名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(438); 四間飛車穴熊に銀冠

2017-02-22 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番桐山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜
昭和53年9月、西村一義先生と第11回連盟杯争奪戦です。

西村先生の四間飛車穴熊。副総裁ですから当然です。

大山先生は左美濃から

銀冠に。

角筋を通したまま右桂を使いました。もちろん65歩から攻める狙いです。

西村先生は端で1歩入手して桂頭を攻めようと動きました。

1歩入手して

大山先生は急いで動かないといけません。角を攻めて

59角に68歩から67歩、これが と金の種になります。

6筋を攻めます。

56同飛に と金を作りました。

74歩に67と?と思ったら55歩。飛車を逃げるところがないですね。55同飛か73歩成か悩むところですが

55同飛でした。どちらにしろこの58と が厳しくて大山先生が有利です。

66角と逃げられるのですが、あっさり交換で飛角を打ち込んで、寄せの早さが違います。銀冠も堅いですね。

38角にはあわてず角を成って

西村先生も寄せを目指しますが、大山先生は味よく銀を取った馬が急所です。

62飛でけん制されても金を取って

と金がそっぽですが2枚換え。

詰めろがかかり

西村先生は受けるのですが駒損ではいけません。

投了図。

西村先生の37金の形、25歩~26歩という筋に対応した形だったのですが、まだ25歩を突かれていないので穴熊が薄くなっただけ損でした。それを見て64歩~65歩の攻め筋を選んだ大山先生がうまかったです。
後手をもって気持ちよく並べましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.30 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:西村一義7段
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 6七銀(78)
14 5三銀(62)
15 2八玉(38)
16 5二金(61)
17 5八金(69)
18 1四歩(13)
19 7七角(88)
20 1五歩(14)
21 1八香(19)
22 3三角(22)
23 1九玉(28)
24 2二玉(32)
25 2八銀(39)
26 3二銀(31)
27 3九金(49)
28 2四歩(23)
29 4八金(58)
30 2三銀(32)
31 3六歩(37)
32 3二金(41)
33 4六歩(47)
34 8五歩(84)
35 3七金(48)
36 7四歩(73)
37 5六歩(57)
38 9四歩(93)
39 5八飛(68)
40 6四歩(63)
41 9六歩(97)
42 4二金(52)
43 9八香(99)
44 7三桂(81)
45 7五歩(76)
46 同 歩(74)
47 9五歩(96)
48 6五歩(64)
49 5五歩(56)
50 同 歩(54)
51 9四歩(95)
52 8六歩(85)
53 同 歩(87)
54 6六歩(65)
55 同 銀(67)
56 7六歩(75)
57 5九角(77)
58 6八歩打
59 同 角(59)
60 6七歩打
61 5九角(68)
62 6二飛(82)
63 4八角(59)
64 5六歩(55)
65 同 飛(58)
66 6八歩成(67)
67 7四歩打
68 5五歩打
69 同 飛(56)
70 同 角(33)
71 同 銀(66)
72 5八と(68)
73 6六角(48)
74 同 飛(62)
75 同 銀(55)
76 6九飛打
77 7三歩成(74)
78 5六角打
79 3八角打
80 6七角成(56)
81 6三と(73)
82 4四銀(53)
83 5四桂打
84 3三金(42)
85 5二と(63)
86 6六馬(67)
87 6二飛打
88 3九馬(66)
89 6九飛成(62)
90 2八馬(39)
91 同 玉(19)
92 6九と(58)
93 7五角打
94 5八飛打
95 4二桂成(54)
96 4八銀打
97 3二成桂(42)
98 同 金(33)
99 4八角(75)
100 同 飛成(58)
101 4九金打
102 6八龍(48)
103 4一飛打
104 5九と(69)
105 投了
まで104手で後手の勝ち
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20170222今日の一手(その467);攻めさせてカウンター

2017-02-22 | 今日の一手
20170222今日の一手

2月5日の名南将棋大会から、IさんとUさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答
問題図の少し前の局面から。定跡講座です。石田崩しには棒金が有名ですね。

ここで58金左に74歩が後手のねらい筋ですが、74同歩同銀には64角

75歩91角成76歩81馬

飛車は捨てても桂香と2枚換えです。以下52飛65桂77歩成56銀

と進めばはっきりしますが、これは振り飛車よしです。84金74銀が遊んでいます。

戻って、74歩同歩同金

と1歩を交換して、75歩84金に56銀なら95歩同歩96歩

ここに歩を打ちたかったというわけです。96同飛は95香の田楽刺し。88角75金に73歩同飛85桂

とすれば飛車は助けられますが、74飛78飛76歩

と抑え込んでしまえば居飛車が有利です。

戻って74歩同歩同金75歩84金の時に65歩と突くべきで

これなら95歩同歩96歩88角75金の時に36飛

とかわせます。33銀に96飛76歩64歩同銀65歩

というのはやや居飛車よしながらよい勝負。

後手のもう一つのねらいは95歩同歩同金

と行く筋です。(この時には72飛より82飛44歩の形で、というのが定跡書に載っているのですが。)
65歩96歩64歩同銀79角

と角を抑え込んでしまえば、95金が変な位置ですが後手も指せるところです。

さて、実戦では居飛車の攻めが待っているので、86歩と動きました。

棒金に対しては見たことがなかったのですが、72飛をとがめようとしたのですね。86同歩同飛85歩76飛に(82飛で問題図でしたが、82飛ではなく)74歩同歩同金には84歩

と垂らそう、という意図だったと思われます。75歩83歩成71飛72歩

と後手の飛車先を止められます。止まれば75角でさばけますから、76歩71歩成77歩成58銀

として、これは難しい戦いです。

やっと問題図で

84歩の筋を避けて82飛とされたところ。

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。69金が離れているのですが、どちらも金銀2枚なら美濃囲いのほうが良いでしょう。
先手の攻め駒はありません。ただし74歩は必ず取ってもらえるでしょうから、飛角はすぐに攻め駒になります。
後手の攻め駒は22角1枚。守備の意味が強いですが、84金は攻めに使えるかも。

総合すればやや先手が指しやすいです。

☆ 大局観として
以前に、私が三間飛車を苦手にしていたと書きましたが、石田流に対して棒金もよくやっていました。でもこの戦型、玉の堅さが違うのでいつの間にかさばかれて負けてしまうのです。だけど玉が薄くても抑え込むというのが好きで、つい指してしまうのですよね。
先手のほうが玉が堅く、攻撃力もある、というのは58金左56銀まで進んでしまうとよくわかるのですが、美濃囲いで飛角銀桂を使いやすいので攻撃力もあるのです。
居飛車の方は角と91香は攻め駒になるかもしれませんが、飛先は重く、棒金が前に出ていくのは遅いですし、出ていけばよいというものでもなく、指しこなすのは難しいです。
ですから、この戦型はあまり指されません。居飛車も美濃囲い(銀冠)にしてから石田崩しを考えるか、居飛穴にしてしまうか、というほうがスマートな考え方です。(でもわかっているけどやめられない、というやつなんですよね、今はやめました。)

後手の工夫というのもいろいろ考えられまして、古くは54歩~53銀~42金と64の地点を手厚くしておく指し方、63の銀を62で止めておく指し方、33銀~31角~54歩で引き角にする指し方、棒金ではなく棒銀にする指し方、などがあります。
先手もまともに石田崩しを食らってはまずい、と76に金をもっていく指し方、88角79銀のまま65歩から角交換とか、いろいろな対応があります。石田本組みに組んでしまうのは少ないかも。

さて、問題図は後手が72飛~82飛と2手損、先手は87の歩を手持ちにしている、ということで、通常よりも得をしているはず。1歩持っているのは大きく、すぐに6筋を攻められそう(可能)なんです。
すぐに行くのがいいか、力をためるか、玉を固めるか、仕掛けのタイミングの問題です。得をしているのでどれもありそう。いつ仕掛けましょうか?


× 74歩から。

つぶれるとみれば74同金もありそうですが、飛車切りを考えなければいけないので74同歩が普通の応手。65歩同歩64歩54銀56銀

これで飛角銀桂が働きだします。64歩の拠点も大きいです。66歩65銀67歩成54銀同歩63歩成

と金の作り合いは先手のほうが攻めに使えそうです。やや先手よし。

後手は75歩として

金を使うほうが良いでしょう。75同角72飛84角76飛

これは難しい図ですが、84の金が飛車に替ったのですから後手も十分でしょう。74歩を入れるのは早い感じです。


△ 65歩は

65同歩同歩64歩を同銀と頑張って

74歩に62飛

でどうか。これは互角です。ゆっくりしていると74歩~75歩があるので先手が少し忙しいか。

65同歩64歩54銀に56銀とかわしたら

これなら75歩はないわけです。でも86歩同角74歩同歩75歩

1歩もらったので後手が動きます。75同角同金同飛の時いろいろありますが、66角

85飛同飛同桂89飛58金左85飛成

これは後手よしか。


△ 実戦では56銀と力をためました。

後手は思い切って95歩同歩同金、これに74歩同歩65歩

と反撃したのですが、96歩64角同銀同歩87角

の両取りが痛かったです。以下は74飛73歩83歩同飛84銀74歩83銀成

と飛車交換に持ち込んだものの、69の金を取られるのですから後手が有利です。

95歩同歩同金には64角

と角を捨てて、64同銀95香

これは駒損ですが、95同香には74飛で飛車をさばけば先手が指せそう。75歩や75銀は96飛で87角に99飛を用意してまあまあ。84飛91香成87角95金

これで飛車交換なら金取りを防いだわけで、十分戦えました。


○ 平凡ですが58金左として

87角に備えていたほうが良さそうです。これで56銀や65歩や74歩同歩65歩と攻める筋が指しやすくなります。
95歩同歩同金なら74歩同歩64角

と同じように進めて64同銀95香75銀

くらい。96飛に92歩と謝っても、構わず92同香成同香93歩同香94歩

と端から飛車をさばいて有利です。


☆ まとめ
すぐに攻める手は少なくとも1歩は渡すことになるので75歩の筋(74歩同歩75歩も含めて)で後手も戦えます。

力をためるほうが良いのですが、実戦の56銀は角を渡しづらく、95歩同歩同金の時に注意が必要です。抑え込まれてはいけないので64角以下さばくのですが綱渡り。

じっと58金左(あるいは78金でもよいのですが)として、攻めますよ、嫌なら95歩と攻めてきなさい、と誘うのです。作戦勝ちなのですから、攻めさせてカウンターが最強の手段です。

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