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発掘する手を休めない人

2021年10月27日 | 教育ノート
 古生物・恐竜学者の小林快次氏のインタビュー記事を読んだ。そうした分野に興味があるわけではないが、語る言葉に惹きつけられる魅力を感じた。発掘調査の実績が抜きん出ている氏は、その秘密を「他人と同じことをしない、同じところを探さないこと」と言う。視野・研究の幅を広げるためのポイントに唸った。

『「自分がやりたいと思うことはあえてやらない」のも重要です。自分で「やりたい」と思うことは、放っておいてもいつかやるんだから、自分で「やりたくない」と思っていることをあえてやってみる。』


 20年前いやせめて10年前に聴きたかったと密かに思う。もちろん同様の言辞を聴き逃した可能性がずっと多いはず…。発掘調査という仕事の本質を突く次の言葉も印象的だ。「そうやって『ない』エリアをひとつずつつぶしていけば、確実に『ある』に近づくことができる」そこに失敗はなく、成功のみが見える。



 教育関係の冊子なので、子どもたちに対するメッセージも載っている。それは「三日坊主」のススメだった。「いまの時代、夢を持つことは難しい。むしろ夢より先に『好きなこと』を見つけるべき。」と語る。軽い気持ちで興味関心を育む環境こそが、いつか憧れの対象と出会える素地になると考えている。


 そうでなければ、上掲した「やりたくないことをあえてやってみる」姿勢を持つまでには到らない。そこに性急さを求めてはいけない。発掘には目標達成志向は似合わない。氏はインタビュー等で「抱負を語らない」。それは歴史に対する深い洞察力でもある。古生物・恐竜学者が言うからこそ、次の言は重みを増す。

「大切なことは、この瞬間瞬間に、自分の足で一歩ずつ、興味のある方向へ歩みを進めていくだけ。それさえできれば。もう何もいうことはありません。」


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