広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

「前」のバス停

2014-09-07 23:55:07 | 秋田の地理
9月20日は「バスの日」なので、それにちなんで(かこつけて)バス停の名称のお話。

バス停名の由来は、「地名」と「施設名」に大別できるだろう。
施設に用があってバスに乗る人には、施設名のほうが分かりやすから、「○○前」という名称バス停はたくさんある。
ただし、施設名が変更されたり廃止されたりした時は、バス停名を変更する手間が生じる。秋田では、長崎屋、歓喜寺、交通公社のようにかたくなに変更しないものもあるけれど…

それに、1つのバス停に対して複数の施設がある場合は、そのすべてをバス停名に採用すると長くなるので、その取捨選択が求められる。
秋田市に「県立体育館前」というバス停があるが、体育館の近隣にある秋田県児童会館や秋田県立図書館は無視されてしまっている。体育館がいちばん古いから、最初のバス停名がそのまま残っているのだろう。
一方で、「県庁市役所前(中黒はないらしい)」、「秋田市保健所前・サンライフ秋田前」「八橋市民広場・裁判所前」「秋田中央郵便局・社会保険事務所前」といった、2つ併記のバス停はある。(いずれも市営バス時代の命名。市民広場や社保事務所は名称が変わっているのにそのままでもある)
「秋田市保健所前・サンライフ秋田前」
秋田市保健所が発足したのは、中核市になった1997年。それ以前は「サンライフ秋田・秋田市保健センター前」という名称だったようだ(1988年度冊子時刻表より)。秋田市保健センター自体は、今も存在する。

秋田では、現地の表記、車内放送、ホームページや路線図での表記が統一されていないものもある。
市営バス時代の「県庁市役所前」停留所の待合所内の壁掛け式バス接近表示では、
 
市役所側にある上りは「市役所前」、県庁側の下りは「県庁前」 ※現在は撤去されている

真ん前に施設があるのに、それがバス停名に採用されないものもある。
例えば、秋田市営バス単独だった路線にある、市立小学校の前にあるバス停。
旭南小学校、土崎小学校、土崎南小学校などは「~前」。それなのに、
(再掲)後ろは外旭川小学校
外旭川小学校の前にあるバス停は外旭川小学校前ではなく「神田」。同じ神田線の「すわ町」だって保戸野小学校前でも良さそう。
神田の場合、ここが神田じゃなかったら、「神田線」の路線名が危うくなるという理由もあるんでしょう。
【11日追記】1951年11月20日付広報あきたによれば、「大廻線」に「保戸野小学校前」というバス停が実在していた。おそらく1966年の住居表示実施後に、「すわ町」に改称されたのだろう。
この区間の「大廻線」は現在の楢山大回線と同じ経路で、1985年頃までは神田線・添川線も同じ経路。1951年当時は、愛宕町-保戸野小学校前-大工町という順で、現在の原の町(大回線側)-すわ町-菊谷小路に対応すると考えられる。

要はケースバイケースというか臨機応変というか、その時の気分というか、なのでしょう。

以前記事にして、いまだに謎なのだけど、「旭北前」については意味が分からない。
(再掲)市営バス時代からの表示板
地名である「旭北(きょくほく)」の「前」ってどういうことなんだろう?


「○○前」というバス停なのに、実際にはバス停がその「○○」の真ん前じゃなく、けっこう距離が離れていたり、バス停から施設に行くには小路に入ったりするものがある。
交差点や道路形状、道幅により、真ん前にバス停を設置できないという事情があるのは当然ではあるけれど、初めて訪れる人がバスで降り立って、施設にたどり着くのに少々戸惑ってしまうかもしれない。

例を挙げてみる。(距離は各施設の門など、外来者が敷地内へ至る最短距離でおおよそ)
秋田高専前:300メートル、ハローワーク前(大町経由側):200メートル強、自衛隊前:200メートル、上下水道局前:200メートル、総社神社前:200メートル、築山小学校前:150メートル(バス停位置は前というより「脇」)、栗田神社前:150メートル、将軍野郵便局前:150メートル
【8日追記】上下水道局前(旧・水道局前)のバス停は、秋田刑務所の真ん前。だからといって「刑務所前」にするわけにもいかず、近くにある秋田市の施設である水道局を採用したのだろう。なお、30年少し前までは職業安定所が近くにあったが、1988年の時刻表によれば採用されておらず、バス停は「水道局前」だった。(1988年時点で、新屋線の今のハローワーク前は「茨島二丁目」だった)

ちなみに、大回り線の「歓喜寺前」は、以前は150メートルほどだったが、今はお寺が移転してバス停はそのままだから、4.6キロも離れている…改称しないの?※だいぶ経ってから改称
(再掲)下り総社神社前。後ろの森が総社神社
総社神社前から総社神社の正面(参道や鳥居がある)までは、約200メートル。しかし、1つ駅寄りの「川尻十字路」停留所からだと100メートルほど。
下り川尻十字路 ※向かい側奥にある火の見櫓は、今はなくなっている

●がバス停の位置


少々説明が必要なのが「北都銀行前」。
周辺図
まず、上りと下りのバス停位置がけっこうズレている。100メートルほどか。これは、交差点や交わる道路の関係か。
上の図でマル1の建物が「北都銀行本店」。そして下りバス停の真ん前にあるマル2が「北都ビルディング」。「北都銀行前」というバス停なわけだから、「マル1の前」という意味だと、とらえるべきであろう。となると、下り側バス停からは200メートルも離れている。
というのは、今現在のお話で、昔は違った。

「北都銀行」という銀行ができたのは1993年。羽後銀行と秋田あけぼの銀行が合併して発足した。
現在の北都銀行本店(マル1)は、それ以前は「羽後銀行本店」だった。そして現在、北都ビルディングであるマル2が「秋田あけぼの銀行本店」だった。
その頃のバス停は、「羽後銀行前」ではなく「あけぼの銀行前」だったのだ。
なお、秋田あけぼの銀行は1989年までは「秋田相互銀行」だった(本店は同じ位置)ので、バス停名も「相互銀行前」だった。

つまり、特に下り側は、(相互・あけぼの)銀行の真ん前にバス停があった。
したがって、このバス停は、1990年前後のわずかな間に相互銀行前→あけぼの銀行前→北都銀行前と名称が変遷し、その間に対象となる建物がすり替わったわけだ。


さて、「○○前」のほかに施設名が入るバス停の定番といえば「○○入口」。続きます
コメント (5)
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