まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第549回 定期演奏会

2011-08-06 11:26:34 | kyokyo

2011年8月5日(金)19:00 開演 @ 京都コンサートホール・大ホール
指揮: 広上 淳一(常任) / チェロ: 上村 昇(ソロ首席) / ヴィオラ: 店村 眞積

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● ドヴォルザーク : 序曲「謝肉祭」 作品92
出だしの数小節を聴いて、「あっ、この曲か!」と気が付きました。 家にCDがあるのです。
シャイー=コンセルトヘボウの録音盤で、交響曲「新世界より」とのカップリングのもの。

大西洋を越えてアメリカに渡ることによって、まさに「一皮剥けた」感じのドヴォルザーク。
それでも、この時期のボヘミアの土俗的、民族色豊かな作品は、ドヴォルザークの真骨頂!

広上淳一さんの指揮はメリハリが効いていて、エネルギッシュな躍動感に満ち溢れています。
プログラム・ノートにもあるように、「真夏の祝祭」にふさわしい快演。 京響も好調をキープ。

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● レスピーギ : 交響詩「ローマの祭り」
ローマの「噴水」・「松」に続く、「三部作」の最後の作品。 途切れ目なく演奏されます。
各々四つの祭りは、歴史的背景や性格が異なるので、割りと容易に聴き分けられました。

ローマの人々が祭りに高揚し、熱狂し、陶酔していく様が、まさに怒涛の如く描かれています。
多彩な楽器編成も魅力的で、ピアノ、オルガン、教会の鐘、マンドリンなど、何でもアリです。

演奏の前には、たぶん「ローマ観光のガイドブック」風な曲だろうと想像していたのですが、
大きなスケール、奥行きの深さ、広がりをもった、「ローマ賛歌」のような印象を受けました。

演奏中、思わず、「広上ワールド」とか「京響サウンド」という言葉が浮かんできました。
指揮者とオーケストラの確固たる個性・カラーをより強烈に、鮮明に打ち出した熱演でした。

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● リヒャルト・シュトラウス : 交響詩「ドン・キホーテ」 作品35
セルバンテス原作の冒険的なシーンの数々を、忠実な音楽的な表現で再現・描写した作品。
ドン・キホーテの役柄をチェロ独奏、同じく、サンチョ・パンサをヴィオラ独奏が演じます。

NHK・BSの番組に、この曲の「映像詩」化を試みる、ドキュメンタリーがありました。
チェロはあのロストロポーヴィッチさんで、ヴィオラはなんと今夜の店村眞積さんでした。

私のイメージ力では、聴いている演奏がどのシーンにあたるのかは、よくわかりません。
それでも、風車や羊の群れとの格闘、空中飛行(?)など、見(聴き)どころ満載の作品です。

故郷に帰り、死の床にあるドン・キホーテ。 架空の物語とはいえ、最後の場面はドキドキ。
ロストロポーヴィッチさんの「生命(死)に緊張感があることを表現したい」という言葉を実感。

とてもチャーミングなエンディングで、ドン・キホーテの奇想天外な冒険物語は幕を閉じます。
前回定期での無粋な「フライング」もなく、音楽の余韻を楽しみつつ、会場を包み込む拍手。

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京都にゆかりのある二人の名手を迎えての定期。 親近感と共に、とても誇らしい気持ちに!
常任就任4年目のシーズンを迎える広上さんも、もう立派な「わが街のマエストロ」ですね。

Matsuri

コメント
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