名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(266); 中飛車に袖飛車

2016-09-03 | 大山将棋研究
昭和50年12月、中原誠先生と第14期十段戦第4局です。


大山先生の中飛車で、しっかり32金と守る形です。英ちゃん流なのでここで守らなくても大丈夫ですが。

中原先生は袖飛車。57銀右の加藤一二三先生得意の袖飛車の前に指されていた形です。まだ棒銀に戻すこともできましたが

3筋の歩を交換。74歩を見て、大山先生得意の袖飛車(これは7筋の方)を警戒して、66歩から持久戦です。

36の地点に銀を出て3筋を攻めるのが狙いです。

銀交換になりました。

大山先生は時々ここに銀を打ちますね。でも本譜の場合は31歩としているので3筋に歩が打てません。

58歩は69金で一応受かるので、47銀の効果が見えません。

81飛で77桂と跳ねさせ、互いに陣容強化ですが、ここから大山先生が45歩同歩48歩と動いたのがまずかったのでしょう。

銀を合わせるのが中原先生の好手。

この図、飛の働きが違うので、後手から攻めにくいのです。49に と金があるので悪いとも思えないのですが、どう動いてよいものやらさっぱり。中原先生からは34歩22角23歩あるいは34歩42角22歩があります。

大山先生は54歩同歩同金とするのは消去法か。でも43銀は無駄にならない手です。大山先生の47歩もなかなかの手ですね。かなり時間を使って読み合っているのでしょう。

と金を2枚作って大山先生がよいようですが

これで銀が死んでいます。大山先生は47と と捨てて

助けました。

中原先生は角交換には応じずに飛角の取り合いにします。ここで37角成同飛同銀成55歩かとも思いましたが、取り合いになって

35角が好位置なので中原先生が有利です。大山先生は平凡に38飛ではなかったかなあ。

44歩と打ち捨てて と金を捨てるのは手筋なのですが

桂馬を取るだけではだめでしょう。攻防の26角打ちで困りました。中原先生の攻め駒が多いですね。

大山先生は55の銀が攻めに働かないので足りません。56桂も自然な寄せなのですが

中原先生はその桂を取り同銀に55桂の寄せの予定。大山先生は25歩で催促ですが、中原先生は攻め駒が多いので露骨に迫ります。

72銀は粘りのある受け方。でもここで53と と寄せます。

角を取らせて

これで詰めろ。

そのまま進行して終わりです。

大山先生が47銀と打ったのが今一つ。36歩が打てるなら話は分かりますが、2歩ですからね。中盤は難しい応酬ですが、81飛が受けにしか働いていないので中原先生のほうがよくなりやすいです。これでストレート防衛です。大山先生は中原先生には勝てませんね。本局はいい勝負ではあるのですが、大山有利という局面はありませんでした。
中飛車対策に古い袖飛車もやってみようかと思いました。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原誠十段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 3六歩(37)
16 4三銀(42)
17 4六歩(47)
18 3三角(22)
19 2五歩(26)
20 3二金(41)
21 9六歩(97)
22 9四歩(93)
23 6八銀(79)
24 7二銀(71)
25 5七銀(68)
26 1四歩(13)
27 3八飛(28)
28 6四歩(63)
29 3五歩(36)
30 同 歩(34)
31 同 飛(38)
32 7四歩(73)
33 6六歩(67)
34 6三銀(72)
35 6七金(58)
36 7二金(61)
37 6八金(69)
38 5四歩(53)
39 1六歩(17)
40 8四歩(83)
41 4七銀(48)
42 7三桂(81)
43 3八飛(35)
44 5五歩(54)
45 同 歩(56)
46 同 飛(52)
47 3六銀(47)
48 5一飛(55)
49 5六歩打
50 3四歩打
51 3五歩打
52 2二角(33)
53 3四歩(35)
54 同 銀(43)
55 2四歩(25)
56 同 歩(23)
57 3五銀(36)
58 同 銀(34)
59 同 飛(38)
60 3一歩打
61 3七桂(29)
62 4七銀打
63 1五歩(16)
64 同 歩(14)
65 8六歩(87)
66 5八歩打
67 6九金(68)
68 8一飛(51)
69 7七桂(89)
70 3三角(22)
71 5五歩(56)
72 4三金(32)
73 7九角(88)
74 4五歩(44)
75 同 歩(46)
76 4八歩打
77 5六銀打
78 同 銀成(47)
79 同 銀(57)
80 4九歩成(48)
81 5八金(69)
82 5四歩打
83 同 歩(55)
84 同 金(43)
85 4三銀打
86 4七歩打
87 4六角(79)
88 4八歩成(47)
89 6八金(58)
90 5九と(49)
91 5四銀成(43)
92 同 銀(63)
93 5三金打
94 6三銀打
95 5五歩打
96 4七と(48)
97 同 銀(56)
98 5五角(33)
99 5七角(46)
100 2六銀打
101 5六銀(47)
102 3五銀(26)
103 5五銀(56)
104 同 銀(54)
105 3五角(57)
106 4四歩打
107 同 歩(45)
108 6九と(59)
109 同 玉(78)
110 3九飛打
111 5九歩打
112 3七飛成(39)
113 2六角打
114 3八龍(37)
115 4三歩成(44)
116 5六桂打
117 6三金(53)
118 同 金(72)
119 3九歩打
120 4九龍(38)
121 5六金(67)
122 2五歩(24)
123 7一銀打
124 8三玉(82)
125 8二銀打
126 7二銀打
127 5三と(43)
128 同 金(63)
129 同 角成(35)
130 2六歩(25)
131 8一銀(82)
132 同 銀(72)
133 5五金(56)
134 8七角打
135 7八桂打
136 8八銀打
137 8二金打
138 同 銀(81)
139 7二銀打
140 投了
まで139手で先手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月の予定

2016-09-03 | 名南将棋大会
11月の予定が決まりました。

第165回は
壱9月24日(土);R1400以上
弐9月10日(土);R1400以下
第166回は
壱10月1日(土);R1400以上
弐10月8日(土);R1400以下
第167回は
壱10月29日(土);R1400以上
弐11月26日(土);R1400以下


11月に日程の余裕が少なく(壱)のほうは10月に2回目をやります。
アマ王将戦とか東海リーグで日曜がつぶれて、また土曜日開催です。

ご参加お待ちしております。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160903今日の一手<その381> ; 振り飛車穴熊らしい指し方

2016-09-03 | 今日の一手

20160903今日の一手

8月13日の名南将棋大会から、SさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。穴熊のほうが遠いということはありますが。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は55銀と持ち駒角で2枚。

総合すれば互角です。

大局観として

先手は47の金が浮いていて、67歩同飛58角という筋が付きまといます。後手も52金が離れていますが飛車のひもが付いているので、先手のほうが苦労しそうです。

駒得にできるか。すぐに取れる駒はないので、馬を作ったり と金を作ったりを考えます。
玉を固める余裕があるか。48金左(引)や37金など、47の金を動かしたいのですが。
攻め駒を増やすなら68飛と65銀の活用です。65銀が移動する手ですね。77桂としても65に跳ねられないので桂馬は使えません。
と、形勢判断の3つの要素を考えるわけです。


× 48金引と待てば67歩88飛63金で

歩損です。金を引いても67歩を取れないのではうまくありません。


△ 実戦では56歩でした。

44銀と引いてもらえれば飛車を使いやすくなるのですが、当然46銀同金57角で48飛

Hさんはこれでも悪くないと思っていたようです。48角成同金68飛75角65飛成41銀

後手にだけ竜を作られましたが、銀をひっかけて難しいわかれです。
64歩に52銀成がおかしく、52同飛62歩成同飛53金

これでは75の角が使えず切れ模様になりました。

52銀成では32銀成のほうがよく

32同玉71角72飛62金

と攻めることになります。以下は71飛同金と 金が離れていく感触が悪いのですが、難しい形勢です。

ただ、この図を見ていると、48の金にひもが付いているとはいえ囲いから離れていますし、46金も中途半端。62の金もそっぽに行きます。筋の悪い指し方と言えましょう。(将棋の場合筋が悪いというのは悪い手ではない場合もありますが)


△ 56銀と引くのは筋の良い指し方です。

飛車先が通ったので、44銀のような手では71角92飛62歩成

で先手有利。

56銀には同銀同歩67歩(56銀の前に67歩も同じことになりそう)

となって、48飛なら63金

で後手のほうが指しやすいでしょう。

67歩を同飛と取って58角57飛76角成

この図でまあまあに見えるのですが、41銀には68銀


48金引には66歩

として、どちらも後手が少し指しやすいのです。


△ 54銀と攻めに使うのもよさそうな手で

でも67歩があります。48飛(38飛としたくても69角が嫌味)84飛56歩66銀

飛車が攻めに働かないので後手のほうがわかりやすい感じですが、88角と打って形勢は互角です。


○ 71角として馬を作ると

少し駒得になります。72飛なら26角成67歩38飛

馬を作ったので38飛と指しやすくなっています。69角には56銀か56金か。この時後手の飛車が変な位置なので先手が少し指しやすそうです。
44銀と備えれば54銀から45銀とぶつけます。35歩が切り札になります。

71角に92飛なら

56銀同銀同歩67歩同飛58角57飛76角成に83銀

と、前にやった56銀と同じように進めて、銀を打てば飛車取りと62歩成を狙えます。穴熊ならこれくらいの重い攻めでもよいです。

71角に84飛なら

62歩成に53角

と返し技を狙うことになります。でも52と71角53金

と重く打って、54銀から43銀成を狙えば先手よしです。


○ 最後に35歩として

35同歩なら71角72飛35角成

とするほうが少し得なのです。これも穴熊特有ですね。

35歩に44銀と辛抱すれば

34歩同銀54銀67歩38飛35歩45歩

という調子で玉頭戦に持ち込みます。71角から35角成という強襲の筋も狙えるので相当です。

☆ まとめ
振り飛車穴熊で47金の形は、バランスを取る手で、位取りを防いだり35歩の攻めを見るのですが、さばき合いになる前に金を移動しておくべきなのです。47に残ったまま大駒交換では心細いです。

ですから問題図でも48金引や37金を考えてみるのですが、戦いになってから1手戻すのでは少し悪いですね。

自然な手は56銀か54銀で飛車先を通すのですが、どちらも難しい形勢です。

71角から馬を作っておくのはのんびりした感じですが、この場合は後手の82飛を移動させて働きを弱めることができるので、単純に馬を作る以上の価値があるのですね。

さらに35歩と欲張ってもよく、35同歩71角なら十分。放置したら34歩同銀38飛とまわるイメージです。これが一番振り飛車穴熊らしいと言えるでしょう。

実戦の56歩は、両取りの筋を読んでしまって、それでも悪くない、とわかればやってみたくなるのですが、金が上ずるので止めておきましょう。形勢は難しいのですが、もっと穴熊らしい手が指せないといけません。


特に級位者のうちは穴熊はやめておいた方がよいです。特に振り飛車穴熊は簡単に悪くなります。上手く指せば気持ちよく勝てるのでやりたいというのはよくわかるのですが、指し続けるのならスペシャリストになる覚悟が必要です。
大山先生の棋譜を並べていて(第3巻から始めたのが悪かったでしょうか)、振り飛車穴熊も結構あるのですが、強い相手には大山先生でもうまくいっていません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする