まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京響スーパーコンサート スウェーデン放送合唱団 × 京都市交響楽団

2019-11-24 20:49:13 | kyokyo
2019年11月23日(土・祝)14:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / 管弦楽 : 京都市交響楽団 / 合唱 : スウェーデン放送合唱団
独唱 : ケイト・ロイヤル / アリョーナ・アブラモヴァ / オリヴァー・ジョンストン / ミラン・シリアノフ


            *  *  *  *  *

● モーツァルト : 歌劇「皇帝ティートの慈悲」K. 621より 序曲
モーツァルト、最晩年の作品。 ハプスブルク家から委嘱されたオペラですが、初演の評判は芳しくなかったとか。
さすがの天才作曲家とはいえ、「魔笛」と「レクイエム」の掛け持ちでもあり、その心労の程は想像に難くない。

本来なら、宮廷楽長のサリエリが担当するはずが、なんと辞退。 そこで急遽、モーツァルトが引き受けたという…
コンサート的には、この後に続くプログラムの交響曲第25番への伏線と考えると、なかなか面白味を感じる選曲。

● モーツァルト : 交響曲第25番 ト短調 K. 183
モーツァルトによる「短調」の交響曲やピアノ協奏曲は、希少ということもあり、何かしらの感慨を抱かせるもの。
大ヒットした映画「アマデウス」に、冒頭部分が使用されたこともあって、後期の交響曲と並んで人気の高い作品。

やはり冒頭部分の、押し寄せてくる波のような緊迫感が印象的。 また、他の楽章の個性豊かな表情も巧みに表現。
オーボエは首席の高山さんではなく、契約団員の方が担当。 奮闘されていましたが、音色的には少々物足りなさも。

● モーツァルト : レクイエム ニ短調 K. 626(ジュースマイヤー版)
指揮者、オーケストラ、独唱陣の存在を超えて、今日の「主役」は何と言っても、スウェーデン放送合唱団でした。
総勢30名余りの編成にもかかわらず、オーケストラに堂々と対峙した力量たるや、さすがに世界に冠たる合唱団。

自分の言葉で思いを綴ろうするものの、中々、言葉の方が追いつかず、どうしても陳腐な表現になってしまいます。
あえて言うなら、ひとつに溶け合ったハーモニーが消えていく…、その余韻(残響)までもが愛おしく感じました。

世界の超一流と言われるアーティストが、わが街のホールで、わが街のオーケストラと共演! 夢のようなひと時。
今後、もし聴く機会に恵まれるとしたら、無伴奏による合唱団だけの演奏も、ぜひ体験してみたいと思いました。



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京都市交響楽団 第640回定期演奏会

2019-11-18 13:23:17 | kyokyo
2019年11月17日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : シルヴァン・カンブルラン / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● 武満徹 : 夢の時 ~ オーケストラのための
当然のことながら、武満徹のような芸術家と、私たち凡人がみる「夢」とは、本質的に異なるものなのだろう。
夜毎こういう夢をみるのであれば、安眠するどころか、そのうち不眠症にでもなってしまいそうな不可思議な世界。

その庭にはたぶん、弱々しい木もある。 しかし、その木の複雑で力強い、大きく広がった根は目には見えない。
石があってもそれは地下の巨大な山の頂点なのか、ただの小石なのかは定かではない。(プログラムノートより)

● ハイドン : 交響曲第104番ニ長調「ロンドン」
作品自体は、当時のロンドンの情景を描写したものではありませんが、格調の高さと豊かな品位を感じさせるもの。
カンブルランさんの指揮は全体のバランスに配慮が行き届き、京響は精緻なアンサンブルを聴かせてくれました。

モーツァルトの華やかさ、愛らしさとはどこか異なり、後のベートーヴェンの交響曲を予感させるアイデアの数々。
ハイドンの音楽の魅力を再認識させてくれる演奏でしたが、現代人の耳にはいささか物足りなさを感じるのも事実。

● ストラヴィンスキー : バレエ音楽「春の祭典」
いく分ゆっくりとしたテンポで進行していく。 急速調の部分になっても、オーケストラを煽るようなことはない。
原初的、土俗的な雰囲気というよりは、むしろ、整然とコントロールされた洗練さを意識させるような演奏でした。

例えば、管楽器パートの強奏でも、目いっぱいの「咆哮」や「絶叫」というよりは、常に余力を感じさせるもの。
大地を轟かす「地鳴り」のような打楽器の連打でも、その重々しさよりも、切れ味の鋭い「シャープ」さが印象的。

この作品は、14年2月の定期で、秋山和慶さんの指揮で聴いています。 明晰な指揮ぶりに耳目が奪われました。
今回のカンブルランさんはオーケストラとの渾然一体感が素晴らしく、初めての客演指揮とは思えないほどでした。



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