名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(450); 四間飛車に居飛車穴熊

2017-03-06 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番西村先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年11月、内藤国雄先生と第11回連盟杯争奪戦決勝です。


大山先生の四間飛車に内藤先生は玉を固めます。左美濃に見えましたが

引き角にして

居飛車穴熊。前にもありましたが、66銀と58金右の形がうまくありません。また、端歩を突いているのも少ないです。大内先生の穴熊に影響されたんでしょう。

59金と一手損でも固めてしまおうというのが内藤先生の工夫でした。まあ最初から59金右なら問題なかったのですけど。

46角から後手玉をにらむのは守勢になるのでつまらないのですが、

この形は7筋の歩を交換できます。ただし金の動きで1手、端で2手遅れていますからここまで。後にここを改良して78飛とまわって後手玉を直接狙う指し方が出てきました。中原大山戦だったはずなので、後で出てくるでしょう。

おとなしく指した後は大山先生のターン。角頭から動きます。

その後が大胆で、62角として65歩を誘い、中央を戦場にします。

金を使って中央を制圧しました。86の銀がおかしいですよ、と言っているわけです。

二つ謝らせて良い気分。

左桂を使い

成桂を作って大山先生有利です。

ここが不思議なところで、内藤先生は66銀を狙っているのですが

あっさり許して成桂を引きます。

角を切らせて

56飛を許して平然と銀を上がるのです。何かありそうですよね。大山先生はどこまで読んでいるのでしょう。駒損ですが、穴熊から見ればなにかありそうですよね。

内藤先生は54歩から65桂で52歩を打たせました。ここは重く53金と打ち込みますか。取れないで33飛52金は重いけれど攻めは切れません。

だけど華麗な将棋の内藤先生にはわかっても指せない手なんでしょうね。大山先生はそこまで見こしているのか?と思わせます。飛車を切って歩で攻めるのは内藤先生らしいのですが

大山先生は一息ついたところで飛車を成り

内藤先生は食いつきます。

馬を作ってまあまあに見えるのですが、大山先生は63玉から

51銀に82飛。これで受かっているようです。

馬が消えたら中段玉はつかまりません。この銀打が攻防になって

投了図。

まだ居飛穴の組み方が洗練されていないので、振り飛車も苦労していないなあ、という感じです。今回は大山先生が相手の指したそうな手を用意しておいて、その先に受けがあった、という流れです。内藤先生から見ると、なにか手がありそう、うまくいきそうだけど届かない、そういうじれったい感じがすると思います。穴熊だと豪快な手(大駒を切るとか)が出てくるのですが、筋の悪い手も入れて食いつくことも必要でしょう。内藤先生は筋の悪い手を好まないので向いていないように思います。
後手をもって、つぶれそうなところを受けきってしまう、そういう将棋を学べます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄9段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 5八金(49)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 7八玉(68)
14 7二銀(71)
15 5六歩(57)
16 7一玉(62)
17 5七銀(48)
18 6四歩(63)
19 7七角(88)
20 5二金(41)
21 8八玉(78)
22 4三銀(32)
23 6六銀(57)
24 7四歩(73)
25 6八角(77)
26 3三角(22)
27 2五歩(26)
28 2二飛(42)
29 9八香(99)
30 6三金(52)
31 9九玉(88)
32 8二玉(71)
33 8八銀(79)
34 8四歩(83)
35 7九金(69)
36 8三銀(72)
37 3六歩(37)
38 7二金(61)
39 1六歩(17)
40 1四歩(13)
41 5九金(58)
42 5四歩(53)
43 4六角(68)
44 5一角(33)
45 6九金(59)
46 4五歩(44)
47 3七角(46)
48 7三角(51)
49 7五歩(76)
50 同 歩(74)
51 同 銀(66)
52 7四歩打
53 8六銀(75)
54 4四銀(43)
55 6六歩(67)
56 3五歩(34)
57 2六飛(28)
58 6二角(73)
59 6五歩(66)
60 5五歩(54)
61 6四歩(65)
62 同 金(63)
63 5五歩(56)
64 4六歩(45)
65 同 角(37)
66 5五金(64)
67 2八角(46)
68 5六歩打
69 5八歩打
70 7三角(62)
71 1八香(19)
72 6六歩打
73 6八歩打
74 3三桂(21)
75 3五歩(36)
76 4五桂(33)
77 3四歩(35)
78 5七歩成(56)
79 同 歩(58)
80 同 桂成(45)
81 3三歩成(34)
82 同 銀(44)
83 3六飛(26)
84 3四歩打
85 7七銀(86)
86 4二飛(22)
87 6六銀(77)
88 5六成桂(57)
89 5五銀(66)
90 同 成桂(56)
91 同 角(28)
92 同 角(73)
93 5六飛(36)
94 4四銀(33)
95 5四歩打
96 4三飛(42)
97 6五桂打
98 5二歩打
99 5五飛(56)
100 同 銀(44)
101 5三歩成(54)
102 同 歩(52)
103 7三歩打
104 6二金(72)
105 5四歩打
106 同 歩(53)
107 5三歩打
108 4七飛成(43)
109 5一角打
110 6一金(62)
111 7二金打
112 同 銀(83)
113 同 歩成(73)
114 同 玉(82)
115 7三歩打
116 8二玉(72)
117 5二歩成(53)
118 同 金(61)
119 7二歩成(73)
120 同 玉(82)
121 8四角成(51)
122 6三玉(72)
123 5三歩打
124 4二金(52)
125 5一銀打
126 8二飛打
127 4二銀(51)
128 8四飛(82)
129 5二歩成(53)
130 7六銀打
131 7七桂(89)
132 6四玉(63)
133 7八金(69)
134 6六銀(55)
135 投了
まで134手で後手の勝ち
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20170306今日の一手(その473);駒損でも攻める

2017-03-06 | 今日の一手
20170306今日の一手

2月19日の名南将棋大会から、Tさんと私の将棋です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
少し前から

角換わりからの後手右玉で、端の位をとってのんびり指されたので、地下鉄飛車でつぶしてしまえ、と予定通り98香としたら54角。対局中はどうにかなるものだと思っていたのですが、これはハメられた図です。
75歩が受かりませんし、98香も狙われています。7筋を無視して9筋から攻めても、後手玉は62の位置ですし、かなり困っています。この形は避けなければいけなかったのです。
99飛がだめなので45歩としたのですが、45同桂同桂の時に何でもないので75歩

とされたらアウト。

75歩ではなくて45同角だったので、24歩同歩に46角としたのですが、ここでも75歩があり

57桂54角55歩に76角

と強攻されたらアウト。

46角は変な角ですが、一応は後手の角の捕獲を狙った手だったのですが。
実戦は35歩

で少し安心しました。24歩同歩を入れておいたのでだませた感じです。角は殺せませんが、57桂23角24飛75歩45歩53銀65歩、とできて棋勢好転です。33金とされたのが問題図で

後手は飛車を追うならもっと早く(75歩の前に)追うべきでしょう。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。歩切れなので駒損にカウントします。ただし歩が3か所ぶつかっていますから補充は利きそうですが。
玉の堅さは同程度。81飛の守備力があって・・・と考えると難しいのですが、とりあえずそんなに差はありません。
先手の攻め駒は24飛46角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒桂1枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
飛車を逃げるか切るか、難しいところで追われた図です。パッと見はどれもありそうなんです。
まずは飛車を逃げたらどうなるかを考えるのが普通でしょう。それでまずいと思えば、飛車を切るか捨てるか。
こういうところでどれから考えるかは棋風によるのですが、私は65歩と突いたところで形勢がよくなった、という感触があったので飛車を捨てました。先手玉は飛車に弱い形なので、飛車を渡すのはかなり危険なのですが、29飛はほとんど考えず、23飛成は切りすて、6筋を狙いました。
考えていないので理由は後付けですが、飛車を逃げてゆっくりしていると、後手から76歩同金84桂~76歩という攻め筋があります。逃げているのでは攻め合い負けになるという判断です。


△ 普通は29飛です。

これで65歩としてもらえるなら、65同桂左同桂同桂64銀左に23飛成同金73角

質駒を取る順で圧勝。

後手は76歩のほうがいいのかもしれませんが、一番嫌なのは24歩

と守られることです。これで76歩の筋よりも早い手があるかどうか。それがなさそうで、64歩同銀左65歩53銀に堂々と75歩と取り、76歩同金84桂

に85金(これは取りにくい)76歩74金

と勝負するくらいです。77歩成同銀72歩に63金同金64銀

は52金打でも69飛とか35角とか使えるから先手優勢かも。


後手としては76歩よりも66歩のほうが少し得で、54桂があるので取りにくく、76金84桂85金に76桂

で銀を逃げると85桂同桂同飛で危険。銀を取られるのでは自信なしです。


△ ぱっと見えるのは23飛成で

有力なのですが、遊んでいた後手の角が飛車と交換になるのですから、その先に成算がないといけません。
あまりゆっくりできないので、23同金に64歩同銀左65歩53銀55角打

でしょうか。手堅く61桂と使えば11角成

でこれは先手十分です。

後手は怖くても72銀しかなさそう。

歩切れなので、75歩66歩同金54桂74歩

と7筋の歩を突きだしていきます。46桂同角49飛にも59桂と受ければ、36歩には64歩

としていって、駒損ですが73歩成から65桂の筋が狙えます。

なお、後手は75歩に54歩もありますが

66角63銀に64歩同銀左74歩

といううまい筋があります。


× だめなのは64飛で

64同銀直同歩66歩同金54桂

手番を渡しているので反撃が厳しいです。


○ 実戦は64歩で

銀をかわしてもらえるならかなりの得です。当然24金63歩成同玉(金もあるが玉が勝る)に65桂左

と使えます。65同桂同桂64歩の時に55桂はないか

と少し考えたのですが見送りました。でも54玉に73桂成

はかなり有力です。46角や55桂は頭が丸いので、上に玉を逃がす順はかなり指しづらかったのですが。
45玉には63桂成42金53成桂同金55角

で寄せ切れそう。

51桂と受けると72銀があり

84飛に83銀成同飛同成桂39飛69歩

と飛車を取るのも悪いことはないですが、

途中63桂成

のほうが筋が良いです。63同桂同成桂同金の時に55歩45玉63銀成

ならば勝ちでしょう。

実戦は55桂以下を見送って53桂成

と銀を取りました。(他に75歩65歩73角成54玉72馬で王手飛車をかけるのもあります。)
53同玉の時に攻め駒4枚、なんとでもなりそうなのですが難しかったです。73銀42玉64角32玉に25歩

と打って手ごたえを感じたのですが。25同金37桂24金25歩14金72銀不成21飛24銀

と拠点を作って打ち込めば切れにくいのかと。(少し飛ばしますが、手順は28飛55角24金同歩同飛成35歩33歩44歩35竜46銀26竜24歩14角23金)

の時に飛か角で取るのが有力ではあっても少し私のほうが良いか。42玉と逃げたので43歩成同金44歩53金45桂

がぴったり詰めろで勝ちになりました。


☆ まとめ

自信がない時は自然な手を指すほうが間違いは少なく、29飛がいいでしょう。その後の玉頭の戦いは後手を持ちたい気がするのですが、先手もうまく対応する順はありそう。

23飛成は部分的には有力なのですが、もともと遊んでいた角なので取りたくはない感じです。後手のAさんは切られても構わないと指したわけですからなおさらです。
ただし手の計算から言えば、後手は1手かけて交換してもらったわけですから、その先の角の使い道があればよいわけです。55角打の筋で攻める順がありました。

64飛は悪手ですが

64歩は当然考えたいと思うのです。Aさんは意外な感じでしたが。飛銀交換でも、その後2枚の桂が攻めに使えるので攻め駒は4枚。十分に手が続きます。
駒損すると戦力不足になりやすいのですが、それをカバーできれば好手です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする