名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(194); 中飛車穴熊に銀冠

2016-06-23 | 大山将棋研究
昭和49年11月、関根茂先生と第29期A級順位戦です。


大山先生の中飛車穴熊です。

関根先生は腰掛銀に。右4間にはならないので珍しい指し方です。

3筋の歩を交換しようとすれば金を引く。これが大山先生オリジナルのはずで、加藤一二三先生の急戦(56歩57銀68銀の形)で引いたのが有名です。3筋を交換すれば32飛から飛車交換が狙えます。

そこから長い駒組みで、大山先生が銀を出て戦いが始まります。65歩同銀同銀同桂64銀で桂取りが受けにくい、だから関根先生は攻めるしかありません。

攻めるなら2筋を突き捨てて45歩しかありません。65歩と突かれたので角を出て

大山先生に46歩と垂らされて、と金つくりを防ぐのに苦労します。

左桂がさばけて穴熊としては十分すぎます。

関根先生は苦労して局面を収めようとしますが

大山先生は軽く指します。

角を打って

馬を引き付けるのは誰でも好きでしょう。

でも穴熊は位取りに対してはそんなに固いわけではなく、関根先生待望の反撃です。

手堅く守られてとりあえずここまで。

どうにか飛車をさばきに行きました。

大山先生は成桂を捨てて飛車を成り込み

関根先生はうまく受けることができません。ということで形勢挽回できず。

桂馬をもらったので穴熊を薄くできましたが

軽く歩を垂らされて困りました。54飛や65銀では足らないから78銀と受けるべきだったでしょう。

関根先生は攻めましたがここまで。82銀成から2枚渡せば76馬から詰みます。

逃げ出そうとしても王手竜までかけられて

投了図。


大山先生には珍しい固める穴熊で、とは言っても32の金を引き寄せるわけですが、中盤以降は今はよく見る穴熊の勝ち方です。でも昭和49年ですからね。穴熊党には参考になるでしょう。終盤の読みの力があれば穴熊は勝ちやすいです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:関根茂8段
後手:大山十段
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5八金(49)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 8二玉(72)
15 9五歩(96)
16 9二香(91)
17 4六歩(47)
18 4三銀(42)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 3六歩(37)
22 3二金(41)
23 4七銀(48)
24 9一玉(82)
25 5六銀(47)
26 8二銀(71)
27 3八飛(28)
28 3一金(32)
29 6六角(88)
30 4一金(31)
31 8八玉(78)
32 2二飛(52)
33 2八飛(38)
34 5二金(41)
35 7八銀(79)
36 7一金(61)
37 8六歩(87)
38 6四歩(63)
39 8七銀(78)
40 5四銀(43)
41 7八金(69)
42 4二飛(22)
43 3七桂(29)
44 6二金(52)
45 6八金(58)
46 6三銀(54)
47 1六歩(17)
48 5四歩(53)
49 7七桂(89)
50 4一飛(42)
51 8五歩(86)
52 7二金(62)
53 1五歩(16)
54 7四銀(63)
55 2四歩(25)
56 同 歩(23)
57 4五歩(46)
58 6五歩(64)
59 4四角(66)
60 4六歩打
61 3三角成(44)
62 同 桂(21)
63 6四角打
64 5五歩(54)
65 同 角(64)
66 4七歩成(46)
67 同 銀(56)
68 4五桂(33)
69 4四歩打
70 3七桂成(45)
71 同 角(55)
72 4四飛(41)
73 4八歩打
74 2五桂打
75 2六角(37)
76 4三飛(44)
77 5六銀(47)
78 3五歩(34)
79 7五歩(76)
80 同 銀(74)
81 6五銀(56)
82 6三歩打
83 3五角(26)
84 3七角打
85 1八飛(28)
86 5五角成(37)
87 7六歩打
88 6四銀(75)
89 同 銀(65)
90 同 馬(55)
91 7五銀打
92 5五馬(64)
93 8四歩(85)
94 同 歩(83)
95 9六桂打
96 8三銀打
97 8四銀(75)
98 5三歩打
99 5六歩(57)
100 3三馬(55)
101 5七角(35)
102 3七桂成(25)
103 1七飛(18)
104 4八成桂(37)
105 4四歩打
106 同 馬(33)
107 2七飛(17)
108 5四馬(44)
109 2四飛(27)
110 8六歩打
111 同 銀(87)
112 8七歩打
113 同 玉(88)
114 5八成桂(48)
115 同 金(68)
116 4九飛成(43)
117 8三銀(84)
118 同 銀(82)
119 5九銀打
120 6九銀打
121 8四歩打
122 7四銀(83)
123 8三桂打
124 同 銀(74)
125 同 歩成(84)
126 同 金(72)
127 8四歩打
128 8二金(83)
129 6八金(78)
130 5八銀成(69)
131 同 金(68)
132 8八歩打
133 8三銀打
134 8九歩成(88)
135 2二飛成(24)
136 3二歩打
137 7五銀(86)
138 8五歩打
139 同 桂(77)
140 8八金打
141 7七玉(87)
142 4四馬(54)
143 6六銀(75)
144 2二馬(44)
145 5五銀(66)
146 8七飛打
147 6六玉(77)
148 5四桂打
149 投了
まで148手で後手の勝ち


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20160623今日の一手<その345>; 先に受ける

2016-06-23 | 今日の一手

20160623今日の一手

東海団体戦リーグから、私とMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の3歩損ですが、持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さの比較は難しいです。先手のほうが上部の厚みがありますが、横から攻められると弱そうです。後手玉は金銀2枚だけですが、横からだけなら先手玉よりは堅く、上からも攻められたらもろいです。とりあえずは互角としておきます。
先手の攻め駒は21飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒飛角で2枚。

総合すれば互角です。

大局観として
問題図の前に悪手を指して不利だったのですが、ここでは飛角の総交換で手番をもって互角になっています。とりあえず飛車を打って51の金を61に寄ったところです。
いろいろな指し方が考えられますが、
駒得を目指す(そのあとは長期戦)
玉を固める(相手より安全な方がよい)
攻め駒を増やす(4つにする)
の3つに分類できます。形勢判断の3つの要素ですね。現状はどれも同等なので、どれかで上回れば少し良くなります。二つ上回れば有利、3つ上回れば優勢ですね。(それぞれの程度により上下します。)
もちろん相手の手番になれば同じことを考えるわけで、まずは28飛が目につきますから、これの対応を考えておきます。


△ 実戦で私は27飛成としました。

これで少し駒得です。竜を守りに使って、遠くからですが玉を固めるという意味でもあります。2つの要素が少しだけよくなりました。この後は56歩74歩同歩55角73角同角成同銀21竜31飛

さらに動いたのですが、やりすぎかもしれません。もちろん飛車交換には応じず、27竜26歩47竜72金

飛車を打たせたのは得かと思ったのですが、後手玉の守りが堅くなってしまいました。動きすぎです。この後進んで

27歩成が痛く、悩んで83歩と打ったら2歩でした。
最初の27飛成の後、56歩には黙って同歩でしたかね。


△ 全く考えませんでしたが、11飛成も駒得を目指す手です。

同時に攻め駒が3枚に増えました。ですからここでは少し有利か。28飛には38角47角39歩

と受けるのでしょう。39金で飛車を取っても角金との2枚換えですから。
後手が攻めるなら38角成同金29飛成ですが、41竜として

28歩成に62香71金53角

これは寄りそうです。71竜同玉61香成が必殺の攻めですね。

ということで、後手は角を取る前に42金です。

これからどうするか難しいです。68金とすれば角が手に入りますが、62香は52金上でしのがれます。


△ 他に攻める手は74歩です。

65の銀を攻め駒にしようというわけです。28飛38角47角

歩切れです。39金38角成28金同歩成

これは馬が74にも利いているのでうまくいきません。

ですから47角の時に73歩成同桂39歩

とするのでしょう。65桂同歩73歩

銀桂交換でも後手玉が薄くなったので、損をしたとも言えません。11飛成か41飛成か68金か48金か、悩みますね。


× なお、後手が飛車を打たないうちに41飛成は31飛

で損です。金が守りに働いてしまいます。(これは11飛成から41竜のコースでも、後手が飛車を持っていれば生じる変化です。)


× 守るほうを考えます。39金は少し考えましたが

59飛があります。48角と打てば、69角の筋はどうにか耐えていますが、58飛成68金47竜

48角の働きが悪く、攻め駒が減ったのでよくないでしょう。


○ 68金も受けの手で

先手玉が横にも堅くなりました。28飛にも39金で

対応できています。ですから飛車打ちからの横の攻めにかなり強くなったのです。

後手は56歩同歩46角くらい。

88飛同玉68角成は79歩で耐えられるので、ここからは攻めれればいいでしょう。11飛成42金55角

と、香を取れるので駒得になり、一回は角を合わせて利きを減らしておきます。55同角同歩46角に74歩同歩同銀

と素直に応じてもらえれば攻め駒が4枚になっているので優勢でしょう。後手はどこかで工夫をするのですが、先手がよくなりそうです。


実戦では39金ではだめだから、27飛成でまあまあか、と思って指したのですが、これは難解です。そのあとは焦らずに長期戦でした。攻めるのはよくありません。

攻めるなら香を取るのですね。飛車が横に香を取るのは(通常は)効果が薄いので、全く考えませんでした。でも41竜~62香~53角に気が付けばいっぺんに勝ちです。後手がこの筋に気が付いて42金と受ければこれからです。

一番いいのは68金と守っておくことです。先に28飛が王手にならないようにしておけば受けやすくなります。
考えていれば指したのですが、気が付かず。盤面を広く見て、いろいろな手を少しずつ考えておくことです。この頃それを意識するようにはなったのですが、まだまだです。


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