DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

兼好法師『徒然草』第218段「狐は人に食ひつくものなり・・・・・・」:13世紀末、京都市街にも、その郊外にも狐がたくさんいた!

2018-10-29 18:53:41 | 日記
狐は人に食いつく。 A fox often bites a person.
堀川殿で舎人(トネリ)が寝ていて足を狐に食われた。 At Horikawa Palace, a fox bit a servant (toneri) on the leg.
仁和寺で夜、下(シモ)法師に狐3匹が飛びかかった。 At Ninnaji Temple, 3 foxes attacked a monk soldier at night.
彼は刀を抜き防いだ。 He drew a sword and protected himself.
彼は狐1匹を刺し殺した。 He stabbed and killed one of them.
彼は多くの箇所を噛みつかれた。 He was bitten at many spots of his boddy.
しかし無事だった。 However, he was safe.

《感想1》13世紀末、京都市街にも、その郊外にも狐がたくさんいた。
《感想2》約5500年前縄文時代の狐の犬歯の首飾りが有る。日本人と狐の関係は古い。
《感想3》狐はネズミの天敵であることから、稲荷神(稲など農耕神)の使いとされた。
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ホフマン(1776-1822)『クレスペル顧問官』(1819年):父クレスペルと娘アントニエは同一の夢を見た!彼女は夢を見ながら死んだ!

2018-10-29 10:11:05 | 日記
(1)
クレスペル顧問官は風変わりな人物だった。珍妙な服を着たり、野兎の骨を旋盤にかけ玩具を作ったり、また奇妙な3階建ての別邸を建てたりした。彼はヴァイオリン演奏と製作が一流だった。彼は南ドイツのH町の陰気な家に、年寄りの家政婦一人とひっそり暮らしていた。
《感想1》クレスペル顧問官は独身のようだが、実はヴェニスの歌姫アンジェラと秘密に結婚していた。二人にはアントニエと言う娘がいた。二人は心のこもった手紙を交換していた。

(2)
クレスペル顧問官は、ある日、不意に旅に出た。数カ月して戻って来て、その翌日の夜、ピアノの伴奏とともに若い女性(アントニエ)の素晴らしい歌声が流れて来た。クレスペルのヴァイオリンも加わった。その後、顧問官の怒鳴り声、言い返す男の声、切れぎれな女性の声と悲鳴がした。そして一人の青年が涙にむせび飛び出して来て郵便馬車に乗り、そのまま町を出た。
《感想2》実はクレスペルはドイツ・F市に行った。アンジェラが公演中にそこで突然死んだからだ。葬儀の後、彼は娘アントニエを連れてH町に帰って来た。その翌日の夜、ピアノを弾いていたのはアントニエの許婚(イイナズケ)Bだった。

(3)
私がクレスペルの自宅に招待された時、彼はアントニエ(彼の姪と言われていた)が好きなヴァイオリンを見せてくれた。私はアントニエの歌が聞きたかった。私が頼むと、「だめです。お断りします。学生さん。」とクレスペルが言った。私は、帰らざるをえなかった。
《感想3》クレスペルは、アントニエに歌を歌わせたくなかった。彼女が歌を歌うことは、実は彼女にとって死を意味したからだ。

(4)
クレスペル顧問官の家の二回目の訪問の時、アントニエがヴァイオリン製作の手伝いをしていた。私はアントニエと談笑した。クレスペルはそれを見て楽しんでいるようだった。
《感想4》アントニエが歌を歌わない限り、彼女は永生きできるから、父クレスペルは嬉しい。

(5)
その後、私は顧問官の家に足しげく通った。しかし音楽の話題になり、なかでも歌について語ると彼は暗い表情となり話をそらした。しかし私はアントニエのあの素晴らしい歌が聞きたかった。ある晩、私はピアノを弾き、アントニエに歌うよう誘った。するとクレスペルがそれを遮り「学生さん、お帰りなさい。たとえ二度と再びお目にかかれないとしても、私の友情は忘れないでください」と言った。やがて私はH 町を去った。
《感想5》アントニエに歌わせようとした私は、クレスペル顧問官に妨げられた。彼はしかし私を嫌ったわけではない。だから彼は「二度と再びお目にかかれないとしても、私の友情は忘れないでください」と言った。

(6)
2年後、私は官途につきB町に赴任した。ある日、南ドイツ旅行を思いつきH 町を訪問した。その日、葬式があった。あのアントニエが死んだのだ。私は司法官で、アントニエの死とクレスペル顧問官の間に犯罪が絡んでいると思った。私は彼の家にのりこんだ。
《感想6》アントニエがクレスペル顧問官の娘であることをH町の誰も知らない。(姪と思われていた。)もちろん当時「私」も知らなかった。アントニエの病気も隠されていた。

(7)
クレスペル顧問官が言った。「アントニエは死に、秘密も消えました。」彼は事情の一切を話した。かつて20年ほど前、クレスペルはイタリアに旅行した。ヴェネツィアで彼は、有名な歌姫アンジェラと秘密の結婚をした。妻になるとアンジェラはわがまま、気まぐれで、ある晩、二人は大喧嘩となった。怒ったクレスペルがアンジェラを抱き上げ窓から外に放り出した。その後、彼はドイツに戻ってしまった。
《感想7》「妻になるとアンジェラはわがまま、気まぐれ」になったとは、ありそうな話だ。本当なら「親しき仲にも礼儀あり」が大事だ。どこの国、いつの時代も人間は似ている。

(8)
アンジェラは柔らかな草むらに落ちたので怪我はなかった、しかしそれ以後、彼女は人が変わり、わがまま、気まぐれ、わざと人を苛めて喜ぶくせが拭ったようになくなった。8カ月後、アンジェラは「天使のように可愛い女の子(アントニエ)が生れた」と手紙でクレスペルに報告した。そして「一刻も早くこちらに来てほしい」と結んだ。
《感想8》アンジェラは人格的に回心した。だが「雨降って地固まる」とクレスペルは思わなった。彼は楽観しなかった。

(9)
クレスペルは迷った。「結局、自分が姿を現せば、アンジェラの心に例の気まぐれが息を吹き返す!」彼はドイツにとどまり、アンジェラ宛に心のこもった手紙を書いた。その後も手紙がひんぱんに、ヴェネツィアとH町を往復した。娘アントニエは成長し、アンジェラが「娘はいずれ一級の歌手になるだろう」と書いてきた。
《感想9》遠く離れているほうが、互いを思いやる。男女が別れてあるいは別居して、かえって同じ家に暮らした時より良い関係になることがある。

(10)
アントニエは青年作曲家Bとの結婚を希望し、父クレスペルも母アンジェラも賛成した。しかしアンジェラは風邪をこじらせ、公演中のドイツF市で突然亡くなった。クレスペルが葬儀のためF 市に行く。彼が初めて会ったアントニエは、母親の愛らしさと美しさを引き継ぎ、しかしわがまま、気まぐれはなかった。許婚(イイナズケ)BもF市にやって来た。
《感想10》娘アントニエは、母と同じように歌が上手だ。また美しく、性格もよい。「天二物(ニモツ)を与えず」と言うが、彼女は美点を三つ持つ。

(11)
F市の宿で、Bがピアノのを弾き、クレスペルのヴァイオリンも加わり、アントニエがマルティーニ作モテットを歌った。だが歌ううちにアントニエは蒼白となり、左右の頬に赤黒い斑点が現れた。父クレスペルは、それを見て怖れ、「心配だ。もう歌うのはやめておくれ!」と娘アントニエに言った。
《感想11》何ということだ!アントニエは重大な病気かもしれない!

(12)
翌日、クレスペルは医師から言われる。「彼女は胸部に欠陥があります。だからこそあの不思議なまでの美しい歌声が出ます。ただこのまま歌い続けるとあと半年の命と思わなくてはなりません。」クレスペルは決心した。アントニエにこのことを伝え、「歌を続けて早死にするか、歌を諦めるかいずれかしかない」と告げた。また許婚(イイナズケ)の青年Bにも一切を伝え、アントニエの歌を諦めるよう頼んだ。クレスペルはアントニエを連れ、Bを置いて秘かに出発しH町に向かった。それを知りBもあとを追ってきた。
《感想12》アントニエは自分の運命を恨み嘆く様子がない。彼女は運命を受け入れているように見える。

(13)
H町に着くと、アントニエはBが来たことを知り、「死んでもいいですから、Bに会わせてください」とクレスペルに言った。クレスペルは、娘が自分よりBを選んだと思い絶望し、同時に覚悟した。クレスペルは、翌日、Bを自宅に呼んだ。その夜、Bのピアノの伴奏でアントニエが歌い、それにクレスペルのヴァイオリンが加わった。だがしばらくして、アントニエが床に倒れた。彼女が死んだと、クレスペルもBも思った。クレスペルがBに言った。「あなたの希望通り可愛い花嫁は死にました。立去って下さい。」B は涙にむせびながら飛び出し、郵便馬車に乗り町を出た。
《感想13》父クレスペルの覚悟は、彼の絶望に由来する。彼は「娘が死んでも仕方ない」と思った。なぜなら娘が死を懸けてBを望み、自分を見捨てたから。

(14)
だがアントニエは気絶していただけだった。それからアントニエは心からの愛をこめてクレスペルを慕い、父親の気まぐれや思いつきもよく理解した。「わたしもう歌いません。お父様のためにも永生きしなくちゃ。」と彼女は言った。
《感想14》娘アントニエは、空想の死を恐れなかったが、現実の死に接近して、死を恐れるに至った。

(15)
アントニエには気に入ったヴァイオリンがあった。クレスペルがそれを弾くと、彼女が躍り上がった。「これが私!私が歌っている!」と言った。この時以来、アントニエに安らぎと喜びが戻った。「私、何か歌いたい!」と彼女が言うと、クレスペルがアントニエのためにそのヴァイオリンを弾いた。彼女は心から楽しそうだった。
《感想15》不思議なヴァイオリン、アントニエに自分が歌っていると思わせるヴァイオリン。心情・感情は主観的だから、こういうことはありうると思う。

(16)
ある夜更け、クレスペル顧問官は、誰かが隣室でピアノを弾いている気がして目を覚ました。あの青年Bが弾いているらしい。やがてアントニエが歌い出した。クレスペルは起き上がろうとしたが体が動かない。そして突然、目のくらむような光が差し込んだ。Bとアントニエが固く抱き合い見つめ合っていた。
《感想16》アントニエの希望は、死に至る希望だった。彼女が、恋人B のピアノの伴奏で歌う。これは彼女の希望だが、彼女に死をもたらす。

(17)
これらはクレスペルの夢だった。彼は目覚めると、すぐに娘アントニエの部屋に駆けつけた。彼女は目をつむり口元に微笑を浮かべ、両手を胸にそえ横たわっていた。楽しい天上の夢を見ているようだった。しかし彼女はもはや冷たい骸(ムクロ)だった。
《感想17》おそらく父クレスペルと娘アントニエは同一の夢を見た。アントニエの希望の夢は、彼女の死に至る夢だ。夢が覚めクレスペルは生きているが、アントニエは夢を見ながら死んだ。
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