法がある。
(例えば、秋田市の通町は電線・電柱が見えないけれど、地中化しているのではなく、建物の裏側に電柱を立てて配線しているはず。)
中土手町では、「ソフト地中化」という方法が取られていた。
これは、電線は地下に埋めるが、地上(路上)に設置する機器のスペースがないなどの理由で、電柱だけを残し、それに機器を設置するもの。
“電線だけ”が見えなくなり、電柱は残ってしまうので、「電線と電柱をなくする」という、本来の目的を完全に満たすものではなく、Wikipediaでは「中途半端なもの」とされていた。
以前よりはすっきりしたし、できてしまったものはしょうがない。
・信号機の色
中土手町には、今までは一般的なグレーのボディの信号機が設置されていたが、上の写真の通り、本事業に合わせて色付きボディの新しい信号機と柱に更新された。
先に整備が終わっていた、中土手町の両隣の上土手町と下土手町には、グレーがかった薄い緑色のような色の信号機が設置されている。
上土手町の信号機
また、中土手町を分断する形で、「北大通り」を延長して新しくできた市道(都市計画道路3・3・2号線というらしい)もある。
こちらは、やたらと太くて背が高い、根元が石でできたような柱なのだけど、信号機はやはり同じような色。
中土手町も、当然、同じような色の信号機になるのかと思ったら、なぜか真っ黒な信号機と信号柱になった。
真っ黒
弘前市内で黒い信号機が設置されたのは初めてだと思う。秋田市の通町も黒い信号機だが、それよりも少し光沢があるような黒だ。
これによって、上土手町との境である富田大通りとの交差点と、3・3・2号線との交差点では、1つの交差点内で異なるボディカラーの信号機が混在しているし、何よりも上・中・下土手町間での統一感がない。
それに、どちらかといえば洋風の街並みになった中土手町に、どちらかといえば和風向きの黒い信号機があるのは、せっかくの中土手町整備に水を差しているようで、違和感を感じる。
上の方の写真のように、電柱(兼照明)と信号柱が近接して立っている場所もある。電柱と信号柱を兼用させることはできなかったのだろうか。
この事業は、商店街組合、国、青森県が関わったらしいが、信号機の色やデザインについては何か検討されたのだろうか。信号機を設置した青森県警も、なんでまたこんな色を選んだのだろう。
※信号機のフードの長さ
中土手町とは直接関係ないけど、ついでに信号機のフード(ひさし)の話。
上の写真の通り、中土手町に設置された車両用信号機は、上の赤灯のフードだけが長く、下の2灯はやや(5センチくらい?)短い。
これは、「小糸工業」製の縦型信号機の特徴のようだ。
そういえば、春に紹介したように、青森県警では、見やすく改良された「面拡散」方式と呼ばれる大粒のLEDを使った車両用信号機を設置していたが、中土手町に新設されたのは従来型のLEDだった。
メーカーの違いかもしれないが、方針を変えて元に戻したのだろうか。
一方、歩行者用信号機。
あれ? フードが短い。
上記リンクの記事で取り上げたが、土手町のすぐそば、富田大通りの歩行者用信号機(いずれも薄型ボディのLED式)では、2009年2月製造分は短いフードだったが、2009年12月製造分では従来並みの長いフードに戻っていた。
秋田県警と同じく、全国的な流れで一旦は短くしたフードを、着雪対策のため長いものに戻したのだと思っていた。
だが、銘板によれば2010年5月製造である中土手町の信号機のフードは再び短くなった。何でコロコロ変わるの?
(秋田県警では、一度長いフードに戻した後の新設分は、一貫して長いフードを採用している)
・点字ブロックの色
中土手町の路面はタイル敷き
所々に、公募された130人の子どもの足型を取ったタイルもある。
足型にゴミや水がたまったり、凍ったり(融雪装置が設置されてはいる)、ハイヒールや車椅子・ベビーカーの車輪が引っかかったりしないかな。
僕が気になったのは、視力に障害のある人の歩行に欠かせない「点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)」。
開発当初の点字ブロックは必ず黄色いものだったが、後に、周辺の景観に配慮して、他の色(グレーなど)のブロックも普及していた。
ところが、点字ブロックは、視力がない人のためだけでなく、いわゆる「弱視」の人のためにも存在する。グレーなどのブロックでは、弱視の人がブロックの存在に気づかず歩きづらいのだそうだ。
そこで、やはりブロックは目立つ色の方がいいということになり、最近はまた黄色など、周囲と色彩的に差がある色の点字ブロックが設置されるケースが多い。
秋田県道では、老朽化したグレーの点字ブロックに代わり、黄色い点字ブロックで更新を行う例があるし、秋田市道でも新設分はすべて黄色が設置されており、黄色主流に戻ったと認識していた。
ところが、弘前市中土手町の点字ブロックはグレー。
弱視の人がどう感じるかは分からないが、時代の流れに逆行しているように思えてしまう。
楽しく歩ける街もいいけど、誰もが安心して歩けて、少しでも歩きやすい街の方が大事だと思う。点字ブロックが黄色くても困る人はいないはず。
最後に、中土手町・下土手町は、片側2車線の一方通行。
今まで知らかなったけど、左側車線が4月から12月の昼間だけ、バス優先車線になっていた。
冬の間は、積雪のため実質1車線になる場合もあるから、夏場だけなんだろうか。
続きます。
春にも紹介した、中土手町商店街。街路整備事業が8月末で完成したとのこと。
アーケードに代わって設けられた、共通のひさしに付けられたロゴ
中土手町で楽しいのは木製看板。今回もいくつかご紹介します。
果物屋さん
コンタクトレンズ店。分かりやすいしおもしろい!
服屋さんらしいけど、なんで見ザルと言わザル?
【3日追記】「聞かザル」の代わりに「着飾る」で、洋服屋さんを示しているようだ。
統一感があり、見て楽しい。
ハロウィンの花屋さん
弘前市の中心市街地である土手町は、秋田市でいえば、広小路(に通町を合わせた)的な性格の街だと思う。
だけど、空き店舗はずっと少ないし、通行人も多い印象があり、高齢者以外の通行人も少なくない。
中三(百貨店)や紀伊国屋書店など、幅広い年齢層を集客できる店舗があること、大学が近いので学生が通ること、100円バスのバス停がいくつかあって10分ごとにバスが来ることなどが影響していると考えられる。
通行人=商店のお客ではないし、お店や商店街の経営も楽ではないと思うが、活気を感じる街というのはいいもんだ。
※その後についてはこちら
だけど、それぞれ事情があるのだろうし、何らかの意図があるのかもしれないが、改めて中土手町を見ると、景観上・デザイン上やバリアフリーの点から気になる点がいくつかあった。
・ソフト地中化
(春の記事から再掲)
中土手町を眺めると、車道と歩道の間に、柱が並ぶのが目に付く。柱には照明が付いていているのだが、単なる街灯の柱としては太すぎる。一般的な電柱並みの太さだ。
左側の柱がそれ
その柱には、よく電柱の上に設置されているトランスか何かのような機器(若干コンパクト化されて塗装されている)が載っている。
柱は緑色に塗られ、デザイン的には周囲と違和感がないが、視覚的にはうるさく感じる。
本事業で電線の地中化が行われ、電線はなくなった。それなのに、なぜこんな状態なのかと不思議だった。
調べてみた。電線を見えなくするには、費用や場所に合わせて、いくつかの方法がある。
(例えば、秋田市の通町は電線・電柱が見えないけれど、地中化しているのではなく、建物の裏側に電柱を立てて配線しているはず。)
中土手町では、「ソフト地中化」という方法が取られていた。
これは、電線は地下に埋めるが、地上(路上)に設置する機器のスペースがないなどの理由で、電柱だけを残し、それに機器を設置するもの。
“電線だけ”が見えなくなり、電柱は残ってしまうので、「電線と電柱をなくする」という、本来の目的を完全に満たすものではなく、Wikipediaでは「中途半端なもの」とされていた。
以前よりはすっきりしたし、できてしまったものはしょうがない。
・信号機の色
中土手町には、今までは一般的なグレーのボディの信号機が設置されていたが、上の写真の通り、本事業に合わせて色付きボディの新しい信号機と柱に更新された。
先に整備が終わっていた、中土手町の両隣の上土手町と下土手町には、グレーがかった薄い緑色のような色の信号機が設置されている。
上土手町の信号機
また、中土手町を分断する形で、「北大通り」を延長して新しくできた市道(都市計画道路3・3・2号線というらしい)もある。
こちらは、やたらと太くて背が高い、根元が石でできたような柱なのだけど、信号機はやはり同じような色。
中土手町も、当然、同じような色の信号機になるのかと思ったら、なぜか真っ黒な信号機と信号柱になった。
真っ黒
弘前市内で黒い信号機が設置されたのは初めてだと思う。秋田市の通町も黒い信号機だが、それよりも少し光沢があるような黒だ。
これによって、上土手町との境である富田大通りとの交差点と、3・3・2号線との交差点では、1つの交差点内で異なるボディカラーの信号機が混在しているし、何よりも上・中・下土手町間での統一感がない。
それに、どちらかといえば洋風の街並みになった中土手町に、どちらかといえば和風向きの黒い信号機があるのは、せっかくの中土手町整備に水を差しているようで、違和感を感じる。
上の方の写真のように、電柱(兼照明)と信号柱が近接して立っている場所もある。電柱と信号柱を兼用させることはできなかったのだろうか。
この事業は、商店街組合、国、青森県が関わったらしいが、信号機の色やデザインについては何か検討されたのだろうか。信号機を設置した青森県警も、なんでまたこんな色を選んだのだろう。
※信号機のフードの長さ
中土手町とは直接関係ないけど、ついでに信号機のフード(ひさし)の話。
上の写真の通り、中土手町に設置された車両用信号機は、上の赤灯のフードだけが長く、下の2灯はやや(5センチくらい?)短い。
これは、「小糸工業」製の縦型信号機の特徴のようだ。
そういえば、春に紹介したように、青森県警では、見やすく改良された「面拡散」方式と呼ばれる大粒のLEDを使った車両用信号機を設置していたが、中土手町に新設されたのは従来型のLEDだった。
メーカーの違いかもしれないが、方針を変えて元に戻したのだろうか。
一方、歩行者用信号機。
あれ? フードが短い。
上記リンクの記事で取り上げたが、土手町のすぐそば、富田大通りの歩行者用信号機(いずれも薄型ボディのLED式)では、2009年2月製造分は短いフードだったが、2009年12月製造分では従来並みの長いフードに戻っていた。
秋田県警と同じく、全国的な流れで一旦は短くしたフードを、着雪対策のため長いものに戻したのだと思っていた。
だが、銘板によれば2010年5月製造である中土手町の信号機のフードは再び短くなった。何でコロコロ変わるの?
(秋田県警では、一度長いフードに戻した後の新設分は、一貫して長いフードを採用している)
・点字ブロックの色
中土手町の路面はタイル敷き
所々に、公募された130人の子どもの足型を取ったタイルもある。
足型にゴミや水がたまったり、凍ったり(融雪装置が設置されてはいる)、ハイヒールや車椅子・ベビーカーの車輪が引っかかったりしないかな。
僕が気になったのは、視力に障害のある人の歩行に欠かせない「点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)」。
開発当初の点字ブロックは必ず黄色いものだったが、後に、周辺の景観に配慮して、他の色(グレーなど)のブロックも普及していた。
ところが、点字ブロックは、視力がない人のためだけでなく、いわゆる「弱視」の人のためにも存在する。グレーなどのブロックでは、弱視の人がブロックの存在に気づかず歩きづらいのだそうだ。
そこで、やはりブロックは目立つ色の方がいいということになり、最近はまた黄色など、周囲と色彩的に差がある色の点字ブロックが設置されるケースが多い。
秋田県道では、老朽化したグレーの点字ブロックに代わり、黄色い点字ブロックで更新を行う例があるし、秋田市道でも新設分はすべて黄色が設置されており、黄色主流に戻ったと認識していた。
ところが、弘前市中土手町の点字ブロックはグレー。
弱視の人がどう感じるかは分からないが、時代の流れに逆行しているように思えてしまう。
楽しく歩ける街もいいけど、誰もが安心して歩けて、少しでも歩きやすい街の方が大事だと思う。点字ブロックが黄色くても困る人はいないはず。
最後に、中土手町・下土手町は、片側2車線の一方通行。
今まで知らかなったけど、左側車線が4月から12月の昼間だけ、バス優先車線になっていた。
冬の間は、積雪のため実質1車線になる場合もあるから、夏場だけなんだろうか。
続きます。
『着飾る』なのではないかなぁ??と思います。
街の景観は、同じ美意識を持った人たちに一貫してデザインしてもらうべきですね、やっぱり。
信号はどこ、舗装はあそこ、とやってしまった結果、残念なことになってしまったように感じますね。
「聞か猿」の代わりに「着飾る」。気づかなかった~
ありがとうございます。
デザイン的な面だけでなく、こんな洒落っ気もあったんですね。ほんとに素晴らしい看板です。
信号機などは縦割り行政の結果なのか、最後のツメが甘かったと思います。
この点では、秋田市の通町の方がうまくいっていますね。
広小路や中通一丁目も、統一感のある街並みになってほしいものです。
買い物は殆どヨーカドーで済ますのが一般的な我が家です。
土手町もぷらぷら歩くの結構好きです。でも細かいところまで見ていないので、taicさんのブログで新発見が沢山あります。その後で改めて市内を歩くととても楽しく感じられます!
電線をなくしたのは「ねぷた運行」の為でもあると聞いてましたが、電柱が残ってるのは何も違和感もなく・・・でも言われてみれば中途半端?とも思えちゃうかな。
新しいのもいいけど、昔のアーケードがあった土手町も好きだったな~
秋田店閉店から1か月しか経っていないのに、ヨーカドーが懐かしく思えてしまいました…
僕もブログを初めてから、秋田、弘前はじめ旅先の街の見方が変わりました。
新しい街やショッピングモールよりも、こういう古くからの街が、人の暮らしが感じられて好きです。
今までは電線が邪魔になって、電柱を竿で持ち上げたり、ねぷたを折りたたんだりしますものね。いくらかは楽に運行できそうです。
僕は中土手のアーケードしか記憶にありませんが、たしかに味がありました。昔の秋田市広小路みたいでもあり、本当に賑やかだった“昭和の街”の雰囲気でしたよね。雨や雪の日も楽に歩けたし。