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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

歩道のブロック

2012-06-01 00:20:35 | 秋田のいろいろ
当ブログでは今まで何度か、道路(主に歩道)に敷かれているブロックを取り上げた。
道路の美観向上や透水性のために採用されていると考えられるが、色によっては照り返しが強くて夏は通りたくない道があるし、使用しているうちに目地から草が生えたり、すき間や凹凸ができたり、車の出入りでぐらついてしまうなど、素人目ではデメリットも少なくないように感じる。
なお、今までの記事では、このブロックのことを「インターロッキングブロック(またはインターロッキング)」と呼んでいたことが多かった。しかし、以下に紹介する実際の製品名ではインターロッキングの呼称を用いていない。何か定義があるのかもしれない。


再開発事業がまもなく完成する秋田駅周辺では、秋田県と秋田市がそれぞれ管轄する歩道において、融雪装置(ロードヒーティング)の新設または更新工事が行われている。
そのため、新品のブロックが敷かれることになる場所も多い。
工事中はブロックが山積み(無防備な気もするが、こんな重いものを盗むヤツはいないか…)
工事現場の一角に、新しいブロックが置かれていた。その箱などを見ると、ブロックの“出自”が判明した。


まず、秋田県道の広小路。
工事区間では、既に設置されているブロックと同じものを採用。
車道寄りの左端が新品。柵より右の大部分は以前の使い回し?
長方形と大小の正方形のブロックを組み合わせている。色は薄いグレー中心でアクセントで規則的に濃いグレー(小さい正方形のみ)が入る。
段ボール箱に入って納品されるようだ

 「木曽グラニット(R)」
岐阜県土岐市に本社のある「株式会社ニットー」という建築土木用景観資材メーカーの「木曽グラニット フルモジュールシリーズ」という製品であることが分かった。
「グラニット」とは、英語で花崗岩、御影石のこと。木曽地方は御影石の産地のようだし、箱に「MADE IN JAPAN」とあるので、東海地方から運ばれてきたのだろうか。
メーカーのホームページ(http://www.nitto-web.jp/product/t_full/)によれば「木曽グラニットは強度が高く舗装用タイルとして開発された舗石タイルです。」「発売以来35年に渡り全国に納めさせていただいております。」「再生原料(風化花崗岩が主体)を50%以上使用した環境にやさしいリサイクル製品です。」などとある。

一見、表面がツルツルしているように感じるが、既に設置されている区間をいつも歩いている経験上、雨や積雪時でも滑るような危険を感じたことはない。
「コタタキ面」といって、表面に細かい刻み目が入っているためのようだ。

この製品には、10数種類のカラーバリエーション(色調)があるが、広小路のものは「白みかげ」と「黒みかげ」。
白みかげは正方形と長方形の2種が使われ、別に視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)も木曽グラニットブランドを採用しているので、都合4種類【訂正・5種類(下記追記参照)】が使われている模様。
いちおう型番を挙げると、(カッコ内は段ボール1箱当たりの個数と重量)
FK-2020:フルモジュールシリーズ 白みかげ 190×190×20 (16個約27キロ)
FK-1010:フルモジュールシリーズ 白みかげ 90×90×20 (76個約29キロ)
FK-1010-BG:フルモジュールシリーズ 黒みかげ 90×90×20 (76個約29キロ)
FUJ-3030-SY:視覚障害者用舗石 特黄 290×290×20 (6個約24キロ)
【追記】さらに白くて細長い190×90のものもあり「FK-2010」だと思われる。
また、カタログにはそれぞれの1平方メートル当たりの価格(材料のみ。工場渡し、運賃別)も掲載されている。FK-2020は9300円。
白みかげ以外の色は「カラー」扱いで、若干値段が高くなる。(広小路では採用されていないが、FK-2020のカラー版は10500円)


一方、秋田市道の仲小路。
仲小路は、約30年前に敷かれたカラーブロックがそのまま使われていたので、すべて新品に替わるようだ。
新しいブロックは今までとは形も色も違う。
正方形で表面に筋状の凹凸があり、目地がほとんどない
最近の秋田市はこのブロックを好んでいるようで、色は異なるが南大通りなどの歩道、さらには担当課が異なる千秋公園のポケットパークにも採用されている。
個人的にも、正方形だけの同じ形が並ぶためか、あるいは目地が目立たないためか、すっきりして見えるし、表面の凹凸がいかにも滑りにくそうで安心感があって、嫌いじゃない。

この製品は箱ではなく、木製のスノコみたいなのに乗って納品されるらしい。
上の写真の通り「東洋工業(株)三重工場」とある。(隠れているけれど「要返却」といった内容も記載されているようだ)
点字ブロックのほうは「高松工場」
東洋工業株式会社」は、香川県高松市に本社があるエクステリア・景観商品メーカー。公共施設向けから一般家庭向けまで手がけている。工場はいくつかあり、三重工場は津市にある。

仲小路で見たのは「TOYOユニバーサルペイブ」という商品のうち、200×200×80の不透水性のもの。(インターロッキングはブロック自体に透水性があると思っていたが、これはないのか)※場所によっては厚さ6センチの製品が使われている可能性もある
県道は厚さ2センチのブロックだったが、こちらはずいぶん厚さがある。重さにはより耐えられるだろうが、融雪装置の熱が伝わりにくいかもしれない。

※県道でも竿燈大通りのブロックは厚さ5センチ以上はあるものだ。ということは、広小路のものが特に薄いということか。
再掲)竿燈大通りのブロック。2009年の更新工事で再利用されるため復元途中の光景

「ペイブ(pave)」とは、英語の「敷き詰める」の意味。
公式サイト掲載のカタログによれば、やはり目地が小さいのが特長で、車いすやベビーカー通行時の振動を軽減できるという。表面の筋は「ノンスリップライン加工」としている。
また、側面に溝状の凹凸を設け、それを噛み合わせて設置することで不陸(凹凸)を抑制できるようにもなっているそうだ。
 たしかに側面に溝がある
表面のノンスリップラインと平行な側面は(敷いた時に)前後方向、直角に交わる面は天地方向に2本と、溝の向きと形状が異なるようだ。
したがって、敷設する向きを揃える必要があり、他のブロックに比べてデザイン上の自由度(色は別として)は高くないのだろう。


今まで気にも留めていなかったが、当然ながらブロックも工業製品なわけであり、メーカーがあって商品名が付けられていて、それぞれの個性があるのだった。

※続きはこちら
※秋田市道のブロックには微妙な違いがあることが分かった。こちら

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6 コメント

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Unknown (taka)
2012-06-01 14:23:18
歩道舗装が新しくなると印象が大分良くなりますね。仲小路のブロックはこちら大阪ではあまり見ないので新鮮な印象です。透水性舗装としてひところはインターロッキングブロックが使われることが多かったのですが、ご指摘どおり目地に砂をかませるため次第に不陸が目立つようになり、不評のためこの頃は平板ブロックが多くなっています。私も車椅子を押すことが多いのでインターロッキングのでこぼこは大変気になります。
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TOYOユニバーサルペイブ (taic02)
2012-06-01 23:14:17
正方形のブロックが並ぶのは、石畳に通ずるようなイメージがあります。特に仲小路はグレーなので。
2004年頃に設置された南大通りで、既にこのブロック(色は赤系統)が採用されています。

古いとブロック自体も目地もくすんでしまいますね。秋田は積雪や凍結があり、それがブロックの傷みに拍車をかけている気もします。
駅前だとキャリーバッグを引いている旅行客の姿もよく見かけるので、雪がなく、平らな歩きやすい歩道を維持してほしいものです。
返信する
歩道舗装について (トリトン)
2012-06-04 12:26:44
このような視点で道路を見ていただいて、道路設計を生業にしているものとしてはうれしい限りです。ちなみに、歩道舗装には以下のような見解があります。

昔からインターロッキングは歩道舗装として多く用いられてきましたが、①目地が多く雑草が生えやすいこと、②不陸・ガタつき・目地の凹凸が不快に感じやすいこと、③ロードヒーティングを敷設している場合には透水構造が災いしてケーブルの腐食や漏電、ブロック内の気泡(空気)が熱を遮断する等の弊害があります。近年ではユニバーサルデザインの観点から、誰でも使いやすい施設が重要視されておりますので、特に①や②については大きなデメリットになります。

広小路のブロックはタイル舗装と呼ばれ、景観性や高級感に優れ、長期間にも色褪せしにくいものとなっております(厚さは2cm程度)。しかし、値段も高く、一般的に滑りやすく、広小路に関していえば割付が細かいので、施工は大変です。このタイル舗装は全国的にメーカーが縮小され、たしか大手2社が主力のようです。ちなみに、秋田市土崎駅前の停車場線も同じタイル舗装です。

秋田市道のブロックは平板ブロックと呼ばれ、インターロッキングブロックにかわり近年多く普及してきました。面が大きく不陸や目地の凹凸が軽減されるのが特徴で、値段も安いのが特徴です(厚さ5cm~6cm程度)。このブロックは、タイルと違い多くのメーカーや種類があります。ただし、色褪せや汚れが付きやすいので、景観性の維持に課題があります。

道路管理者からは、やはりアスファルト舗装が好まれます。維持がしやすく、地下埋設物等の工事においても復旧が楽です。タイルやブロックは、破損すると場合によっては生産中止になっている可能性もあります。時々、ブロック舗装が部分的にアスファルトになっているのはそのためだと思います(景観性に劣るのでやめてもらいたいものです)。

歩道舗装で問題になるのが続きで指摘されているとおり「統一性」です。一般的には管理者同士で異なる場合が多数です。しかし、都市の中心部や再開発・区画整理、歩道のネットワークを考える場合、管理者の垣根をはずした都市計画・道路計画が望まれます。こういった取り組みが地方都市の活性化等に繋がると思っているのですが・・・実際に業務を行っていると、発注者側の腰は重いのです(金がかかる、管理をどうするかとか)。

今、歩道の維持管理においては全国的に地域住民、沿道企業参加型の管理が増えています。それならば、地域住民や沿道企業に、歩道構造についてアンケートを実施すべきだと思います。街づくりは、結局は地元関係者のがんばりが大きいと思いますので・・・。

最後に、私は道路や河川系の設計を行っておりますので、このようなネタについては計画・設計者側からの観点で今後もコメントできればと思います。

駄文、長文失礼しました。
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お恥ずかしい限り (taic02)
2012-06-04 23:17:05
素人が知ったかぶりでいろいろ書き連ねていますので、専門の方々の前ではお恥ずかしい限りです。
詳しい解説はとても勉強になりました。ありがとうございます。
知れば知るほど、奥が深いですね。どんな分野でもそうなのでしょうけれど。

道路管理者の思惑があり、それが必ずしも施工業者や道路利用者の意向を反映しているわけではないのですね。
駐車場やガソリンスタンドの前など、車の出入りが激しい場所のブロックがガタガタになっているのを見たことがあり、こういう点の配慮もしてほしいです。
道路管理者が違ってもデザインが統一されているといえば、通町がそうではないでしょうか。(個人的には白っぽいため晴天時の反射が強くて苦手なのですが)

街灯とか信号機の塗装でも同じような統一性や配慮のなさを感じる場所も少なくありません。
道路は我々の生活に欠かせないものですし税金が使われているので、一般人がもっと関心を持つべきだと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いします。
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ダメでしょ (bony)
2013-02-14 11:02:34
見た目はいいけど、歩道の機能を果たせないのでは?
縁石の高さが15cmつけろって国土交通省も言ってるのに、バリアフリーの間違った例だね、暴走車を止めるバリアの役目を忘れてはね、あと財政は余裕なのかね、借金してまですることとも思えないね。
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なるほど (taic02)
2013-02-14 12:08:38
仲小路のことでしょうか。
仲小路は当初は「コミュニティ道路」として整備されたはずで、その関係もあるかもしれません。一部区間では、車道と歩道の間に植え込みがあって分離されている部分もあります。

しかし実情としては、コミュニティとは名ばかりの普通の道路として使われているし、歩道が沿道店舗の駐車場のようになっているケースもなくはありません。
そう考えると、たしかに安全面では不安です。

ただ、通行人の立場としては、滑り止め付きブロックと融雪には、とても恩恵を受けています。
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