老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

続:戦後史の「謎」を再検証することの現在の意義

2023-08-27 20:06:14 | 戦争・平和
前回の「コラム投稿」では不十分なので、補足します。

【補足の論点】
山本義隆氏の論稿『近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻』を読み、日本の「近代戦」の概念は音を立ててパラダイム転換を遂げました。「近代戦」とは、実際には、「第一次世界大戦」(日本はドイツが敵国だったのですが)の衝撃で、「総力戦体制」という政策転換を余儀なくされていく、日本の支配層(政治家、軍部、財閥など)の姿でした。

総力戦体制とは何か。それは結論的に言えば、①科学者の戦争動員と、②科学技術の産業構造の転換、の二つです。

科学者の戦争動員とは「何」か。
例えば、ドイツのハーバー(フリッツ・ハーバー)なる科学者は、チッソ固定法でチッソを空中から取り出し、化学農薬を発明すると同時に、爆薬の原料となる硝酸の大量生産を可能にし、毒ガス博士という異名の軍事科学者でもあったのです。「科学者」というのは正確ではなく、テクノクラートというべきです。ドイツなどでは、他にも、近代工業の担い手として、ダイムラーやベンツなどが「科学者;テクノクラート」として誕生し、戦争は彼らが「担う」総力戦体制に変貌を遂げたのです。

「科学技術の産業構造の転換」は、総力戦体制には、日本の産業がいままでの「機械工業」ではなく、「近代化学工業」に産業転換を遂げないと、総力戦体制にはならない、ということです。

山本義隆氏は、「3、総力戦体制をめざして」で次のように書いています。
「今後の戦争がこの意味での総力戦である限り、平時の産業生産能力は、とりもなおさず、潜在的軍事力であることを意味し、平時はその能力を高め、戦時においては、その国力のすべてをいかに有効に使うかが、戦争に勝つための条件になる。」

このようなパラダイム転換を歴史的に再考しなければ、現代世界の「諸問題」は解けないでしょう。

次回コラムでは、「マンハッタン計画」の歴史的な問題点なども再検証します。ここでは、科学者が世界大戦の帰趨を決した「最強の兵士」であると考えるべきです。映画「オッペンハイマー」はその視点で、鑑賞するべきでしょう。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵

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