さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

やはり踏み込まれると苦しかった 久保隼、強敵ローマンにTKO負け

2017-09-03 17:49:14 | 関西ボクシング


TVで生中継を見ておりました。簡単に感想。


初回、2回までは、斜に構えて右ジャブ、左ストレートを伸ばせる距離の時間帯が長く、
久保隼はまずまずのスタートを切ったかな、と見えました。

しかし2回途中から少し、3回からは目に見えて、ダニエル・ローマンがボディから攻め、
ねじ込むような右ショートを上に狙える距離に変わっていきました。

久保はこの距離でも左アッパーをボディに返すなどしていましたが、
近い距離での攻防において、力強さ、バランスの維持、攻め手の多彩さいずれも劣り、
これが続けば勝機は無い、とはっきりわかる展開を変えられませんでした。

時折左上下ともに好打はあったものの、それに倍する数を打たれ、
ボディから攻め上げられ、打たれっぱなし。
6回などは完全に捕まった印象で、7回、8回のダウンの際は、
いつセコンドがストップ要請するかなと思っていたら、何も無し。
9回、レフェリーが止めるまで、セコンドが続行させたことに驚くような展開でした。


久保は4月のセルメーニョ戦では、久保が苦手な接近戦を得意としないベテランに
序盤から良い距離で左を当て続けて勝利しましたが、今回は初防衛から上位のローマンであり、
しかも好戦的で、インファイトが強そうな相手とあって、踏み込まれたら不利、
いかに離れた距離を維持できるか、と見ていましたが、その甘い予測は、序盤で意味を失いました。

あの距離での攻防では、質・量ともに、はっきりと世界上位のローマンが上でした。
その差を補うために、長い距離での展開を長く続けたかったところですが、
今の久保の実力では、それがかなわなかった、というに尽きるのでしょう。


ベテランの技巧派、セルメーニョには勝てたが、若く世界上位のファイター、ローマンには敗れた。
今年、久保隼はそのキャリアにおいて、初の強敵相手に二試合を戦い、一勝一敗の戦績を残しました。
世界タイトルマッチとして、チャンピオンとして、という前提を抜きに見れば、
世界ランカークラスの相手に、チャレンジをして残したこの二試合の内容と結果が、
彼のキャリアにどういう意味を持つのか。それは彼の今後にかかっている、ということでしょう。

そう見れば、敗北自体は残念ですが、見るべきところのある一戦だったと言えるでしょう。
逆にいうと、世界云々と言うには、様々に不足もあった、ということですが、それはもう...。



それにしても、もうちょっと徹底して離れ、動き、突き放し、何ならクリンチやホールドでもして、
自分の良さを出すことに専念する、悪く言えばエゴを押し出した凡戦覚悟の闘いぶりでも良いのにな、
と思ったりもしました。
それを見て、楽しめるかというと違いますが、そのくらいの割り切りがあっていい立場、段階にあるのが
今の久保隼の現実ではなかったのかな、とも。

それが出来なかったのが、単に実力どう以前の、体調面などの問題なのかもしれない、という印象もありました。
実際、見るからにきつそうですものね、体つきなど見ると...。



コメント (9)
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前座あれこれ/この相手に勝てば/放送はまだですが

2017-09-02 19:23:10 | 関東ボクシング



水曜日の井上拓真vs久高寛之戦、前座についても簡単に感想を。

セミは復帰後、坂本英生を初回で倒したりと、徐々に復調の気配か、とも見える松本亮が、
インドネシアのジェイソン・ブタールブタールと対戦でした。

このジェイソン、この日出た4人のインドネシア人ボクサーの中では筆頭格のベテラン。
以前、大沢宏晋が韓国で試合した際、未だに意味不明な理由でサスペンドされたことがありますが、
その時の対戦相手がこの選手だったそうです。

ということはフェザー級のはずですが、この日は松本に合わせて?56キロ契約での試合。
松本はSバンタムに上げて活動していくのでしょうが、それでもこういう契約ウェイトで、
しかもまだ充分大柄に見える。さすがにフェザー級には上げないでしょうが...。

ジェイソンはしかし、長身松本のテンプルを狙って、再三右ロングフックを狙う。
時々、軌道をストレート気味に変えて狙うなど、これがなかなか鋭い。闘志、意欲が見える。

松本は2回、右を決めて倒し、追撃で二度目。ジェイソンはそれでも闘志を見せて反撃。
松本は力まず打っても威力充分の右が光るが、足はほとんど動かさない。
ジェイソンは止まり加減の「標的」相手に、苦しいながらも果敢に打ちかかっていく。

松本はそれでも、ジェイソンを力で抑え込んで、5回に二度ダウンを追加してKO勝ちでしたが、
この動きの無い対応、足捌きをほぼしないスタイルで固まってしまうとしたら、
122ポンドのクラスで、上位陣と闘っていけるものかどうか。
それこそアルゲリョ並に力があれば、これでも成り立つかもしれんけど...という感じでした。

まあ、まだ復調過程のうちの試合、と見れば、まだこれからの話でしょうし、
天性の体格と、抜群の攻撃力はやはり目を引きました。今後も要注目ですね。



セミセミは好カードと期待していましたが、青木クリスチャーノが二回開始早々、負傷のため棄権。
井上浩樹が2回TKO勝ちとなりました。
井上が右リードをびしびし決めて、青木がどう盛り返すか、と思っていた矢先でした。

初回終わり頃、青木がバランスを崩してから、明らかに様子が変わりました。
リングを降りる姿を間近で見ましたが、足でも痛めたかと思ったら腰だった、とかいう話ですね。
井上は進境著しいと評判で、実際その片鱗が見えたかな、と思ったところでした。残念でした。



この日は1試合目と2試合目が、大橋ジムの若手選手対インドネシア人ボクサーというカードでした。
しかし、17時45分の第一試合開始に間に合わず、この2試合を見られなかった方も、多数おられたことでしょう。

共に初回KO。大橋ジムの選手(共にアマチュア歴あり、サウスポー)が、判で押したように
左ボディーブローを決めて攻め、インドネシア人苦悶のダウン、KOという流れが繰り返されました。

ことに二試合目は酷く、開始20秒過ぎくらいで、左ボディが決まると、身体が浮くような倒れ方。
内臓破裂でもしたかいな、という大仰な苦しみようで、担架も来ましたが、しばらくすると
普通に立ち上がって、自分で歩いて帰っていき、その後は同胞の試合をスマホで撮影したり、元気な様子でした。

この二試合目、試合前のアナウンスを聞き間違えてなければ、大橋ジムの選手は118ポンド。
対するインドネシア人は、112ポンドと何分の一、でした。

若い選手に自信を付けさせるための試合が必要だ、というのは事実だし、それは認めもします。
戦績が劣る選手、格下の選手、弱い選手とは一試合たりとも組むな、などと言うつもりは毛頭ありません。

しかし、せめてウェイトだけは揃えてもらわんと、とは強く言わせてもらいたい、と思います。
カードとしての良し悪しを言う以前の問題じゃないですかね。単に「卑怯」なだけでしょうに。
勝って経験にして、自信を付けて、という次元の話じゃないように思います。

常日頃から、この手のカードを見る度に、鼻白む思いでいましたが、今回はさすがに酷すぎました。
観客にとっては、早く終わるという以外に、何の意味も無い試合でした。


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さて明日は、5連続日曜生中継の第二弾(関西限定)。
久保隼、ダニエル・ローマンともに計量パス、とのことです。

久保は懐に入られたときが不安で、耐久力も疑問ですが、離れた距離での攻防においては、
遠くから正確に、なかなか鋭い左ストレートやアッパーを打てる能力があり、
その良さは前の試合で、思った以上に出ていました。

挑戦者ローマンは、動画を少し見た限り、なかなか手強そうな感じですが、
もし久保がこの相手を退けたら、その評価は一定以上のものになることでしょう。
本人もさらに自信を付けるでしょう。久保にとり、キャリアの分岐点になる一戦かもですね。


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G+での放送は後日ですが、一足先に「せやねん」で特集ありました。
福原辰弥vs山中竜也の試合、山中側からのドキュメントです。

試合映像自体は短いですが、ボクサーの数それぞれに人生があり、込められた想いがある。
そんなことを改めて思う内容です。
数日で消しますので、お早めに。










コメント (2)
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