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20170119今日の一手(その450): 互角のさばき合いでよいか

2017-01-19 | 今日の一手
20170119今日の一手

1月7日の名南将棋大会から、TさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありませんが、後手だけ馬を作っているので、少し先手の駒損です。
玉の堅さは同程度。銀と玉の位置が少し違います。馬まで入れれば後手玉のほうが堅いとは言えますが。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚はいいとして、78飛66銀85桂は微妙なところ。
後手の攻めは35馬1枚。

総合すれば互角かやや後手もちか。

☆ 大局観として
先手の78飛や66銀が攻め駒と数えにくいというのは、75歩が後手陣の一部であるとは言いにくいからです。85桂は3段目に届いているのですが、駒をとれるわけでもなく、成り込めるわけでもなく、という状態です。ですからこれらの駒を攻め駒だと言えるようにすれば先手が良くなるでしょう。

78飛は後手の飛車と交換してしまうか、敵陣に成り込むことができるか。
66の銀は後手の53銀との比較です。5段目~4段目~3段目と前に出ていくには手間がかかります。ということは75に出るならゆっくりした展開のほうが望ましいです。57銀から守りに使う駒なのかもしれません。
85桂は単純に81桂と交換するだけでは手数をかけた分だけ損をしている感じです。理想は81の桂を取って73桂成から後手玉を攻める駒にすることです。
他には持ち歩を と金にすることで攻め駒が増えます。

玉の堅さに差がない時は、対等の交換(飛と飛、銀と銀、桂と桂)でさばき合うと、少しの差で優劣が決まってしまうかもしれませんから注意が必要です。


△ 75歩の突き捨てが入ったところですから、継続手は75同飛ですが

75同飛同銀79飛と打たれた時、71飛では64銀があります。


銀が浮いてしまうのが問題で、71飛ではなくて66角

とひもを付けて、33桂82飛77歩81飛成78歩成73桂成68と

という勝負なのでしょう。形勢は互角です。


× 実戦は75同銀でしたが

この形が不安です。飛車が向き合って間に自分の駒があるというのは避けたいものなのですが、後手は歩だけなので案外に手がなさそうです。
実戦は44馬だったので、73歩(74歩もありそう)82飛86銀77歩

68飛55歩同歩同馬56歩54馬

微妙なやり取りですが、86銀の形が悪いので(攻めにも守りにも働いていない)やや後手が良いでしょう。
ここから64歩同歩72角としてしまって、87馬

から銀桂を取られては劣勢です。

64歩は悪手で、55角

55同馬同歩84歩61角

62金34角成85歩75銀

という感じで、桂損ですが後手は歩切れ、馬を作ってこれから。

あるいは55角ではなくて95歩

と端を攻めてしまえば桂馬がさばけそう(66角の含みがある)で、まだまだこれからでした。


△ 73歩は85桂を生かした手で

73同桂には75飛ですね。82飛75飛に74歩

ここで72歩成同飛83角75歩72角成

ならば、先手だけ桂馬が取れそうなので、だんだん良くなります。

72歩成には84飛で

76飛85飛86歩84飛81と

以下、と金を払って、飛車をさばき合って、というのはほぼ互角でしょう。後手の35馬がどう働くか、というのが分かれ目です。


△ 74歩と控えて打つ方が良さそうで

73歩成同桂75飛が狙いです。74同飛に75銀72飛(71飛には82角がある)74歩

1歩で1手を稼ぐ手筋でした。大駒は近づけて受けよ、にも似ていますね。
狙いは同じく73歩成同桂66銀ですが、後手はもう避けられないので腹をくくって、
22玉66銀44馬55歩62銀

ここで73歩成から飛桂の総交換で指せるかどうか。73歩成同桂同桂成同飛同飛成同銀36桂

で44角や54歩を狙います。銀の位置では先手が良いので、うまく攻められれば先手が良くなります。
あるいは1つ前の図で、86歩と桂馬にひもを付けて61角~83角成を狙うとか。


○ 最後は83角です。

82飛には74角成

として75飛などを狙います。

83角に71飛なら72歩

から74角成です。

どちらにせよ馬を作って、後手の35馬とどちらが働くかという勝負です。
駒損は解消し、85桂や78飛が攻め駒として使えそうなので、先手が指しやすいのではないかと思うのですが、どうでしょう。66の銀は57に引いて守りに使いたいです。


☆ まとめ

75同飛から飛車交換でよし、なら話が早いのですが、後手を引いている(後手の手番)ので不安です。ただ、その後の66角と打つ形がしっかりしているので良い勝負。

実戦の75同銀は味の悪い形です。飛車が横に動けないので、銀が不安定なのです。少し指しにくいのだと思います。

75銀の形にするなら、74歩同飛と呼んでおいてからです。1歩と1手の交換というのは場合によりますが、この場合は1手のほうが大きそう。でもその後は銀を66、できれば57まで引いて使いたいです。

73歩は取ってもらえないのでその後を読まねばなりません。互角のさばき合いになるはず。

飛車交換のようにさばき合うと、後手の35馬が働きだすかもしれません。ですから83角から馬を作って指します。

居飛車が左美濃で玉の堅さが同等である場合は、ほかの駒の働きの差が形勢を分けます。
この場合は後手は馬があるので堅いですよ、と主張します。
先手は銀の位置は中途半端ですが、桂と飛がさばきやすいですよ、と主張します。
互角とした変化が多いのですが、飛桂をさばき合うのではその主張ができなくなっていて、だから先手も馬を作るほうが本筋ではないかと思うのです。

とはいえさばき合いが好きで、終盤で勝負、という振り飛車党も多いでしょう。選択はあくまで棋風によるかもしれませんが。




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