まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第654回定期演奏会

2021-03-30 17:13:21 | kyokyo
2021年3月28日(日)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / 独奏 : 小林 美樹(ヴァイオリン) / 管弦楽 : 京都市交響楽


            *  *  *  *  *

● ドヴォルザーク : 序曲「自然の王国で」 作品91
元々は、連作の演奏会用序曲の第1曲目。 ひとつの作品として演奏することを意図して、作曲されたとのこと。
三部作の第2曲「謝肉祭」は、京響の演奏会でも採り上げられたことがあり、個人的にも大好きな管弦楽曲です。

縁もゆかりもない日本人が聴いたとしても、どこかしら郷愁を感じてしまうドヴォルザーク(ボヘミア)の音楽。
昔々、はるか遠い昔、ユーラシアの深奥部で、共通の祖先が暮らしていた風景を想起してしまう。 DNAの共鳴。

● ブルッフ : ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調 作品26
ヴァイオリンの小林美樹さんは、18年9月の京響の大阪特別公演の際にも、ソリストとして抜擢されています。
その公演では、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を披露。 広上さんお気に入りの若手演奏家なのだろう。

冒頭のソロ部分では、ゆったりとしたテンポ設定でじっくり歌い込んでいく。 緊張の糸が緩むことなく聴かせる。
祝祭的で華やかなフィナーレは、瑞々しい躍動感に満ちたもので、思わず「ブラヴォー!」の声が上がったほど。

広上=京響の演奏は、こじんまりとまとめるというよりは、作品の持つスケール感を意識させるようなものでした。
第544回定期でも、同じくブルッフの「スコットランド幻想曲」を採り上げた広上さん。 お気に入りの作曲家。

● ドヴォルザーク : 交響曲第7番ニ短調 作品70
この第7番の交響曲は初めて聴きました。 後続の第8番、第9番に比べると、音楽的洗練ではやや劣るものの…
チェコ人としての民族的な魂、愛国心を感じさせる作品。 スメタナの連作交響詩「わが祖国」と相通ずるものが。

プログラムノートには、ドヴォルザークとブラームスとの音楽的な交流がエピソードとして紹介。 興味深い内容。
確かに、ブラームスの4つの交響曲のうち、中間の第2番、第3番の交響曲と、曲想が似ているように感じます。

広上=京響の演奏は叙情豊かに歌うところはたっぷり歌い、畳み掛けるような響き、リズムはシャープな切り口。
常々口にされている「京響は世界レベルのオーケストラに成長した」という、広上さんのコメントを十分に証明。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする