まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第679回定期演奏会

2023-06-27 18:47:04 | kyokyo
2023年6月24日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : エリアス・グランディ / 独奏 : 金川 真弓(ヴァイオリン)/ 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● チャイコフスキー : ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
このヴァイオリンの名曲を京響の演奏で聴くのは、少なくとも今回が4回目になります。記録をたどると、最初は2014年9月の第583回定期。ドミトリー・リスさんの指揮で、独奏は川久保賜紀さん。続いて、2016年9月の「京響スーパーコンサート」と題する演奏会。広上淳一さん指揮で、独奏は五嶋みどりさん。直近は、2018年9月の大阪特別公演。独奏は小林美樹さんで、指揮は同じく広上淳一さん。

今回独奏の金川真弓さんは、2020年3月、京響の西宮での演奏会で、同じく名曲のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。指揮は、これまた広上淳一さん。残念ながら、その時の印象というのは今回ほど強烈なものではなく、ほとんど記憶に残っていません(なんで?)。

金川真弓さんのヴァイオリンは、とりわけ中・低音域の音量、響きが素晴らしく、卓越した表現力とあいまって、大きな感銘を受けました。例えば、五嶋みどりさんのような、聴衆の耳目を一身に集中させる「求心性」とはまた違う、ホールという空間を温かく包み込むかのような、豊かな「包容力」を感じました。若手演奏家にして、このオーラ感は圧倒的なものでした。

協奏するグランディ=京響も、金川真弓さんの独奏ヴァイオリンに呼応して、やや強めの明るくクリアなサウンドで受け応え。ともすれば、感傷的な甘ったるい叙情に流されがちな曲想に対して、きりっと引き締まった響きも好ましく、私の中では、同曲のベスト・パフォーマンスとも言える名演となりました。

● バルトーク : 管弦楽のための協奏曲
20世紀を代表する、このバルトークの名曲は、2012年3月の第555回定期で、広上淳一さんの指揮で聴いています。当時、京響の演奏力向上のために情熱を注いでいらっしゃったマエストロのタクトに、まだ若かった(?)楽団員さんたちが懸命に応えて、躍動感にあふれ、燃焼度の高いステージとなりました。この曲が前半に組まれ、後半はシェーンベルク編曲のブラームスのピアノ四重奏曲第1番という、何とも重厚で意欲的なプログラムの定期でした。

そして、稔り豊かな10余年の歳月を経てのグランディ=京響の演奏。若干名のメンバーの異動があるにしても、それぞれの楽団員さんが円熟のときを迎え、余裕(余力)すら感じさせる高水準のパフォーマンスを披露。京響初登場の若手指揮者の音楽的要求に対しても、柔軟かつ的確に対応してみせるフレキシビリティの高さを存分に発揮。それは裏返せば、わずか数回のリハーサルにも関わらず、京響の演奏能力を十二分に表出してみせた、エリアス・グランディさんの卓越した技量がもたらしたものとも言えるかもしれません。

ケレン味たっぷりに、オーケストラを過度に煽り立てることもなく、よい意味での「学生指揮者」のような端正な指揮姿。清潔感、純真さ、一途さも感じさせるグランディさんのタクトに、とても好感を持ちました。京響との相性も良さそうなので、これからも客演指揮を積み重ねて、深い相互信頼関係を築いてほしい、注目の若手指揮者のお一人と言えるでしょう。


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