10月27日(土)
昨年から学生たちと続けてきた、上勝アートプロジェクトのオープニングで、一ヶ月半ぶりに徳島に来た(来た、っていうのは、徳島で書いているから)。第22回国民文化祭・とくしま2007っていう企画なので全体の企画規模はとても大きく、飛行機は満席。空港では東京芸大の音楽科の先生も見かけた。
製作期間中は余裕がなくて、他の作家の作品を見ることができなかった。早めの飛行機にしたので、同じ飛行機だった、たほりつこさんと、全作品を見て回ることに。
これが、たほさんの作品「トポス彩2007」。土地の名前「生実」の文字の上に、777個の焼き物の植木鉢が並んでいます。真ん中には、生実という地名の由来となった栗の木。
焼き物は、近くでみるとみんな違う。全部、地域の人たちの手作りだから、個性がでている。しかも、野焼きで焼いたものなので、焼き加減がばらばらで、色も違っていて面白い。
焼き物を作ること自体は、たほさんを含めてみんな初めてだったみたいなんだけれど、地域の人たちは木のことをよく理解しているから、燃やすときの温度のコントロールもうまく、結果として、焼き物もできてしまうらしい。
さらに、カカシが田んぼでインスタレーション化している。これも、たほさんの、というか生実地区の作品の一部。楽しい。
次は曽我部研究室の作品。旭地区。上にのぼると地域の人たちが見に来ている。みんな下をみている。下をみると、ぶつ切りの丸太が中に浮いていて、その上に乗っかっている気分になれる。怖い人には、とても怖いみたい。周りをみると、とても見晴らしがいいです。
傍示地区の日比野さんの作品「射手座造船所」。でかい。噂には聞いていたけれど、すっごくでかい。材料は支給とはいえ、数十万円のアーティストフィーで、これが…。地域の人たちのガッツがすごい、っていうことにつきる。これは全5地域共通ですね。
内部は、まるで船のキャビン。丸窓の内側には、アルミサッシも入っている。上勝はゼロウェイストっていう、ゴミをまったく捨てない(=全部何かに再利用する)活動でも有名なのだけれど、きっとこれもどっかから持って来たんだろう。
まるで出航しそう。温暖化かなにかで、ここまで水位がやって来たら浮かんで出て行くとか。上勝は化石でも有名で、石垣に化石があったりするらしいのだけれど、それは海だった頃の貝の化石。また海になるかも、ってことだ。化石は1億3千年前のものだから、ずいぶん先のことか。
國安さんの作品「淵神の塔」。正木地区。この独特の威容。近くにある川の流れが立体化しているようなイメージ。山道の急カーブの内側に立っている。何も知らずに通りがかったら、びっくりするだろうなあ。
素材は間伐材と素焼きレンガ。下地は単管。囲われた内側には、入れないみたい。意味なく、こういうものの中に入りたくなるのはなぜだろう。
エコ・プラウォトさんの「タイム・ブリッジ」。福原地区。見に来た人が通り抜けるようになっている。月が谷温泉のエリア内にあるから、温泉に来た人が散策をしているとたどり着く。
中には、地域の方々の手による、上勝での昔の思い出が書かれた板がある。ある意味、書物のような建物。この内容がかなり面白い。食べ物のこととか、山での仕事のこととか。
夜は懇親会。町長の知り合いということで、神奈川大経営学部の松岡紀雄先生とかもいてびっくり。韓国からやってきた、ノリダンの演奏もすごい。いらないもので作った楽器でのライブ。一週間前に手ぶらでやって来て、楽器は全部、地域の中学校の生徒たちと一緒に作ったんだそうだ。
夜の「淵神の塔」へ。台風がくるんじゃないかって言ってたのが嘘のような満月を背景に、サーチライト一つで、あやしく浮かび上がる。
ということで、山の学校(廃校の小学校を改修して、宿泊施設にしたもの)へ。
10月28日(日)
朝からシンポジウム。山の中の中学校で行われたんだけれど、全国各地から集まった人たちで満席。200?300人くらいはいたんじゃないか。お昼は、地域の料理。素材のよさが出ていておいしい。皿は、杉板に芭蕉の葉(南国風のバナナの葉みたいなもの)を敷いて。
昼食の後、作家5人はそれぞれの地域でお客さんが来るのを迎える。ぼくのところにも結構な人が来ていて、時には入場制限さえも。
作品記録集の裏表紙の写真が、僕たちの作品だったんだけれど(表紙は國安さん)、その写真をまねして撮ってみた。
ということで、11月4日まで9日間のプロジェクトがはじまりました。