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自衛隊観艦式観覧記~「見たか銀翼この勇姿」

2012-10-26 | お出かけ

対潜爆弾を投下する前のP3-C。
コクピットの人影が何となく見えるような・・・。
観艦式における訓練展示、次々と現れる艦艇や飛行機、
勿論皆その威容に歓声を上げ喝采するのですが、
わたしはそういうときも「それを操縦している中の人」のことを考えます。

最近もまたF-2とF-15の違いが分からず、
「なんでそんなこともわからないのかこの自称中尉は」
と心ある読者をorz状態におとしいれたわけですが、
はばかりながらこのエリス中尉、海軍海自に興味を持っても、
それはあくまでも「そこにいる人間」が対象なのであって、
熱い気持ちで観察し考察しそして語りたいのは
武器飛行機艦船「そのもの」ではないのでございます。

とは言え、門前の小僧習わぬ経を読みとも言いまして、
それなりに詳しくない人よりは詳しいといえるくらいにはなった、
と言えなくもない程度にはなれた(←弱気)とは思いますが、
実際は詳しい読者の方たちの多大なお力添えによって
なんとかこのあたりのことは体裁を整えていると言えましょう。

いわば、「見ちゃいられん」と手をさしのべて下さる方のおかげで
ここまでやってきたブログでございます。
この場をお借りして、御礼申し上げます。

さて。

というようなエリス中尉が今回の観艦式参加において、
宝にも勝る貴重な体験を通し、新たに知り、驚いたことは多数です。

中でも訓練展示において表れる海自のポテンシャル、
特に攻撃力の可能性には目を見張りました。

航空部隊の展示は、P-3Cが中心です。



対潜爆弾を投下した瞬間のP-3C。

 

遠くから見ていると噴水程度にしか見えませんが、近距離ではこの通り。

P-3Cの搭載武器については、当ブログ軍事顧問であり、
このP-3Cを乗り機としていた鷲さんに語っていただく方が
間違いも無いと思いますが、取りあえず説明すると、

97式短魚雷
150キロ対潜爆弾

というのが搭載されている爆弾系武器です。
97式短魚雷を使用しているのは国内でも海自だけで、
しかもこれを乗せているのはP-3Cの一部であるとのこと。
この展示で落とされたのは対潜爆弾と考えていいかと思います。
(ですよね?)

ところで余談ですが、この「97式短魚雷」という名前につい反応してしまいました。
この命名の意味は、「この魚雷が1997年に制式になったから」です。

「九三式酸素魚雷」
「九四式酸素魚雷」

これらの旧軍時代の命名は勿論「皇紀2600年(西暦1940年)」を0として、
おのおの昭和8年、昭和9年に制式になった、と言う意味の命名ですが、
実はこっそり海自はこのネーミングを継承してたんですね。

勿論単に西暦に合わせただけなのですが、なんとなく開発者の意識が
この旧軍の酸素魚雷にフォーカスされていたのではないか?と感じます。
何より、こんなところにまで目を光らせイチャモンつけるような
マニアな地球市民はいなかったことは非常に喜ばしいことですが、ここはもう一息、

97式あらため、五七式短魚雷(1997年=皇紀2657年)

ではどうか?

旧軍懐古主義者なんて言われそうですが、逆に言いたい。
なぜ我が国の頂いている象徴たる皇室の起こりを元年としたこの暦を
使用せず、キリストの生まれた年を元年とする暦が中心になるのか。
なぜ紀元節が「軍国的」であるとして廃止されたのか。

なぜ我々はいつまでも反省させられるのか。

・・・・おっと、こういう話はまた別の機会にさせていただくとして、




見たか銀翼この勇姿
日本男児が精込めて
作って育てた我が愛機
空の護りは引き受けた

(『荒鷲の歌』 作詞作曲 東辰三)

この歌詞から本日表題を取ってみました。
このP-3Cの勇姿にぴったりですね。

ただしこの歌、この後が

来るなら来てみろ赤蜻蛉
ブンブン荒鷲ブンと飛ぶぞ

五行目がなんだか謎な歌詞ではあります。
赤とんぼって、日本機のあれですよね?



P-3C二機が三〇〇フィート上空から対潜爆弾を各機四発投下します。
重低音の爆発音と共に上がる水柱に、観客は息をのみます。

同じ写真ですが、確認用。

機体下部に開くボムベイと、そこから落下する爆弾が確認できますね。

訓練展示第二群はIRフレア発射です。



一機目。
P-3C哨戒機のIRフレア発射は、前々回の観艦式に初めて披露されました。
IRフレアとはデコイと同じく「ソフトキル」に類する欺瞞作戦で、
つまりこれを撒くことによって赤外線誘導ミサイルの命中を回避すると言う目的があります。

「紫電改のタカ」で、レーダーに感知させるために主人公が
アルミホイルを撒くシーンを思い出しました。
ついでに今ふと、昭和一九年当時、アルミ箔なんてそんな簡単に手に入ったんだろうか、
と考えてしまったのですが、その話はさておき。

「フレア」で画像検索すると、まるで花火のような美しいフレア画像が
たくさん出てきますが、それもこれも「攪乱」が目的なのですね。



二機目。実に情緒的にボケてしまいました。
機体の下部を見ると、赤く見えますが、
ここには六カ所のCMD(チャフ・フレア・ディスペンサー)があります。

このチャフ CHAFF には、籾殻という意味と、
「レーダー妨害用の金属片」というそのものの意味があります。
フレアは全部で60発発射されます。

さて、お次は?

訓練展示航空部隊の第三群は、救難飛行艇による離着水(の予定)です。



他の飛行機群に比べてやたら鮮明に撮れましたが、
それもそのはず、この飛行艇、思いっきり低速で飛んでいるからです。

皆、来るのを見ながら、
「あれ?全然来ないね」
「遅いね」
などざわざわしていたのですが、これはこの飛行機の特性。

「やったことはないがやれと言われれば不忍池にも着水してみせる」
と豪語するほどのピンポイント着水が可能なのだそうです。

パンフレットを見ながら

「これ、着水するらしいですよ」
「おお、すごいなあ」

そんな会話を行いつつ、固唾をのんで見守る観客。
・・・また、なかなか近づいてこないんだ、これが。




キターーーーー!!!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?

着水するようなそぶりでせずに行っちゃった。
この日着水しなかったのは予行演習だからだった、
と言う説もありますが、11日と14日は着水したらしいのです。



悔しいからニュース映像載せてやる。

前回(三年前)の本番は気象のため中止されたと言うことなので、
もしかしたらこれが観艦式初の着水の瞬間だったのでしょうか。
見ることができた人たち、ラッキーでしたね。


本当に観艦式は参加そのものも運なら、参加した後も運です。

というわけでメインイベントは終わったわけですが、

まだだ。まだ終わらんよ。