名南将棋大会ブログ 名古屋

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20170914今日の一手(その570);金無双の急所

2017-09-14 | 今日の一手

20170914今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、AさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
少し前から。

相振り飛車の序盤で、先手は76の飛を26飛24歩さらに36飛とぶつけて35歩と謝らせようとしました。美濃囲いのほうが金無双よりも横の攻めには堅いので飛交換は十分だと考えたのですが、36同飛同歩66銀

強気に取られてしまった、という問題図です。

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが少し堅いです。(これは金銀の連結の良さに関連しています。)
先手の攻め駒は86角と持ち駒飛で2枚。
後手の攻め駒は66銀と持ち駒飛で2枚。

総合すればやや先手もちです。

☆ 大局観として
玉の堅さで先手のほうが少し指せそうです。金無双なんて偉そうな名前ですが、それほど堅い囲いではないのです。ただし後手が84歩と突いているために83玉とかわす味があり(実際にそうなった)案外に耐久力があります。
飛交換になったので、飛を打って桂香を拾って、という展開を考えますが、後手は55角と逃げると19角成があるわけです。77桂を取って(77銀不成)角に当たるという配置なので、駒損になりそうです。
つまり77桂取りを受ける、あるいは77銀不成よりも厳しく攻める手段が欲しい局面です。


△ 実戦は78歩と受けて69飛

今度は77銀不成~65飛成を見られています。68歩と受けても99飛成

で香損で歩切れ、後手が十分です。

これではまずいので、37桂77銀不成23飛33角77角

先に55角を受けておいて飛を打ち込む、という苦労した手順ですが、77同角成同歩44桂

というのが好打で、先手の苦しい展開です。先手Nさんはずいぶん辛抱して形勢不明の局面もできたのですが、逆転には至りませんでした。


× 77銀成を受けて69飛を避けるのは68金ですが88飛

から87飛成があるので、この受けは失敗です。


× 攻めを見てみましょう。23飛と打ちたいですが

55角37桂77銀不成56銀には37角成

と桂を取られます。77角19馬では自信なし。37同銀86銀成同歩25桂

26銀打で受けられるので後手は86銀成同歩を入れる前に25桂のほうが厳しい(26銀に37桂打ちがある)かもしれませんが、これは後手の寄せが速いです。


△ 32飛なら

55角に37桂なら同じようなものです。64歩

と攻めます。この時に2段目に飛があるほうが厳しいわけです。19角成63歩成同金左64歩

というのは寄り筋です。

後手は玉で取って

頑張ります。37桂か37銀で64銀を見て指す感じでしょうか、形勢互角だと思います。


○ 飛を打たずに64歩だと

64同歩には63歩同金左64銀同金同角

後手の77銀不成や55角が甘くなっているわけで、32飛~53角成や65桂をみて先手が有利です。

64歩に55角は

63歩成同玉41飛

飛打ちを保留していたので、後で飛を打つ場所が選べます。これで桂を取って75桂を狙えます。

途中63歩成を同金直なら32飛

です。62金引64銀19角成63歩

これが取れず、61金には65桂

と使うのが味が良いです。

64歩に77銀不成は

63歩成同金直32飛42飛

後手も頑張って受けますが、42同飛成同金64歩62金77角

と銀を取り、77同角成63銀同金同歩成同玉61飛

で寄り筋です。


△ 最後は41飛で

77銀不成21飛成86銀成22竜55角33角

という駒の取り合いなら先手が指せそう(19角成には44桂)ですが、

途中55角

が少し難しいです。56銀と引いて後手はどこに角を引くのもありそう。19角成~18飛もあります。これは21竜の位置がやや甘いのです。


☆ まとめ
金無双の急所は63の位置です。3枚で守っているのに急所だというのが不思議なのですが、ここと攻めると囲いがいっぺんに崩れます。だから金無双は堅くはないです。
そういう知識経験があれば、問題図で64歩が一目ではないかと思うのですが。

飛の打ち場所が多い場合、しかも先手で打てる(相手が応対する必要がある)場合には飛打ちを保留するというのがテクニックです。これは相矢倉などで王手で飛を打てるけれどどの筋に打つかを決めたくない(相手の攻めを制限できる)という形が時々出てくるのですが、その応用です。
後手玉を攻めるなら飛打ちは2段目が一番良いのですが、場合によっては1段目3段目のほうが良いかもしれません。だから64歩を先にして、後手の応手を制限するのです。

後手の19角成というのもかなり大きな手なのですが(これは何度か書きました)、この場合は受けずに寄せ合いを目指すほうが厳しいのでした。


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