まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第635回定期演奏会

2019-06-23 14:50:01 | kyokyo
2019年6月21日(金)19:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一 / 独奏 : 五嶋 龍(ヴァイオリン) / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ヴェルディ : 歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
シチリア島と言えば、映画「ゴッドファーザー」のコルレオーネ家の父祖の土地。 島の風土や人情も濃密に描写。
彼らの激情的であり、なおかつ信仰心の篤い気質が曲想にも十分反映されていて、なかなか感慨深いものでした。

オペラの魅惑的な旋律が随所に盛り込まれているそうで、その場面転換の対比、鮮やかさが印象的な序曲でした。
広上=京響は、オープニングから絶好調! 水無瀬さんが副首席に復帰されたホルン隊のファンファーレが力強い。

● コルンゴルト : ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品. 35
初めてお聴きする五嶋龍さん。 強い自己表現と求心力で聴衆を惹き付ける「みどり」さんとはスタイルが異なる?
決してスタンドプレーをするような奏者ではなく、あくまでも指揮者とオーケストラと協調しながらの音楽づくり。

もう少し音量的には欲しいと思いましたが、音色はひたすらに優しく、美しさを追い求めていくような感じでした。
官能的、耽美的な音色を期待された方々からすれば、整然とスマート過ぎていて、やや物足りなく感じられたかも?

ハリウッドの映画音楽の世界で大活躍した作曲家らしく、自作の映画音楽からの旋律が巧みに取り込まれています。
あのチャップリンの作品に花を添える名曲を思い起こさせる曲想。 広上さんの指揮ぶり共々、満たされる幸福感。

● ラフマニノフ : 交響的舞曲 作品. 45
京響2月定期での交響曲第3番(指揮:秋山和慶さん)に引き続いて、最後の交響曲とも言える、この作品を聴く。
自身の「おそらくこれが私の最後の煌めきだろう」との言葉どおり、「舞曲」というタイトル以上に充実した内容。

初演は、オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団。 楽曲は、同指揮者とオーケストラに献呈されたという。
名手ぞろいの木管セクションを念頭に置いて作曲されたもので、京響の誇る同セクションも、実力を遺憾なく発揮。

大編成でありながらも、コンパクトで引き締まった響き。 フレーズの切れ味もシャープで、とてもいい演奏でした。
これまで、数々の名演奏を残してきた「広上=京響のラフマニノフ」の歴史に、新たな1ページが加わりました。



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