魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

カラコン

2017年07月16日 | 日記・エッセイ・コラム

街に出ると、中国人観光客で溢れかえっている。爆買いは要らないが、本当の日本を知ってくれるのなら有り難いことだから、歓迎したい。
しかし、一頃のアメリカ人観光客が、日本に来ても、マクドナルドだけで食事をしていたようなことが、起こっているのではなかろうか。
日本に来て日本を歩きながら、中国のスマホで、中国の情報サイトだけで情報を入手し、中国のクレジットカードで買い物をして帰る。
日本を見ても、始めから思い込んでいた日本を見て素晴らしいと確認したり、案外、大したことないと、否定したりしているのではないだろうか。

中国人でなくとも、多くの人は物事を自分の目で評価できる力を持っていない。映画や小説を読む前に、評論を読んでからでなければ読まない人がいる。賞や評判を聞いたら読まずにいられない人もいる。色眼鏡を掛けてからでなければ外出できない人は、決して本当の景色を見ることができない。
この点で言えば、中国人はむしろ、本来はいきなり外に出てしまう人で、日本人より、見た物に極めて正直に反応する方だ。
ところが、現代の中国で育ち、生活している人は、ほとんどが、中国のカラー・コンタクトをはめられていて、自分がそんな物をはめられていること自体、気づいていない。
だから、中国政府は、中国人が海外留学や、観光に出ていっても、本当の色に気づかれる心配はしなくて良い。

中国政府が安心している理由は、このカラコンであり、中国語スマホだろう。
洗脳を洗い流すことは、完全に自由な状態でも、容易なことではない。自分が信じていることを否定することは、先ずは自分を否定することになるからだ。
中国人は海外に出ても、中国語ネット世界から解放されない。海外に何度出かけようと、ずっと中国の内側から観光している。現地の住人がいだく違和感は、そういう異物感だ。

昔、何ヶ月も船に乗って渡った時代とは異なり、世界の何処に行っても、現地の人と同じスタンスで生きることがない。
情報、物流、乗物が発達した中では、観光、移民、難民、世界の交流が盛んになるほど、互いに、違和感が深まっていく。
英語サイトで世界共通の情報を入手している人でも、ネット情報そのものに信頼性がなく、個々の先入観を補強する情報にしかならず、結局は自分の信じたい情報だけ選んで信じることになる。ISの拡散も、その最たるものだ。

中国人観光客に、聞いてみたいのは、海外旅行に出て、海外のネットで天安門や6月4日を検索したことがあるかと言うことだ。


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