名南将棋大会ブログ 名古屋

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20170328今日の一手(その484);少し悪い時には自分から動かないこと

2017-03-28 | 今日の一手
20170328今日の一手

3月5日の名南将棋大会から、HさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は46角1枚。
後手の攻め駒は55桂1枚。

総合すればやや先手が指しやすい局面です。

☆ 大局観として
後手(実際は先後逆ですが)が右玉にかまえた後に1筋から攻めを見せ、私が84角86歩の形で85歩93角を決めた局面です。位を取るのが好きなので、65歩と85歩の2つは大きな拠点です。駒をもらえば64や84に打ち込めますね。ですから玉の堅さにはかなり差があるのです。ただし後手玉は広いので、7筋から中央~3筋方面まで逃げやすいということはあります。
後手も66歩が拠点です。これは清算してもらったり、66銀と取れるようになれば、すっきりしてさらに指しやすくなりそうです。
後手の1筋の攻めがどれだけ怖いか。15歩同歩同香に13歩では18歩で香を取られて悪くなります。15歩の時に手を抜くか、どこかで歩を手に入れて12歩同飛13歩をみせるか、というのが対応策です。つまりあまり怖い攻め筋ではありません。
少し悪い時には自分から動かないことというのは重要なテクニックです。どうも私はこれにはまってしまったようで、悪くしてしまいました。


× 実戦では26歩として

25桂の準備です。15歩に25桂同桂55銀同歩同角

と派手な手順に飛び込んでしまいました。でもこの局面自体は銀損ですね。21飛に84桂62玉25歩54歩66角73桂

桂馬は取り返して、66の歩も払って、うまくやったようにも思えるのですが、73桂と打つのがとても味が良いのです。ここでまだ86銀と我慢しておくべきでしたが、64桂65桂72桂左成同銀93角成

勢いのまま進めてしまいました。ここで77桂成と剥がされるのが痛く、少し進んで

桂馬のお代わりがあり、敗勢です。


△ 目につくのは95歩として

95同歩35歩同歩95香94歩34歩

と桂を取りに行く順です。玉の近くの香を捨てるので効率が悪いのですが、95歩33歩成同金55銀同歩同角

今度は金と飛を射程に入れていますから、このほうが実戦の順よりも厳しいのです。31飛に92歩(同香には84桂)82角64桂

これは91香を取って2枚換えになりそう。先手有利です。


○ 35歩同歩同角

とする手。ここで後手の36歩よりも先手の34歩のほうが厳しいですね。34歩に53角成と暴発しないで46角と引いておきます。15歩同歩同香には12歩同飛13歩

ですから、後手は端を攻められず、指し手が難しいです。

戻ってこの図

後手から動く手が見えません。24歩は同角だと21飛ですが、取らなければよいです。
手待ちをしていたら86銀~95歩同歩94歩

と攻めることができます。


△ 55銀と桂を取ってしまい

55同歩に84桂62玉66銀

と拠点の歩を払ってしまうのも良さそうです。少し駒損ではあるのですが、67金右~95歩同歩92歩というのが狙い。あるいは55銀とするのも良さそうです。

後手は84桂を同金

と取るほうが良く、84同歩同角には55角くらい。54歩で

66角とはやりにくいですね(86桂が残る)。困ったようですが、82金62玉33角成同金83金

で角を取り返せば22角があります。だからこの変化は難しいのですがやや先手よしなのでしょう。


△ 75歩も見える手で

75同歩には66銀の味が良いです。対局中は75同角で何もないと思っていたのですが、87桂93角95歩

というのがありますね。95同歩同桂73金83桂成

83同金93香成同香66銀

桂香と角の二枚換えですが、66の歩を払うのも大きいのでまあまあ。

後手はどこかで67歩成

として、67同銀同桂成同金右93香

かもしれませんが、84歩同金64歩同銀直76桂

と返せます。こっちのほうがありがたいです。



☆ まとめ

少し悪い時には自分から動かないこと
少し悪い時には相手に動いてもらうこと
少し良い時には相手に動いてもらうこと
少し良くても自分から動くのは難しい

どれも同じことを言っているのですが、どれがしっくりくるでしょうか。よほどの作戦勝ちなら攻めてつぶすだけ、ということもあるのですが、レアケースでしょう。作戦勝ちになったら、攻めつぶしますよ、動いてきなさい、と圧力をかけて、相手が動いてくるところをカウンターで決める、というのが一番きれいな勝ち方なのです。


実戦の26歩は15歩の時にきれいな反撃があればよかったのですが、動きすぎて逆転です。自分から転んだという感じでしょうか。私は感覚で指すタイプだったのに、変に読めるようになると(経験で読む力が少しついてしまった)筋の悪い手順(これが案外に手が続いているように見えるもの)に飛び込んでしまいました。

じっと35歩同歩同角とするのが本筋。1歩持って相手から動いてもらうのです。まだ攻め駒が足りない状況ですから、自分から動くのは骨が折れます。(二重の意味でうまいこと言いましたか。)

95歩から1歩持って35歩同歩34歩というのは読める手でしょう。桂馬を持てば84桂とか64桂があるので、この場合は成立しています。

同じような意味で、シンプルに55銀同歩84桂と後手の角を封じてしまうのもあります。84桂はなかなか死なないので攻め駒として働くでしょう。後手は銀よりも桂が欲しい局面だということかもしれません。だから案外に有力です。
後手としても84桂は同金と取り返してなかなか難しい図。桂馬のほうが欲しいのです。一応は先手が指せそうです。

75歩は筋。同角のときに手がなさそうに思えたのですが、87桂と跳ねて使えます。これは端攻めもあって、桂香と角の二枚換えになりそう。守りの桂香を失うので判断は難しいです。


変化を考えてみて、自分から動くのは難しいのだとわかってもらえたでしょうか。だからじっと3筋の歩を交換して待つ、というのが一番良いのだと思います。



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