20170220今日の一手
2月5日の名南将棋大会から、HさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩がないので、この瞬間は駒得なのですが、歩がぶつかっているので後手に持ち歩ができそう。(これは先のことを考えているので大局観が混じっているのですが)損得なしと見ておきます。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒桂1枚。
後手の攻め駒は24角と持ち駒桂で2枚。42飛と54銀も攻め駒として数えられそうなところで、4枚に近いです。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
先手玉のほうが堅いけれど、後手に攻められている、という局面です。攻め駒が少ないので当面は受けておいて、その後で攻め駒を増やそう、と考えるのが普通です。
駒得にしてしまえば条件が2つ(駒得と玉の堅さ)上回ると考えるのは危険で、後手の攻め駒が4枚になるかもしれませんから、駒得よりも玉の堅さ(安全度)を重視するほうが良いです。
寄せ合いに行く、というのがないわけではなくて、4筋を攻められているので駒が入手できる、ということを見越して攻めを考えるのもあります。これは後手玉が薄いから。元は穴熊でもパンツ(21桂)がないし、金銀が離れているのですから、手が付けば速いです。
受けきりが期待できない場合は、寄せあいを見せてけん制するというのも受けのテクニックです。「攻めるは守るなり」といいますね。
× 実戦は25歩でした。
かなり強気ですね。33角なら4筋の圧力が緩和されます。引いてくれるわけはなくて、角を切って攻めてこい、ということでしょう。でも25歩自体は守りが強化されるわけではない(後で26に駒を打たれるかも)ので危険です。
46歩同金(24歩は47歩成、57金は45桂、46同銀は同角同金57銀)同角同銀47歩同飛35桂
というのがうまい手でした。35同歩に36金48飛46金
金銀と角桂歩歩歩の交換で駒得ですが、先手玉が薄すぎます。29桂に47金78飛37金
また格好良く攻められて敗勢です。
○ 自然な受けは45同歩で
だれでもこれから考えますね。先ほどと同じ筋で攻められるのは怖いです。45同銀46歩に同銀
同金同角同銀47歩同飛35桂同歩36金
先ほどとの違いは、26歩(と25歩)の位置、54銀が先手の持ち駒、後手が1歩多い、ということです。
これで48飛46金では自信がありませんが、43歩同飛54角
がぴったりです。
後手は43歩に47金42歩成同金
のほうがましです。しかしこの瞬間は先手の角桂得ですから、強く55角68飛48歩88飛成31銀
と寄せ合いで勝ちです。
55角に44歩なら
44同角46金31飛21飛65歩
33銀打に同飛成以下食いついていけば楽勝。
つまり45同歩46歩に同銀は無理な攻め方でした。引いても仕方ないので56銀のほうでしょうか。
これも強引ですが、56同金64桂65銀56桂同銀57金
は食いつかれている感じです。
64桂には45金
(あるいは55金か)とかわして、76桂77角
遊んでいた76銀が手持ちになった(攻め駒になった)計算ですから悪くないです。後手は攻め駒が増えていない(76桂は攻め駒ともいえない)ので、先手玉が薄くなったとはいえ、十分指せるでしょう。
△ 45同歩がつぶれる、という場合は(大丈夫でしたが)38桂と足してみます。
これで46歩にはどれでも取れるようになったわけです。46同銀45歩37銀33角
ならば桂馬を手放してしまったのが不満ですが、まだこれから。
46歩には同桂もあって、43銀なら44歩から34桂ですから、45銀しかないです。38金32金65歩52金67銀
こちらのほうが良いかもしれません。
どちらも先手がやや不満なのですが、これから。
△ 桂を打つなら57桂もあって
46歩同金45歩47金
これで駒組みになり、38桂よりも57桂のほうが使いやすいです。
× 35歩は同角で
場合によっては有効な、「大駒は近づけて受けよ」の手筋。でも36銀や36金としても逃げてもらえないですし、歩を渡すデメリットのほうが多そうです。
× 53桂はあるのですが
駒得は味が悪いです。後手は41の金は取らせにくいのですが、51金右41桂成同金で桂馬を攻め駒に加えるか、31金61桂成46歩
と手番をもらって攻めることができます。
46同金45桂同金同銀
という図は、57角成、35歩、46歩から47金、57金、など後手から有力な攻め筋が多く受けきるのは困難です。働きの悪い成桂得ではつり合いが取れません。
○ 角を使う65歩は
飛車先を止める受けの意味もあります。やはり46歩同金45桂
と攻めてくるのでしょう。45同金同銀43歩同飛44歩
角筋を生かして反撃できます。47歩の時に43歩成48歩成
と飛車を取りあったところで、この と金を手抜いて33桂31金32と
詰めろの連続で攻められます。先手玉が広くて詰めろがかかりにくい形ですから、寄せ合いで十分指せます。
☆ まとめ
どの受けが良いか、という問題でしたが
普通の受けは45同歩同銀46歩。引いてももらえるわけはなく、46同銀か56銀か。できれば問題図のところで大丈夫かどうか考えておきたいのですが、もとの形勢判断で悪くなければ、自然な手で悪くない(次善手以上になる)ことが多いです。
実戦の25歩は気の強い受けでしたが、強襲されて危険です。後手の攻め駒が4枚に近い時はやめておきましょう。後手の攻め駒が少なければ強い勝ち方になりますが。
自然な手ではつぶされると思えば、38桂とか57桂とか(58桂は68角成ができるので却下)、持ち駒を投入する受けです。ややつまらないですが、ほかの手段がだめなときは考えます。
35歩同角と近づけると角が当たってくるという場合もあります。この場合は歩を渡す悪手。
65歩は46の地点を放棄するようですが、後に44歩で飛車先を止められます。この場合は穴熊をにらむのでかなり味が良いです。その後の読みに自信があれば最強の手段でした。
受けになっていないのは53桂で、4枚で攻められそうですからやめておきましょう。桂を渡すか、手番を渡すだけです。
2月5日の名南将棋大会から、HさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩がないので、この瞬間は駒得なのですが、歩がぶつかっているので後手に持ち歩ができそう。(これは先のことを考えているので大局観が混じっているのですが)損得なしと見ておきます。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒桂1枚。
後手の攻め駒は24角と持ち駒桂で2枚。42飛と54銀も攻め駒として数えられそうなところで、4枚に近いです。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
先手玉のほうが堅いけれど、後手に攻められている、という局面です。攻め駒が少ないので当面は受けておいて、その後で攻め駒を増やそう、と考えるのが普通です。
駒得にしてしまえば条件が2つ(駒得と玉の堅さ)上回ると考えるのは危険で、後手の攻め駒が4枚になるかもしれませんから、駒得よりも玉の堅さ(安全度)を重視するほうが良いです。
寄せ合いに行く、というのがないわけではなくて、4筋を攻められているので駒が入手できる、ということを見越して攻めを考えるのもあります。これは後手玉が薄いから。元は穴熊でもパンツ(21桂)がないし、金銀が離れているのですから、手が付けば速いです。
受けきりが期待できない場合は、寄せあいを見せてけん制するというのも受けのテクニックです。「攻めるは守るなり」といいますね。
× 実戦は25歩でした。
かなり強気ですね。33角なら4筋の圧力が緩和されます。引いてくれるわけはなくて、角を切って攻めてこい、ということでしょう。でも25歩自体は守りが強化されるわけではない(後で26に駒を打たれるかも)ので危険です。
46歩同金(24歩は47歩成、57金は45桂、46同銀は同角同金57銀)同角同銀47歩同飛35桂
というのがうまい手でした。35同歩に36金48飛46金
金銀と角桂歩歩歩の交換で駒得ですが、先手玉が薄すぎます。29桂に47金78飛37金
また格好良く攻められて敗勢です。
○ 自然な受けは45同歩で
だれでもこれから考えますね。先ほどと同じ筋で攻められるのは怖いです。45同銀46歩に同銀
同金同角同銀47歩同飛35桂同歩36金
先ほどとの違いは、26歩(と25歩)の位置、54銀が先手の持ち駒、後手が1歩多い、ということです。
これで48飛46金では自信がありませんが、43歩同飛54角
がぴったりです。
後手は43歩に47金42歩成同金
のほうがましです。しかしこの瞬間は先手の角桂得ですから、強く55角68飛48歩88飛成31銀
と寄せ合いで勝ちです。
55角に44歩なら
44同角46金31飛21飛65歩
33銀打に同飛成以下食いついていけば楽勝。
つまり45同歩46歩に同銀は無理な攻め方でした。引いても仕方ないので56銀のほうでしょうか。
これも強引ですが、56同金64桂65銀56桂同銀57金
は食いつかれている感じです。
64桂には45金
(あるいは55金か)とかわして、76桂77角
遊んでいた76銀が手持ちになった(攻め駒になった)計算ですから悪くないです。後手は攻め駒が増えていない(76桂は攻め駒ともいえない)ので、先手玉が薄くなったとはいえ、十分指せるでしょう。
△ 45同歩がつぶれる、という場合は(大丈夫でしたが)38桂と足してみます。
これで46歩にはどれでも取れるようになったわけです。46同銀45歩37銀33角
ならば桂馬を手放してしまったのが不満ですが、まだこれから。
46歩には同桂もあって、43銀なら44歩から34桂ですから、45銀しかないです。38金32金65歩52金67銀
こちらのほうが良いかもしれません。
どちらも先手がやや不満なのですが、これから。
△ 桂を打つなら57桂もあって
46歩同金45歩47金
これで駒組みになり、38桂よりも57桂のほうが使いやすいです。
× 35歩は同角で
場合によっては有効な、「大駒は近づけて受けよ」の手筋。でも36銀や36金としても逃げてもらえないですし、歩を渡すデメリットのほうが多そうです。
× 53桂はあるのですが
駒得は味が悪いです。後手は41の金は取らせにくいのですが、51金右41桂成同金で桂馬を攻め駒に加えるか、31金61桂成46歩
と手番をもらって攻めることができます。
46同金45桂同金同銀
という図は、57角成、35歩、46歩から47金、57金、など後手から有力な攻め筋が多く受けきるのは困難です。働きの悪い成桂得ではつり合いが取れません。
○ 角を使う65歩は
飛車先を止める受けの意味もあります。やはり46歩同金45桂
と攻めてくるのでしょう。45同金同銀43歩同飛44歩
角筋を生かして反撃できます。47歩の時に43歩成48歩成
と飛車を取りあったところで、この と金を手抜いて33桂31金32と
詰めろの連続で攻められます。先手玉が広くて詰めろがかかりにくい形ですから、寄せ合いで十分指せます。
☆ まとめ
どの受けが良いか、という問題でしたが
普通の受けは45同歩同銀46歩。引いてももらえるわけはなく、46同銀か56銀か。できれば問題図のところで大丈夫かどうか考えておきたいのですが、もとの形勢判断で悪くなければ、自然な手で悪くない(次善手以上になる)ことが多いです。
実戦の25歩は気の強い受けでしたが、強襲されて危険です。後手の攻め駒が4枚に近い時はやめておきましょう。後手の攻め駒が少なければ強い勝ち方になりますが。
自然な手ではつぶされると思えば、38桂とか57桂とか(58桂は68角成ができるので却下)、持ち駒を投入する受けです。ややつまらないですが、ほかの手段がだめなときは考えます。
35歩同角と近づけると角が当たってくるという場合もあります。この場合は歩を渡す悪手。
65歩は46の地点を放棄するようですが、後に44歩で飛車先を止められます。この場合は穴熊をにらむのでかなり味が良いです。その後の読みに自信があれば最強の手段でした。
受けになっていないのは53桂で、4枚で攻められそうですからやめておきましょう。桂を渡すか、手番を渡すだけです。