スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ゴールドカップ&第一部定理一〇備考

2014-12-11 19:52:56 | 地方競馬
 どういうわけだか木曜日に組まれた第52回ゴールドカップ。森騎手が病気のため,デュアルスウォードは張田京騎手に変更。
 好発はセイントメモリーでしたが,リアライズリンクスが何が何でもハナへという姿勢を見せると譲りました。この逃げをマークしたのがソルテ。控えたセイントメモリーがやや離れた3番手になり,外にナイキマドリード,内からジェネラルグラントの追走。超ハイペースだったといっていいでしょう。
 前の2頭は雁行で直線に。最後まで激しく競り合いましたが,何とか抜かせずに逃げ切ったリアライズリンクスの優勝。アタマ差の2着にソルテ。追い掛けた馬たちは苦しくなり,序盤は最後尾から外を回って追い上げたケイアイヘルメスが1馬身半差の3着。
 優勝したリアライズリンクスは南関東重賞初制覇。ただ,昨年11月から休養を挟みつつ圧勝ばかりで5連勝していた馬で,時計的にも優秀でしたから,今日も1番人気に推されていました。最近は浦和でばかり走っていて,ほかの競馬場でも同様の強さを発揮できるのかということが課題にはなりますが,重賞でも通用する能力を有した馬だと思います。父は2000年にシンザン記念,スプリングステークス,鳴尾記念,2001年と2002年には京都金杯を連覇したダイタクリーヴァで,その父はフジキセキ。母の父はマイネルラヴ。Lynxはオオヤマネコ。
 騎乗した船橋の左海誠二騎手は先月の勝島王冠に続く南関東重賞制覇。第42回,47回を勝っていて,5年ぶりのゴールドカップ3勝目。管理している浦和の小久保智調教師第51回からの連覇でゴールドカップ2勝目。

 ライプニッツによる疑問の前提を,『エチカ』において成立させている箇所として,ここでは第一部定理一〇備考をあげておきます。
                         
 「たとえ二つの属性が実在的に区別されて考えられても,言いかえれば一が他の助けを借りずに考えられても,我々はそのゆえにその両属性が二つの実有あるいは二つの異なる実体を構成するとは結論しえない」。
 ここでいわれている「考えるconcipere」も,当然ながら知性の能動を示す概念です。そしてこの中に,単一の実体が複数の属性によって本性を構成されるということ,正確にいうなら,知性は実体をそのように認識することが許容されるということが含まれています。あとは名目性の検証です。
 第一部定理一〇は,属性についての言及です。その備考ですから,まずその観点から考えなくてはいけません。属性は第一部定義四で定義されていて,ここでいわれている属性はそのことだと解釈するのが妥当でしょう。
 テーマとして設定して考察したときに述べたように,僕は第一部定義四に関しては,それ自体でみるならば,実在的な定義であると解釈することが可能であると考えています。しかし,備考のほぼ冒頭に現れているこの文章の属性については,そのように考えることはできません。備考全体の文脈が,その解釈を許さないようになっているからです。
 ひとつの実体に複数の属性が属し得るとすれば,ある実体と別の実体はどのようにして区別されるのかという意味の疑問を,この備考の最後の方でスピノザ自身が提出しています。そしてその解答となる部分が,直後の第一部定理一一から第一部定理一四にかけて示されています。つまり自然のうちに実在する実体は神が「唯一」なので、ある実体と別の実体を区別するということは,実在的には生じません。いい換えれば,ある実体と別の実体とを区別するための標識のようなものは,実在的に考える限り,不要ですし,そもそも存在しないのです。
 これでみれば分かるように,第一部定理一〇備考は,名目性から実在性へと橋を架ける,重要な役割が『エチカ』の中では与えられています。ですから当該部分は,名目的に把握しなければなりません。
コメント
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