老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

自衛隊海外派遣、隠された「戦地」の現実

2022-05-23 14:24:53 | 安全・外交
◆著者;布施祐仁、集英社新書、1,034円
表題の書籍について、東京新聞に独協大名誉教授・古関彰一さんの書評が掲載されていました。
ウクライナ情勢を踏まえた政治家や識者の国防・先制攻撃・改憲論が声高になる中、「そうすると、どうなる」を考えてほしい内容です。
※東京新聞webサイトから抜粋
https://www.tokyo-np.co.jp/article/178677

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本書は「百聞は一見に如かず」という言葉を眼前で教えてくれる。首相が国会で「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域」などと言っていたイラクのサマーワは、現地では迫撃砲が飛び、ロケット弾攻撃の現状にさらされていた(2004年、小泉首相)。

政府のPKO5原則には、「停戦合意や受け入れ合意が崩れた場合は、撤収する」と書いてあったが、カンボジアPKOの現実は、5原則と乖離していた、という。

著者は現場取材ばかりでなく、情報公開によって自衛隊の「イラク行動史」などを入手・検索し、あるいは当時の部隊幹部にインタビューをしており、本書は実に手堅い実証的な書物なのである。

というのも、従来の自衛隊報道は、「現場」がない、せいぜい「演習」の実態を報じてきたにすぎなかった。しかし、本書は、PKOが中心ではあるが、自衛隊を文字や言葉による「観念」ではなく、「戦場」の自衛隊の「現実」を検証して、その是非を論ずることを可能にした。   

また、自衛隊の今後に起こりうる問題も指摘している。「指揮権」問題である。政府はカンボジアPKOの際にも「指揮」を「指図」と翻訳し、政府統一見解で、国連軍への指揮下に入る「参加」ではなく「協力」であり、武力行使と一体とならない、としてきた。

それは、イラクの多国籍軍への参加の場合も、多国籍軍の指揮下に入らず「連絡・調整」であり、他国軍の武力行使と一体化しない、と閣議決定していたのだ。

ところが、著者が見た自衛隊の「バグダッド日誌」によると、多国籍軍の司令部に二人の幹部自衛官を「幕僚」として派遣していた、という。相手は米陸軍少佐だった。

日米の指揮問題は、昨今「反撃能力」と名を変えた「敵基地攻撃能力」においても主要な問題であり、本書でイラク派遣でも米軍の指揮下にあったとの指摘は貴重である。

インタビューのなかで、隊員が建設や機械は「日本のお家芸」と語る。今後は医療、技術教育など非武装による平和構築に期待したい。
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おそらく、安倍晋三を含めたアホな政治家は「国産の巡航ミサイルで、敵(北朝鮮、中国、ロシア)の核ミサイル基地を叩けばいい」という安易な発想で先制攻撃論を唱えています。

当たり前の話ですが、先に手を出した方が悪い。「相手が攻撃してくる」兆候をどの段階でとらえて「その前に叩く」と判断するか。攻撃されれば当然、反撃されます。百歩譲って、先制攻撃が有効なのは「隠された施設を含め、敵の複数個所の軍事目標を同時に、一撃で潰せる」場合のみ。それが不可能であることは今回、核兵器保有&軍事大国・ロシアの軍事作戦が失敗していることで明らかです。

先制攻撃が成功しなければ、火に油を注ぐだけ・・・お互いの街や人間を潰し合う長期戦に陥ります。そんなことよりも日本は外交力、そして情報収集力が重要です。

プーチンと仲良しだった安倍晋三は、ナニをしている?勇ましいことを言うだけで無責任な、戦前の軍人・戦中の大本営と同じですね。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
猫家五六助

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