名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(37); 玉頭位取り

2016-01-17 | 大山将棋研究
昭和47年5月、中原先生と名人戦第4局です。


大山先生の中飛車に中原先生は玉頭位取り。

大山先生は石田流で対抗します。

よくある手筋ですが、これが引き金で激しい将棋になります。

中原先生が65歩と合わせたのが鋭い手。55角の筋で攻めようということです。大山先生の24歩はやってこいですが、54歩から53金~42角が大山先生らしい気もします。

飛車を切って攻めます。

角を打つほうがいいのですね。45歩なら88角の利きが通るから。

77桂と溜めた手に67歩の手裏剣。58金左もあったと思います。銀で取ったので

両取りの飛車で防がれました。

44角とさばかれましたが、46の角は死にます。

55角行で捨てて、11角成が手筋ですか。なるほど。

角はタダで捨てましたが、桂香を拾って飛車を殺せば損得なしです。ここで大山先生が62銀と我慢すれば長い戦いでしたが

桂馬の反撃で激しい戦いが続きます。

中原先生からは銀を殺せます。

桂馬を拾ってもう一度。

54桂は馬で食いちぎって飛車を取り、この47馬が敗着でしょうか。冷静な大山先生なら84同歩から83銀と埋めたはず。

58銀としかりつけて86桂で中原先生が有利になりました。

7筋に手がついて、受けにくくなります。

それでも7筋を強化して、まだまだかと思いましたが

竜を5段目に作る手があり、中原先生が有利を拡大します。

竜取りの角を食いちぎって好点の角打ち。

と金を急所に作って菜から先生の優勢がはっきりしました。

金を狙われればもちろん銀を投入します。7筋を抑えるのが急所です。

この角がきれいな決め手。

これで受け無しで、67角からの形つくりで終了です。


中原先生の(2回目の)65歩が鋭い手でした。大山先生もむきになって抵抗し、激しい将棋でした。飛車を打って桂馬を取り、46角も死ぬから駒得で指せると思われたのでしょう、でも55角行と捨てたのが意表をついたのではないかと思います。
こういう激しい将棋を感覚で乗り切るのは難しく、若い中原先生の読みのほうが利いてきます。
終盤の47馬58銀で後手を引いたのが痛く、落ち着いて指せば長い将棋でした。
中原先生相手だと大山先生が焦って勝負を急いでいるようにも見えます。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.22 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原十段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5二飛(82)
9 9六歩(97)
10 9四歩(93)
11 7八銀(79)
12 4三銀(42)
13 6六歩(67)
14 7二銀(71)
15 6八玉(59)
16 6四歩(63)
17 6七銀(78)
18 6二玉(51)
19 7五歩(76)
20 3五歩(34)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 5七銀(48)
24 3二飛(52)
25 7八玉(68)
26 5二金(41)
27 7六銀(67)
28 4二角(33)
29 6五歩(66)
30 同 歩(64)
31 同 銀(76)
32 6四歩打
33 7六銀(65)
34 7一玉(62)
35 6八金(69)
36 8二玉(71)
37 2六飛(28)
38 1五角(42)
39 1六飛(26)
40 1四歩(13)
41 6五歩打
42 2四歩(23)
43 6四歩(65)
44 2五歩(24)
45 1五飛(16)
46 同 歩(14)
47 7四歩(75)
48 同 歩(73)
49 4六角打
50 7三銀(72)
51 7七桂(89)
52 6七歩打
53 同 銀(76)
54 5四銀(43)
55 8五桂(77)
56 7五飛打
57 7六歩打
58 8五飛(75)
59 4四角(88)
60 4五歩打
61 5五角(46)
62 同 銀(54)
63 1一角成(44)
64 6四銀(55)
65 2一馬(11)
66 4二飛(32)
67 7七桂打
68 8四飛(85)
69 8六香打
70 4六歩(45)
71 同 歩(47)
72 6六歩打
73 同 銀(67)
74 5四桂打
75 6七金(68)
76 4七角打
77 6五歩打
78 6六桂(54)
79 同 金(67)
80 2九角成(47)
81 6四歩(65)
82 5四桂打
83 同 馬(21)
84 同 歩(53)
85 8四香(86)
86 4七馬(29)
87 5八銀打
88 3七馬(47)
89 8六桂打
90 8四歩(83)
91 7五歩(76)
92 同 歩(74)
93 同 金(66)
94 7四歩打
95 同 桂(86)
96 8三玉(82)
97 6六桂打
98 7一香打
99 3一飛打
100 4一歩打
101 3五飛成(31)
102 2七馬(37)
103 3四歩打
104 2六角打
105 3三歩成(34)
106 1二飛(42)
107 2六龍(35)
108 同 歩(25)
109 6五角打
110 9三玉(83)
111 9五歩(96)
112 同 歩(94)
113 4三と(33)
114 同 金(52)
115 6三歩成(64)
116 7六歩打
117 同 角(65)
118 8三玉(93)
119 6二歩打
120 7二金(61)
121 7三と(63)
122 同 金(72)
123 9二歩打
124 6四銀打
125 8六銀打
126 6五歩打
127 9一歩成(92)
128 6六歩(65)
129 9四角(76)
130 同 玉(83)
131 8二桂成(74)
132 6七角打
133 6九玉(78)
134 8九飛打
135 7九歩打
136 投了
まで135手で先手の勝ち




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20160117今日の一手<その246>; 攻め合い負けの時

2016-01-17 | 今日の一手
20160117今日の一手<その246>

11月29日の名南将棋大会からMさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。










昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂桂歩歩と金銀の交換で、持ち歩があるので歩をカウントせず先手の駒得です。でも終盤ですから得だとは思わないほうがいいです。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は28飛68角と持ち駒金銀で4枚。
後手の攻め駒は82飛97成香98と 持ち駒銀桂桂で6枚。
総合すれば互角です。

最終盤では何手で詰めろになるかを数えたほうが正確です。後手玉は24歩~23歩成同金24歩で詰めろですから3手すき。先手玉は87成香が詰めろなので2手すき。ですから後手のほうが有利です。変化の余地がなければ勝勢ということになります。

大局観というよりは終盤の考え方、鉄則なのですが、攻めあって負けなら、受ける(受けて手を稼ぐ)か、攻防の手を探すしかありません。


× 攻める手、24歩を見ておくと

87成香で

78成香同玉89飛成77玉85桂66玉55金57玉45桂48玉37銀という詰めろですね。
ここから受けるのは条件が悪く、78成桂と88と の両方があり、86銀や77桂も考えられますから、受けは利かなくなります。


○ 受ける手を探します。98香が自然な手。

98同成香では遅いので、87成香に86歩

86歩で88歩は78成香から86桂が痛いです。
後手が攻めを継続するには15角同歩(87金もある)77銀が手筋です。

55角の筋があるので77同金に88銀69玉77銀成

46角86飛41銀

これで後手玉が詰めろなので、この変化は先手の勝ちになりそうです。
途中の変化もありそうですが、先手のほうが有望だと思います。うまく手を稼いだというわけです。


× 他に受ける手は86銀でしょうか。

89銀77金88と

これで87成香と使われるので、86銀があまり役に立ちません。


○ 実戦は46角で攻防の手です。

87成香は詰めろではなくなりますし、もちろんこの飛車取りは受けねばならないでしょう。
後手は55桂64桂73桂どれもありそうですが、55桂でした。54銀に87成香

これに68玉78成香57玉

早逃げもなかなかの手ではあるのですが、後手の攻め駒は多く、寄せられてしまいました。(56歩同玉64桂という筋ですが、上に逃げたら大変だったか)

54銀と出たら、87成香には55角というのが流れですが

78成香同玉89飛成68玉56歩で寄せられます。


戻って、46角55桂には24歩でどうか。

87成香(詰めろではなくなった)23歩成同金24歩(詰めろ)

33金23金31玉33金同角23歩成

金を渡しましたが、先手玉は詰まないですし、うまい詰めろもありません。飛車を取ってしまう手もありますし。
後手玉は詰めろではないですが、52歩成が詰めろで、同飛に43銀という調子です。この変化は先手の勝ちです。

後手としては24歩に同歩しかないでしょう。

24同銀23歩には同銀成

23同金24歩同角同角

放置しても51角成から寄せられるので、24同金同飛23歩に31銀

33玉に51角があるので取るしかなく、31同玉23飛成33銀43金

これで寄りです。23飛成の後22銀や、金を手に入れて32金の受けも41金で寄せられます。53歩の存在が大きいです。

後手の変化で、24同銀に同角のほうが難しいです。

24同角23歩(27歩は手筋ですが歩を渡したくない)51角成87成香

ここで83歩同飛98香でどうか。

もう一枚もらうと後手玉が23飛成の筋で詰むので、77銀というわけにもいかず、89銀68玉78成銀57玉・・・
という感じで難しいですが、先手が勝てるのではないかと思います。

この最後の図で、55桂が73桂打なら65桂で後手の勝ちに見えます。つまり、攻防の46角には攻防の73桂打で、まだ後手が有利だと思います。


終盤の考え方、少しでもわかっていただけたでしょうか。攻め合いは勝ちか負けかの判断ができれば、攻め合い負けの時には受けて粘るか、攻防の手をさがすのです。
この問題では、98香から86歩というのが素朴な受け方でした。
実戦の46角は玉が広くなるので指してみたい手です。しかし73桂打なら後手がいいようです。


こういう攻め合いの変化は、対局の後で詳しく調べておくと終盤力の向上につながります。練習将棋で時間があれば、2人で細かいところまで感想戦をやるととても充実感があります。
棋譜を覚えておくのは大変だという声も聴くのですが、できないと諦めないで、少しでもやってみてください。(棋譜を覚えておく能力は棋力に比例していないようで、級位者でも訓練で身につくのではないかというのが仮説です。できるようになれば棋力向上につなげやすいです。)
毎日棋譜並べをすれば棋譜を覚えやすくなります。対局後すぐに感想戦をすれば覚えておきやすいですし、対局後に相手がいなくても一人で並べてみるのもいいです。局面のメモを取ったり、写真を撮っておいたり、ケータイやスマホなどに棋譜並べのソフトを入れておくのもよいです。







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