2012年6月10日(日) 午後2時30分 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : アンドリス・ポーガ / 独奏 : ジャン=エフラム・バウゼ(ピアノ)
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● ウェーバー : 歌劇「魔弾の射手」序曲 作品.77
これから演じられる歌劇の予告編、ダイジェスト版という点から言えば、最も序曲らしい序曲。
ドラマの中から、「エエとこどり」した魅惑的な旋律の数々。 期待感、わくわく感いっぱい。
私たちをヨーロッパの深い森の中へと誘ってくれるようなホルンの響き。 あっ、そう言えば!
思わず閃いたのが、男声合唱による「狩人の合唱」。 この曲も「魔弾の射手」の有名曲です。
後ろの席から、「なかなかレベルが高い」との声。 「京響は、これくらい当たり前!」と私。
ポーガさんの明瞭な指揮。 呼応する弦楽器の弓の運びも一体感があり、視覚的にも美しい。
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● ラヴェル : ピアノ協奏曲 ト長調
前半の2曲目はイメージがガラリと一変して、溢れるような色彩感が魅力のフランスもの。
ポーガさんのレパートリーの広さ、柔軟性、対応力の高さを披瀝するような選曲になりました。
自由奔放・変幻自在の曲想を簡単に弾きこなしてしまう、バウゼさんの圧倒的なテクニック。
プログラム・ノートにもあるように、随所に感じさせるジャズやブルース由来のエッセンス。
華やかに彩られたピアノに呼応するオーケストラの各パートも、見事な協奏と言えるもの。
エンターテイメント性があり、アクロバティックな技巧を要する部分も、そつのない対応ぶり。
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● ブラームス : 交響曲第1番 ハ短調 作品.68
先日お亡くなりになった吉田秀和さんなら、果たしてどんな評論を残されたのでしょうか?
言葉にしてしまうと少々色褪せて感じてしまうくらい、実に堂々としたブラームスでした。
第4楽章の主題の提示部で「泣こう!」と思っていた私ですが、ちょっと肩すかしの状態。
むしろ、第2楽章での木管楽器が旋律をリレーしていく、息を飲むような美しさに「涙」。
フルート首席の清水信貴さんは本当に素晴らしく、楽器同様、キラリと光り輝いていました。
ウェーバー同様、4本のホルン隊も実に安定感がありました。 素晴らしい演奏会に大満足!