まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

ローム・ミュージック・フェスティバル 2018

2018-04-24 09:32:23 | kyokyo
2018年4月22日(日)18:00 開演 @ロームシアター京都・メインホール
指揮 : 下野 竜也 / 独奏(ピアノ): 小林 愛実 / 管弦楽 : 京都市交響楽団


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● モーツァルト : ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466
やはり、モーツァルトによる「短調」の作品は、何か特別な思いを抱かせるのに十分な楽想に溢れたものでした。
緊張感、ドラマ性に満ちた両端楽章と、中間に挟まれた天国的な響きの愛らしいロマンス。 劇的なコントラスト。

ロームシアターで聴く京響は、今回がまだ2回目ということもあり、最初はその響きの違いに少々戸惑いました。
上層の階では音が抜けて散漫に聞こえるような。 曲によっては、京都コンサートホールの響きの方が合うものも?

ピアノは小林愛実さん。 決して凡庸な演奏というのではありませんが、名曲を「卒なく」弾きこなされていた感。
外国人指揮者での好演が続く京響ですが、ここは、先日の高関さんと下野さんで、きっちりと押さえたはりました。

● R.シュトラウス : 交響詩「英雄の生涯」 作品.40
同作曲家による一連の交響詩の中では、そのストーリー性や登場人物の性格も分かりやすく、存分に楽しめるもの。
これまでに作曲された数々の交響詩の旋律が引用され、「英雄=R.シュトラウス」ご本人だと分かる仕掛けも面白い。

第3部に登場する、「英雄」の良き伴侶のパートを受け持つのが、コンサートマスターによるヴァイオリンの独奏。
演奏家生命にも影響を及ぼしかねない重大な故障を懸命に克服された、泉原隆志さんの完全復活のパフォーマンス。

独奏ヴァイオリンとホルンとが響き合う、「英雄」が人生の終焉を迎える部分、その崇高かつ昇華された美しさ。
無意識のうちに両手を組みながら、まるで「祈り」のポーズを取っているかのように、聴き入ってしまいました。

            *  *  *  *  *

この演奏会の前、野外の特設ステージで行われていた、京都橘高校吹奏楽部のパフォーマンスも見事なものでした。
早くホールに入ってもよかったのですが、ラストの「シング・シング・シング」まで、その場を離れられませんでした。

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京都市交響楽団 第622回定期演奏会

2018-04-14 13:51:50 | kyokyo
2018年4月13日(金)19:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : ダミアン・イオリオ / 管弦楽 : 京都市交響楽団(コンサートマスター : 泉原 隆志)


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● レスピーギ : 交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」「ローマの祭」
レスピーギのいわゆる「ローマ三部作」を一挙演奏。 さながら、「ローマ市観光局」後援の演奏会のような趣き。
私は、これまでに京響の演奏で、「ローマの祭」(11年8月)と「ローマの松」(14年4月)を聴いています。

同じ作曲家で、しかも連作の三つの交響詩。 途中で飽きてこないか心配していましたが、全て杞憂に終わりました。
ひとつひとつの個性が際立ち、まばゆいばかりの色彩感と豊かなストーリー性で、終始、魅了されてしまいました。

今回が、日本デビューとなるダミアン・イオリオさん。 ご両親は、イタリア人とイギリス人の音楽家だそうです。
イタリアの洗練された感覚と、イギリスの節度ある品位が、バランスよくブレンドされたような指揮ぶりでした。

レスピーギは、若いころ、サンクトペテルブルクで、リムスキー=コルサコフに管弦楽法の指導を受けたとのこと。
意識して聴いてみると、あの「シェエラザード」のアイデアを下地にしたと思える箇所が、幾つか現れてきます。

定期では珍しく、アンコール曲付き。 ポンキエッリの歌劇「ジョコンダ」から「時の踊り」が披露されました。
時間的には物足りなさを感じる演奏会の穴埋め用(?)にしては、チャーミングな演奏で魅了。 贅沢なアンコール。




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京都市交響楽団 スプリング・コンサート

2018-04-10 10:02:33 | kyokyo
2018年4月8日(日)14:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 高関 健(常任首席客演指揮者) / 管弦楽 : 京都市交響楽団


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● バーンスタイン : 「キャンディード」序曲
今年は、生誕100年というメモリアル・イヤーのバーンスタイン。 私には、名指揮者の印象の方が強いですが。
欧州伝統の「オペラ」ではなく、「ミュージカル」の序曲というところが、いかにもアメリカらしいところです。

標題は、ミュージカルの主人公(青年)の名。 氏の指揮と同様、陽気で快活、チャーミングな開幕となりました。
ショービジネスの本場での華麗なステージを彷彿とさせる京響の演奏。 高関さんの明晰なタクトに応えています。

● サン=サーンス : 交響詩「死の舞踏」作品. 40
調弦を半音ずらした独奏ヴァイオリン、いわゆる「悪魔のヴァイオリン」は、客演コンサートマスターの三上亮さん。
人事異動のシーズンだけに、卒団された渡邊穣さんの後任候補(?)かと思ったり。真偽のほどはわかりません。

ヴァイオリンの独奏以外のときは、コンサートマスターとしての通常業務(?)をこなされていたようですが…。
調弦のずれたヴァイオリンを扱っていても、それを踏まえて、他の奏者と音程を合わされていたのでしょうか?!

● デュカス : 交響詩「魔法使いの弟子」
ディズニー映画「ファンタジア」の中で、ミッキーマウスの役どころが、この魔法使いの弟子。 巻き起こる大洪水。
数年前のスプリング・コンサートでは、広上淳一さんの指揮で、話題のプロジェクション・マッピングとのコラボ。

このコンサートの副題が、「 オーケストラが描く物語」。 オリジナルの詩の内容が、見事に描写されていました。
演奏前の高関さんの適切な解説のおかげで、作品の鑑賞度が一段と深まりました。 やはり、予備知識は大切ですね。

● ベルリオーズ : 幻想交響曲 作品. 14
昨年9月定期、アクセルロッドさん指揮の熱演も記憶に新しい。 今日の高関さんの指揮、違いはどこに出るのか?
クラシック音楽を聴く楽しみは、指揮者のアプローチの違いによる、微妙なニュアンスの変化を聴き分けるところ。

テンポの設定や響きのバランス(重心の置きどころ)が異なると、同じ楽曲でも聴き手の印象は変わってきます。
私の好みから言えば、やや重い足取りで、少々しんどかったか。 より開放的で、奔放にドライブする演奏が好き。

それでも、第4楽章「断頭台への行進」のラストでは、一部の聴衆から拍手が起こってしまうくらいの高い燃焼度。
間違って拍手をしてしまった人は、この後に、狂乱の最終楽章「ワルプルギスの夜の夢」が待ち受けていようとは。



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