まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第613回定期演奏会

2017-06-24 20:32:29 | kyokyo
2017年6月23日(金) 19:00開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 小泉 和裕 / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ベートーヴェン : 序曲「レオノーレ」第3番 作品.72b
作曲者唯一の歌劇「フィデリオ」の序曲。 作曲順に第2番、第3番、第1番。 フィデリオも含めると4つもある。
数ある「序曲」の中でも、個人的には一番好きな作品。 まだ聴いたことがない第2番、第1番にも興味があります。

レオノーレとフィデリオは同一人物。 レオノーレが男装して、フィデリオと名乗る。 タカラヅカの男役みたいな。
ゆったりとしたテンポで始まる序奏と、加速度的に盛り上がっていくフィナーレとの対照の妙が印象に残ります。

CDでは分かりづらい、舞台裏から聴こえてくるトランペットのファンファーレも、劇的な演出効果がありました。
聴衆の皆さんは、奏者の西馬さんの紹介を期待して拍手を送り続けましたが、小泉さんはあっさりと「第2番」へ。

● ベートーヴェン : 交響曲第2番ニ長調 作品.36
後世の私たちは、後に続くベートーヴェンの交響曲の傑作を知っている分、若き日の習作のように捉えがちな作品。
それでも、前時代のハイドンやモーツァルトとは異なる、みずみずしい躍動感とスケールの大きさを感じさせます。

第3番「英雄」との間で、格段の音楽的進化を遂げるわけですが、徐々に蓄えられつつあるエネルギーの息吹き。
第2楽章で奏せられる主題は、天国的な美しさ。 あの「ハイリゲンシュタットの遺書」と同時期とは意外でした。

あと「第1番」を聴けば、ベートーヴェンの全9つの交響曲を聴き通したことに。 演奏は、全て京響になります。
これまで、数が少ないブラームスとシューマンは達成しています。 こういうのは、「チクルス」とは言わないの?

● ベートーヴェン : 交響曲第7番イ長調 作品.92
第5番「運命」、第6番「田園」という傑作が続いた後、ベートーヴェン先生、さあ、今度はどうするのだろうか?
4年間のブランクの後、今度は「リズム交響曲」という独創的な手法。 常に、新たな地平を開拓しようとする姿勢。

今あらためて9つの交響曲を振り返ってみても、それぞれが個性的かつ独創的。 決して延長線上にあるのではなく。
京響の演奏では、大友さん、広上さんの指揮に続いて3回目の体験になりますが、毎回、新たな発見に出会います。

今回の小泉さん指揮の演奏では、とりわけ快速調な第4楽章が印象的。 凄まじい推進力と歯切れ(音切れ)の良さ。
視覚的にも、「ザック、ザック」という感じがするボウイング。 中山航介さんのティンパニーの小気味良い響き。

コメント
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