DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

イェイツ(William Butler Yeats)(1865-1939)「かわいい踊り子」(1938):悲しい詩だ!心を失い、詩人の心から去った若い踊り子への哀惜の詩だ!

2019-02-14 22:59:13 | 日記
 「かわいい踊り子」 Sweet Dancer

The girl goes dancing there 娘はそこで踊る
On the leaf-sown, new-mown, smooth 木の葉が散り敷かれ、新しく刈り込まれ、滑らかな
Grass plot of the garden; 庭の草地;
Escaped from bitter youth, つらい青春からのがれて踊る、
Escaped out of her crowd, 観衆からのがれて踊る、
Or out of her black cloud. おのれの黒い雲からのがれて踊る。
Ah, dancer, ah, sweet dancer! ああ、踊り子よ、ああかわいい踊り子よ!

If strange men come from the house もし見知らぬ男らが家から現れて
To lead her away, do not say 娘を連れ去るとしても、あれは
That she is happy being crazy; 狂っていて幸せだと言うな;
Lead them gently astray; 男らを丁重にどこかへ連れていけ;
Let her finish her dance, 終わりまで娘を踊らせておけ、
Let her finish her dance.  終わりまで娘を踊らせておけ。
Ah, dancer, ah, sweet dancer! ああ、踊り子よ、ああかわいい踊り子よ!

《感想1》この「かわいい踊り子」はイギリスの女優Margot Ruddock(1907-1951)。彼女は、詩も書いたが、錯乱し精神病院で一生を過ごした。
《感想2》この時、詩人(男)は73歳、踊り子は29歳。狂った踊り子。かわいい踊り子。つらい青春から、観衆から、おのれの黒い雲からのがれて踊る狂った踊り子。「終わりまで娘を踊らせておけ」と、詩人が言う。
《感想3》悲しい詩だ。心を失い、詩人の心から去った若い踊り子への哀惜の詩だ。
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清少納言『枕草子』(1001?)「わびしげに見ゆるもの」(117段):清少納言の感覚は、1000年も昔なのに、何がみすぼらしく、みじめで、さえず、つらそうか、今とあまり変わらない!

2019-02-14 21:14:43 | 日記
みすぼらしく、みじめで、さえず、つらそうに見えるもの。 Things which look miserable and hard.
六七月の暑い日盛りに、汚らしい牛車を、貧相な牛に引かせて、よたよたと行く者。 In June or July, at day time,
it is very hot with the son brightly shining. On such a day, a person rides on a dirty ox-carriage, which slowly goes swinging drawn by a thin ox.
雨の降っていない日に、雨よけの筵(ムシロ)の覆いをかけた牛車。Though it’s not a rainy day, a ox-carriage is covered with a straw sheet which is prepared for protecting rain.
酷く寒い時、また酷く暑い時に、身分が低く身なりの悪い女が、子供を背負っている。 When it’s very cold, or whe n it’s very hot, a humble and poorly clothed woman carries a baby on her back.
老人の乞食。 A begger who is old enough.
ちいさい板屋で黒くきたないのが、雨にぬれている。 A small wooden house which is black and dirty is wet with rain.
雨がひどく降るのに、小さな馬に乗り先駆けする人。 It heavily rains, but a man riding on a small horse goes ahead preceding his master..
先駆けは、冬はまだいいが、夏は袍(ホウ、上着)も下襲(シタガサネ、シャツ)も、汗で肌にへばりついている。He is not so bad in winter. But in summer, he is miserable because his jacket and shirt are closely sticked to his skin with the sweat.

《感想1》夏、暑い日盛り。汚らしい牛車を、貧相な牛に引かせ、よたよたと行く。見ているだけで暑苦しく、みすぼらしく、つらそうだ。
《感想2》雨の降っていない日に、雨よけの筵(ムシロ)の覆いをかけた牛車は、いかにも場違いで、だらしなく、さえない。
《感想3》酷く寒くまたは酷く暑いだけでも、辛い。そんな日、身分が低く身なりの悪い女が、子供を背負っているのは、みすぼらしく、みじめだ。
《感想4》乞食はみじめなのに、その上、年老いているのは、もっとみじめだ。
《感想5》貧しい板屋。それが黒く汚い。その上、雨に濡れそぼっている。みすぼらしく、さびしい。
《感想6》ひどい雨でずぶぬれになって、しかも貧相な小さい馬に乗り、糊口の道のため先駆けの仕事をする者、彼はさえない。
《感想7》先駆けは、冬はともかく、暑い夏は、袍(上着)も下襲(シャツ)も汗で肌にへばりつき、つらそうだ。
《感想8》清少納言の感覚は、1000年も昔なのに、何がみすぼらしく、みじめで、さえず、つらそうか、今とあまり変わらない。
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宇多田ヒカル(1983-)「Automatic」(1998):言葉を失った瞬間、(言葉の前提である)心の融合が顕現する!私の心が物(Ex. 君の声)において君の心と直接に出会う!絶対の恋心!

2019-02-14 16:57:32 | 日記
 「Automatic」

七回目のベルで受話器を取った君
名前を言わなくても声ですぐ分かってくれる
唇から自然とこぼれ落ちるメロディー
でも言葉を失った瞬間が 一番幸せ

《感想1》詩の書き手の私は女。「君」は男。私が名前を言わなくても声で、すぐ「君」は私が電話してると分かってくれる。私は君に向けメロディーを歌う。
《感想1-2》でも言葉を失った瞬間が、私は一番幸せ。
《感想1-3》「君」と私はどこで出会うのか。心の融合が言葉の共有性の前提。(心の融合が他者と私の同型性の起源。)言葉を失った瞬間、(言葉の前提である)心の融合が顕現する。

嫌なことがあった日も
君に会うと全部フッ飛んじゃうよ
君に会えない my rainy days
声を聞けば自動的に sun will shine

《感想2》嫌なことがあった日が「my rainy days」。君に会うと全部フッ飛んじゃう、つまり「sun will shine」。そして「君」に会うのは声だけで十分なのだ。
《感想 2-2》君はどこにいるのか?つまり君と私はどこで出会うのか?私の心が物(身体、その延長としての声)において君の心と直接に出会う。君の身体またその延長としての君の声は、それ自身、君の心だ。

It's automatic
側にいるだけで その目に見つめられるだけで
ドキドキ止まらない Noとは言えない
I just can't help

《感想3》私の心が、君の心と直接出会う。心の融合が、同型的な君と私を、物の出現において発生させる。私の心が、君の心と直接に出会うのは、物(身体、その延長としての声)においてだ。
《感想3-2》私の身体と君の身体の接触は、物の出現であり、最も基礎的な心の融合だ。
《感想3-3》「側にいる」こと、「目に見つめられる」ことは、私の身体と君の身体の接触である限りでの物の出現、つまり最も基礎的な心の融合を予感させる。だから「ドキドキ止まらない」。
《感想4》ここでの心の融合は、愛の感情の融合でもある。「It's automatic」は愛の融合の魔術。

It's automatic
抱きしめられると 君とパラダイスにいるみたい
キラキラまぶしくて 目をつぶるとすぐ
I feel so good It's automatic

あいまいな態度がまだ不安にさせるから
こんなにほれてることは もう少し秘密にしておくよ

《感想5》愛の融合の魔術は、今はまだ、詩の書き手である「女」にのみ効力を持つ。「男」の愛の程度は、女から見てまだ不安だ。「あいまいな態度がまだ不安にさせるから、こんなにほれてることは、もう少し秘密にしておくよ」と女が言う。

やさしさがつらかった日も
いつも本当のことを言ってくれた
ひとりじゃ泣けない rainy days
指輪をさわれば ほらね sun will shine

It's automatic
側にいるだけで 体中が熱くなってくる
ハラハラ隠せない 息さえ出来ない
I just can't help

《感想6》15歳の女性の恋心の歌。男の気持ちは歌われない。だから恋人関係の危うさも予感される。ただしこれは周囲の見方。本人については「恋は盲目」だ。

It's automatic
アクセスしてみると 映るcomputer screenの中
チカチカしてる文字 手をあててみると
I feel so warm

《感想7》昔は、白い紙の上に相手の名前を書いて想いを満たした。今、「computer screen」のチカチカしてる文字に手をあてると「I feel so warm」だ。アナログ時代とデジタル時代の違い。

It's automatic
側にいるだけで 愛しいなんて思わない
ただ必要なだけ 淋しいからじゃない
I just need you

《感想8》「君」はそれ自身、価値がある。「私」は君の価値の根拠でない。「愛しい」と思う私また「淋しい」と思う私と無縁に、「君」は私の宝だ。ただ君が必要だ。
《感想8-2》「君」は神だ。神の前に私は無になる。絶対の恋心だ。

It's automatic
抱きしめられると 君とparadiseにいるみたい
キラキラまぶしくて
Wow Wow Yeah
I feel so good
It's automatic
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