まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第625回定期演奏会

2018-07-23 18:36:10 | kyokyo
2018年7月21日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール
指揮 :下野竜也(常任首席客演) / 独奏 : 野田清隆(ピアノ) / 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● シューマン :「天使の主題による変奏曲」からテーマ(野本洋介編曲)
元々は、シューマンが最晩年に手がけたピアノ曲だそう。 広島交響楽団の定期演奏会のアンコール曲として編曲。
宗教曲のような静謐さと、気高い美しさに満ち溢れた作品。 酷い幻聴に苦しんでいた時期の作品とは信じがたい。

● 尾高惇忠 : ピアノ協奏曲
前回の6月定期でのジェニファー・ヒグドンの「ブルー・カセドラル」の日本初演に引き続いて、今回も現代作品。
本日の独奏者、野田清隆さんのために書かれた作品。 西日本では「初演」という栄誉に浴することが出来ました。

冒頭から、清冽で斬新なピアノの響きに魅了される。 現代作品にありがちな、「独りよがり」の先鋭さもマイルド。
終楽章の、ピアノとオーケストラがモールス信号の様な音型を呼応しながら、高揚していくところが印象に残ります。

いわゆる「名曲」と呼ばれている作品も、初演以降、幾多の「洗礼」を受け続けてきて、獲得したのが今の名声。
このピアノ協奏曲も、後世、そう呼ばれ得る資格は十分持っている充実ぶり。 演奏機会の更なる増加が望まれます。

● ブルックナー : 交響曲第1番ハ短調 WAB101(リンツ稿・ハース版)
2017年1月定期での「第0番」の交響曲が想定以上によかったので、今回もトライしてみることにしました。
プレトークのご教示のように、深い森の中をゆっくり歩くように、かすかな変化の中に美しさを見出せるように。

ブルックナーは後に、この交響曲を「おてんば娘」と呼んだそうですが、確かに若気の「気負い」のようなものが。
下野さんいわく、お弁当のおかずを作り過ぎて、バランスお構いなく、お弁当箱に無理やり押し込んでしまった感。

洗練されているとは言い難い野暮ったさの残る中、いかにもブルックナーらしい、重厚で深淵な響きを現出した京響。
今回の演奏では、フルート首席の上野さんが印象に残る活躍ぶり。 前任の清水さんのようなスター性も感じました。

いわゆる「ブルヲタ」さんたちの「そうそう、ここの響きがたまらんやろ!」という思いが、何となくわかるような。
「私、案外、ブルックナー好きなのかも!?」という結論に達した次第。 下野さん、来シーズンも期待しております。



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