K-World (Kの世界)

アルツハイマー型認知症の妻K、
発病後18年目になります。
現在は介護療養型病院に入院中。
(夫Route463)

今にも泣き出しそうになった

2019-09-30 13:14:31 | ケア日記
15時15分、間も無くおしめと体位交換
の時間、Kはこちらを向いていた。

半眼を開き、天井に目をやっていた。

目つきは、何の思いも考えもなく、
ただ生きているだけの石のように、
私には感じられた。

顔に触れ、軽く頬を叩く、それでも
まだ半眼のまま、顔面に変化がない。

再度叩く。すると私のことをはっきり
認識したらしく、急に、まさに急に、
悲しい顔になり、今にも泣き出しそう
になった。

こんな自然な泣き顔なんて久しくだ。

突然、グヮーっと、大声をあげ、持病
の癲癇性の痙攣が起きた。

興奮させてしまったらしい。

在宅介護でしばしばやっていたよう
に、私はKの手を握り、「大丈夫」
と、声をかけると、痙攣は収まった。

それからも、何度か、痙攣が起きそう
になったが、その都度手を握り、落ち
着かせることができた。

元気だった時と同じ、活きたKの泣き
顔を、この病院では初めて見た。

感動した。

まだ感情はしっかり残っているんだ。

活きた泣き顔の原因は何だったのか?

私に、「申し訳ない」と詫びている、
そんなふうに感じとれた。

Kはそういう人(女)だったからだ。

本当の理由なんて、どうでもいい。
とにかく、そういう顔が見れただけ
で、嬉しかった。

そんな出来事があって、ほどなくし
て、安心したのか、落ち着き、目を
閉じ、Kは眠ろうとした。

おしめ交換のクルーが来た。

しばしの退室後、病室に戻ると、
Kの顔は向こう側を向いていた。

束の間の、逢引きであった。


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