魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

「好」機能

2010年02月07日 | 日記・エッセイ・コラム

日本の技術者達を見ていると、愚直さに泣けてくる
ユーザーに喜ばれる製品を作りたいと、努力はしているのだが、
技術者の目で良いものをと考えるから、一般人の興味とは、かけ離れた努力になる。

今回のトヨタにしても、大企業病の一つとして、拡大路線、コスト削減とは別の問題として、技術者と消費者の思いのズレがある。

町工場で巷のニーズを聞きながら製品開発をするのではなく、トップや営業からの意見で製品作りをするから、内輪の対立構造で問題処理を済ませようとする。

「ブレーキの利きが悪いのは気のせいだ」
この言い方は技術者の立場だ。『技術的問題はない』その通り、確かに車は止まる。
しかし、他社の車と並べて、「ブレーキが変だからあっちを買います」と言う客に、「気のせいだ」と言って買ってもらえるだろうか。

ところが、内輪で営業と技術が打ち合わせをすれば、これが通ってしまう。まして、プリウスという大業績を上げた技術が言えば、経営陣でもなかなか押さえ込めない。

トヨタというサービス第一の会社ですら、新技術におぼれてしまう。
まして、日本経済は技術開発で大成功をした。「技」さえ良ければ客が欲しがるはずだ。そういう信仰が、物作りの現場で、「ニーズ」を忘れさせている。

あそびごころ
衣食足りた人間に必要なものは、「あそび」だ。遊びとは、ほ乳類の知の源泉である「体験と思考」だ。遊びを求めて好奇心が働く。
売れる商品には必ず「新体験」への好奇心がある。

過去100年のヒット商品は、利便性よりも「新体験」そのものや、新体験の可能性を感じさせるものだ。
自動車、飛行機、写真、映画、遊園地、パソコン、ゲーム・・・
ウォークマン、iPodから、イチゴ大福に至るまで・・・
「こんなのはじめて~」
への、夢と衝動に人は群がり、大枚をはたき、売れに売れ、終いには世界大戦という体験まで誘発した。みな、新体験願望が生んだヒット商品だ。

携帯という体験ツールには意味があっても、超薄型携帯には「体験」の驚きが無い。あえて言えば多少の利便性だけだ。
ところが、逆に、超薄型でパソコン機能がある「玉手板」iPodには
「こんなのはじめて~」
の驚きの体験がある。技術ではない「遊び心」なのだ。

月並みな技術の組み合わせで、ヒット商品が生まれた。
「技」にこだわらないスタイルのアップルだったから生まれたので、
日本にはマネの出来ない芸当・・・ではない。
月並みな技術で大ヒットを生んだ、任天堂のファミコンもある。

製品開発は「高機能」より「好機能」だ。
市場調査よりも、漫画家やデザイナーとの直感コラボが良いのだが、大企業に出来ないなら、アイデア集団のベンチャーはどうだろう。玩具会社が本気で製品開発をして欲しい。
ハードにソフトを入れる開発より、ソフトの夢をハードに入れるべきだ。