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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

ほら、だから言ったでしょ? 分限処分条例改正っておかしいって。(神戸の教員間いじめ問題関連)

2019-11-10 22:19:12 | 受験・学校

学園祭明けのここ数日、本業の大学の仕事に加え、遅れている原稿の催促があり…。そして金曜日から今日まで2泊3日で、姫路市内へ出張しておりました。なので、久々のブログの更新になります。

そうそう、姫路市内での出張の際にも、多くの方から「ブログ見てるよ」と声をかけていただきました。ありがとうございます。この場をお借りして、あらためてお礼申し上げます。

さて、この数日の間に、例の神戸の教員間いじめ問題で、新たな動きがありましたね。加害教員のなかのひとりが、先月末に慌ててつくった条例にもとづいて受けた分限休職・給与差し止め処分に対して、先日、不服申し立てをしています。詳しいことは下記のgooニュース(もとは神戸新聞配信記事)でわかります。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/kobe/nation/kobe-20191108013

この記事の文中から重要な点を引用しますと…。

◎審査請求書で改正条例について「『重大な』『恐れ』など、極めて抽象的な文言で休職事由を拡大している」とし、「仮に条例が有効だと解する余地があるとしても、さかのぼって適用するのは違法」と断じている。

◎同処分の手続きでは、そもそも「処分対象となる行為を知らされていない」などとし、弁明の機会が保障されていないと主張。市教委が処分説明書に記載した地方公務員法の根拠条文に誤りがあることも指摘している。処分自体も「暴行・暴言の期間や頻度が異なる他の加害教員と一律に行っている」と問題視する。

「おっしゃること、ごもっともです」と、私からはこの不服申立てをした加害教員とその代理人弁護士には伝えたくなりますね。

また、分限処分条例の改正は必要なことと言い続けてきた神戸市長、さらにその改正された条例をすぐに使って処分を行った神戸市教委に対しても、「ほら、だから言ったでしょ? 分限処分条例改正っておかしいって」とも言いたくなりますね。

特に、今回改正された分限処分条例は、「起訴の恐れ」などの文言の部分で、休職処分の事由を拡大解釈する余地があること。そのことは私もこのブログで確か、10月中に指摘していたかと思います。

また、弁明の機会の保障や、処分説明書に記載の地方公務員法の根拠条文に誤りがあるという話。「これって、どんな手続きをとっているのか?」という話ですよね。こういう点から見ても、今回の分限休職処分の実施って、あまりにも拙速すぎやしないか、と思うのですが。

さらに、「暴行・暴言の期間や頻度が異なる他の加害教員と一律」という処分のあり方や、「さかのぼって」の条例適用そのものにも疑義が示され、不服申立てが行われたとすると…。この間、ずっと自分たちの法的対応は「正しい」と主張してきた神戸市長や市教委の側から、いったい、どのような反論を行うのでしょうか?

不服申立てを受けて、このたびの分限休職処分に関して、「きちんと謝って、是正すべきことは是正する。まちがった処分は取り消す」ということ。そういうことが今後、神戸市教委、さらには市長にできるかどうか…。そこを今後、私としては注目していきたいと思います。

と同時に、ずっとこの間言い続けてきたように…。「こういう法的対応の問題ばかりが注目されているけれども、本当は当該の小学校の教育の再建、子どもや保護者、地元の人々、そして今なおその小学校で勤務している教職員の声を聴いて、学校再生に向けたプログラムを組むことのほうが大事なのでは?」とか。あるいは「神戸市内の学校現場で働く教職員の声を聴き、職場環境の是正の問題に今すぐ取り組むことが大事なのでは?」とか。そういうことを、ここであらためて私からは伝えておきたいと思います。



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