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長子社会 3

2023年11月05日 | 兄弟関係

【未来は一人っ子社会】

一人っ子日本は内面が複雑
19世紀の日本は、立前は中華圏の長子的価値観だったが、実体は、「権力の無い天皇」を神の代理とし、さらに徳川家康も権現様とする幕藩複層社会のうえ、養子相続による融通性に富んだ、弟妹型社会のダイナミズムを内包していたので、神の下の欧米に対応できた。
中華式氏族の長子継承と異なり、日本では庶民に至るまで、家名継続の養子縁組が文化として定着しており、大陸ほどの格差はなかった。人口10倍の中国でも4000しかない姓氏が、日本では10万以上あると言われ、その各々が家名を守ろうとするのだから、日本社会の内面、実体は横並びの弟妹社会だった。(ただし、国の相対関係では一人っ子)

戦前まで日本社会は、家庭内では序列を保ちながらも、家同士は対等な競争関係にある弟妹資質を内包していたが、新憲法下で核家族化が進むにつれ、現在の日本には家庭内序列も家同士の競争も無くなり、「家」ではなく、「親子」を単位とする一人っ子、長子の価値観が社会に広がっている。

長子(一人っ子)は、理屈っぽいのに、過剰に物わかりが良く、争いを避けたいが為に、相手の言い分を「理解」し過ぎる、力無きインテリになりやすい。「自粛」も「過剰な思いやり」も「自虐的責任感」も長子のものだ。また、弟妹のように周囲の存在を意識できないから、自己主張も自己説明もなく独善的だ。
日本は対外的には昔から一人っ子の島国だが、現在の社会常識も長子(一人っ子)化している。今後ますますこの傾向は強くなるだろう。
しかし、長子の特長を活かせば、世界全体が長子化、個人化する未来世界では先駆けになれるかもしれない。

長子型を活かす未来社会
そのためには先ず、村社会を欧米合理主義で固めた、過度な集団思考を捨てなければならない。
学校や一括進学・就職を廃止し、年齢・地域・国を超える多様性意識を創らなければならないが、幸い、これを可能にする情報社会がますます広がっている。
公教育は、人格形成を目的とし、社会性と「学び目的探し」の遊びの場とする。勉強ではなく「遊び」こそが、最大の学びであることを周知する事が重要だ。
知識ならAIで充分だ。個性に合わせて、AIを秘書=家庭教師にし、全ての人が王様として教育を受ける。その前に、受験文化がいかに社会的ロスかも、考え直すべきだ。

読み書きソロバンを機械がする時代には、人間は考える力と本来の道徳を身につける帝王学を学べるから、社会智が向上する。
記憶が無ければ考えることもできないじゃないかと、思う人もいるかも知れないが、思考に必要な事柄は、思考と共に記憶され、テストしなくても自然に憶える。単なる記憶量ならAIに任せれば良い。中華式選抜試験と欧米式学校で凝り固まっている日本教育は、AIで無用になる。当然それで訓練される職業も無くなる。未来に必要なことは「思考力・創造力」であり、それは、長子に向いている。

世界が驚く、「キテレツな智の宝庫」日本とは、正に一人っ子の独善と独創だ。この日本の特殊性を再増幅すれば、長子時代の未来において、日本は世界の智のメッカになるだろう。