老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

G7広島サミットが終わって

2023-05-24 13:40:07 | 戦争・平和
5月19日に開幕したG7広島サミットは、ウクライナのゼレンスキー大統領の直接参加というビッグサプライズを含め、政府の筋書き通りの流れで、21日に無事終了した。

今回のサミットに対する日本メディアの評価は概ね好意的である一方、長年に亘り核兵器廃絶を目指して活動を続けてきた「被団協」メンバーや、カナダ在住の広島被爆者サーロー節子さん、ICAN国際運営委員・川崎哲さんなどからは、「核抑止政策としての核兵器保有」を是とする「共同声明」や「広島ビジョン」に対し、強い不満や失望が表明された。

また、G7首脳らが、ロシアを名指しで非難する一方、ウクライナに対して新たな戦闘機の供与や訓練を表明したことに対して、「ロシアとの対立が一層深まるのではないか」との懸念表明や、「軍事支援の強化は広島の意思に反する」という憤りの声もあがった。

こうした、実体験に裏付けされた批判や懸念、改善要求は「正論」であり、繰り返し提示されるべき「指針」だと思う。あきらめることなく意思表明を続ける皆さんの志の確かさには、心から尊敬の念が湧く。

しかしその一方で、現実の政治の世界に目をやると、今ある「核の具体的な脅威」の下で、「全ての国の核廃絶」を明快に表明することの危うさ、難しさも、客観的事実として、私なりに理解できてしまう。

こうして複雑な思いを抱きつつ注目していた広島サミットだったが、今回特に印象に残ったのは、各国首脳が広島平和記念資料館を訪れた際に「芳名録」に記帳したメッセージであった。

彼らは夫々に、広島で犠牲になった命、声にならない悲嘆、計り知れない苦悩に、弔慰と敬意を表し、核の戦争は二度と再び繰り返さない、という決意を記していた。

外務省HP「G7首脳による平和記念資料館訪問(記帳内容)」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ms/g7hs_s/page1_001692.html

もうひとつ私が心打たれたのは、ほかならぬウクライナのゼレンスキー大統領が資料館を訪れた際の反応とメッセージだった。

ゼレンスキー大統領の資料館訪問の際に対面した、広島被爆者の小倉桂子さん(85)によれば、その時のゼレンスキー大統領は、「必死で泣くのをこらえているように見えた」そうだ。
(毎日新聞5/22)https://mainichi.jp/articles/20230522/k00/00m/030/089000c

ゼレンスキー大統領は、資料館の芳名録に「資料館の訪問に深く感銘を受けた。世界中のどの国も、このような苦痛と破壊を経験することがあってはいけない。現代の世界に核による脅しの居場所はない」と、ウクライナ語で記帳したという。

世界の今と未来の命運を握り、国内外の政治で日々難しいかじ取りを迫られている政治リーダーたちが、広島の場に立って、声を荒げることなく静かに訴えかける原爆犠牲者たちの声に、束の間、真摯に向き合い、自省し、自らの思いと意思を表したことの意味は小さくない。これこそが人類のこれからを支える基盤となるのではないかと期待したい。

そして、惨禍を乗り越え、平和希求の空間を維持し続け、今回世界の首脳たちに「平和とは何か」を提示した広島の人々に、改めて心からの敬意、謝意を表したいと思う。お疲れ様でした。そして、有難うございました。

「護憲+コラム」より
笹井明子

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