まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

「マイ本棚」ランキング 2013

2013-12-31 17:56:10 | book

今年1年の読んだ本(旧刊を含む)の中から気に入った作品、ベスト5を選んでみました。
昨年に引き続き、上位にランクされたのは綾辻行人さんの作品。 あれっ、角田さんがない?

            *  *  *  *  *

● 【第1位】 綾辻 行人さん : 「Another(アナザー)」 (角川文庫)
新刊の「アナザー エピソードS」(角川書店)をより楽しむため、まずは既刊の文庫本から。
個人的には、「学園ホラー」ものは大好きです。 アニメーション版もよく出来ていました。

● 【第2位】 万城目 学さん : 「とっぴんぱらりの風太郎」 (文藝春秋)
万城目さん待望の新作は、京・大坂を舞台とした忍者小説。 国語辞典ばりの分厚い長編。
キャッチコピー・コンテストに3作、応募しましたが、ものの見事に返り討ちに遭いました。

● 【第3位】 垣根 涼介さん : 「光秀の定理(レンマ)」 (角川書店)
「光秀フリーク」を自認する私にとっては、この作品をランクから外すわけには行きません。
司馬遼太郎さんの「国盗り物語」、真保裕一さんの「覇王の番人」と並ぶ「光秀公三部作」!

● 【第4位】 綾辻 行人さん : 「緋色の囁き」 (講談社文庫)
緋色・暗闇・黄昏と続く「囁き」シリーズ三部作。 いずれも甲乙つけ難い面白さなのですが、
こちらも、全寮制名門女子学園という閉ざされた甘やかな舞台設定に、何ともそそられます。

● 【第5位】 米田 彰男さん : 「寅さんとイエス」 (筑摩選書)
上京区にある聖トマス教会の神父さんが書かれた異色の宗教書。 えっ、寅さんとイエス!?
「男はつらいよ」シリーズの中での、寅さんの名セリフの数々も充実に採録されています。

            *  *  *  *  *

選外になりましたが、水谷千秋さん「謎の渡来人 秦氏」 (文春新書)も興味深いものでした。
暮れに出た角田光代さん新刊「私のなかの彼女」 (新潮社)は、まだ手付かずのままです。

Hondana_3

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京都市交響楽団 演奏会ランキング 2013

2013-12-30 16:41:47 | kyokyo

今年も私なりのランキングをまとめてみました。(定期6公演を含む計13回の演奏会から)
あくまでも素人の感想ですので、その時の思い入れの強さや感動の度合いが判定基準です。

            *  *  *  *  *

● 【第1位】 ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調 「合唱付」 作品. 125
京都市交響楽団 特別演奏会「第九コンサート」 / 指揮 : モーシェ・アツモン
2013年12月28日(土) 14:30開演 @京都コンサートホール

これも、後だしジャンケンか!? なんて言われると困りますが、本当に感動的な体験でした。
どれくらい感動したかというと、「有馬記念」のオルフェーヴル級、ぶっち切りの8馬身独走!

● 【第2位】 ベルリオーズ : 幻想交響曲 作品. 14
京都市交響楽団 第564回定期演奏会 / 指揮 : 広上 淳一
2013年1月25日(金) 19:00開演 @京都コンサートホール

たぶん多くの京響ファンの方なら、どれくらいの凄まじい演奏になるかは予め想定の範囲内。
期待を裏切らない圧巻の「幻想」。 天空から鳴り響く、けたたましい狂気じみた「鐘」の音!

● 【第3位】 チャイコフスキー : 交響曲第6番変ロ短調 「悲愴」 作品. 74
京都市交響楽団 第569回定期演奏会 / 指揮 : ユージン・ツィガーン
2013年6月16日(日) 14:30開演 @京都コンサートホール

ツィガーンさんはお母さんが日本の方だとか。 開演前のプレトークでも巧みな日本語を披露。
コミュニケーション面に問題がないならば、次期常任候補として良好な関係を築いて欲しい。

● 【第4位】 R.シュトラウス : 交響詩 「英雄の生涯」 作品. 40
京都市交響楽団 第567回定期演奏会 / 指揮 : 尾高 忠明
2013年4月14日(日) 14:30開演 @京都コンサートホール

このところの京響定期でもしばしば取り上げられるので、ずい分聴くようになった作曲家。
大河ドラマのようなストーリー性があり、第2弾CDの「ドン・キホーテ」よりずっと聴きやすい。

● 【第5位】 ムソルグスキー(ラヴェル編曲) : 組曲 「展覧会の絵」
第17回 京都の秋音楽祭 開会記念コンサート / 指揮 : 広上 淳一
2013年9月15日(日) 14:00開演 @京都コンサートホール

篠崎靖男さん指揮のマーラー「復活」にするか迷いましたが、余りに長いので「展覧会」の方。
タイトルが表すように「色彩感」のある音楽世界を、それぞれの個性を際立たせて描ききった。

            *  *  *  *  *

協奏曲に関しては、ソリストの力量に負うところも大きいので、予め除外して選びましたが、
今年は素晴らしい演奏に恵まれた印象。 神尾真由子さん、A.スムさん、松田理奈さん!

Daiku

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京都市交響楽団 特別演奏会「第九コンサート」

2013-12-29 16:55:26 | kyokyo

2013年12月28日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール
指揮: モーシェ・アツモン / 管弦楽: 京都市交響楽団 / 合唱: 京響コーラス
独唱: 半田 美和子(S) 富岡 明子(Ms) 吉田 浩之(T) キュウ・ウォン・ハン(B)

            *  *  *  *  *

● ベートーヴェン : 歌劇「フィデリオ」序曲 作品. 72
標題の「フィデリオ」とは、夫を刑務所から救出するために男装した妻、レオノーレの偽名。
個人的には「レオノーレ」第3番の序曲の方が好きですが、「決定稿」はこちらの序曲だとか。

「第3番」ほどのドラマチックな演出効果はありませんが、明朗快活で躍動感あふれる序曲。
演奏後に、地下鉄の事故で間に合わなかった人への配慮で、10分間の休憩が入りました。

            *  *  *  *  *

● ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調「合唱付」 作品. 125
過度に重々しくならず、かと言って軽薄な響きでもなく、程よいバランスがとれた第1楽章。
こういう「中庸」のところで上手く折り合いをつけるのも、ベテラン指揮者ならではの味か。

目まぐるしく曲想が変化する第2楽章。 渦巻くような「音」の中で、目が回りそうにな気分。
それでも、縦のラインがピシッとして崩れない、整然とコントロールされた演奏はお見事!

それにしても、この第3楽章の天上的な気高い美しさはどうでしょうか! 陶然とした心地。
ベートーヴェンがこの楽章でペンを置いたとしても、作品の価値を貶めることはありません。

そして、いよいよクライマックスの「歓喜の歌」へ。 特筆しておきたいのは京響コーラス。
クリアで明快な発声。 混濁のない響き。 クオリティーの高さを示した素晴らしい演奏でした。

            *  *  *  *  *

京響の「第九」コンサートには、今年初めて聴きに行きました。 聴きに来て本当によかった!
毎年聴き続けていると、指揮者による聴き比べやオケの音色の変化など、色々楽しめそうだ。

No9

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ひょうご クリスマス・ジャズ・フェスティバル 2013

2013-12-16 22:30:19 | jazz

オールスター・ジャムセッション! ‐黄金の60'S 日本ジャズ界の巨匠たち
2013年12月15日(日) 開演 16:00 @兵庫県立芸術文化センター・中ホール

            *  *  *  *  *

峰 厚介(テナーサックス) / 向井 滋春(トロンボーン) / 原 朋直(トランペット)
辛島 文雄(ピアノ) / 鈴木 良雄(ベース) / 村上 寛(ドラムス)

基本的にはピアノトリオに、ホーン・セクションの3管が加わるというセクステットの編成。
クインテットからデュオまで、いろいろなフォーマットに変えながら楽しませてくれました。

            *  *  *  *  *

サッカーでも「強力3トップ」とか言いますが、各々の楽器の音色と三者三様の個性の妙。
ここは原朋直さんの若さを買いたい! とりわけ、ハイトーンのシャープな切れ味が印象的。

このユニットの力量は、ホーンが抜けたあとのピアノトリオの演奏でも、よーくわかります。
ワンタイムとは思えない程の緊密な連携ぶり、「オン・グリーンドルフィン・ストリート」。

もちろん、クリスマスにちなんでの選曲も! 今宵はメル・トーメの「クリスマス・ソング」。
辛島文雄さんと峰厚介さんのデュオ。 しみじみとした情感があふれる素晴らしい演奏でした。

アンコール曲は、ポール・デスモンドのアルト・サックスでお馴染みの「テイク・ファイブ」。
あの独特な4分の5拍子のリズムが、帰りの阪急電車の中でもずうっと鳴り響いていました。

            *  *  *  *  *

音響効果の高い専用ホールで聴くジャズには、ジャズクラブでのライヴとは違った魅力が!
これだけの実力者が揃ったら尚更ですが、とりわけ辛島文雄さんの粒立ちのきれいなピアノ

演奏を聴きながらふと頭をよぎったのは、ジャズとサッカーは似ている部分が多いということ。
ジャズの本質であるインタープレイ、その場その場での対応力・創造性が問われるサッカー。

Hyogo_jazz

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京都市交響楽団 第574回定期演奏会

2013-12-01 19:26:11 | kyokyo

2013年11月30日(土) 14:30開演 @京都コンサートホール
指揮 : 広上 淳一 / 独奏 : エンリコ・ディンド(チェロ) / 京都市交響楽団

            *  *  *  *  *

● ショスタコーヴィチ : 祝典序曲 作品. 61
この曲は、ボリショイ劇場の依頼により、革命37周年記念コンサート用として書かれた曲。
後に、モスクワ五輪の公式テーマ音楽として使用されるなど、華やかな経歴を持っています。

オケの編成は、ポディウム席の後方に金管楽器のバンダを配するなど、豪華なスケール感。
この作曲家には珍しく単純明快。 壮麗であり力強く、いかにもオープニングに相応しい曲。

プレトークでは、この「明るさ」のことも話題に。 私は、主幹(管)のお考えに賛同します。
どうも「作為的な」明るさのような。 それも、もっと突き抜けた「開き直り」のようにも感じます。

            *  *  *  *  *

● ショスタコーヴィチ : チェロ協奏曲第2番 作品. 126
祝典序曲とは一変して、曲全体を内省的で陰鬱な曲想が支配する、捉えどころのない難曲。
プレトークでのお話によると、数あるチェロ協奏曲の中では「最高難易度」の曲であるとか。

冒頭、チェロが深沈とした旋律を奏でる。 すごい緊張感なのに、不思議と安らいだ気分。
次第に眠くなりますが、一転、オケとのスリリングな掛け合いに耳目が奪われてしまいます。

些かの気負いも感じさせず、余裕たっぷりに演奏されたディンドさん。 素晴らしいの一言!
高い技術力と深い精神性を要求される曲にもかかわらず、美しさを感じさせるチェロの音色。

            *  *  *  *  *

● シューマン : 交響曲第2番 ハ長調 作品. 61
ショスタコーヴィチの後のシューマン。 当然のことながら、落ち着いて安心して聴けます。
気のせいか、オーケストラも「水を得た魚」のように、伸び伸びとした躍動感が戻ってきた?

第2楽章での、思い切ったテンポの動かし方や、ニュアンスの付け方が印象に残りました。
この曲の白眉とも言われる第3楽章、私はどうも苦手。 何となく集中力を欠いてしまいます。

このところの大規模な編成に比べると、管楽器・打楽器も少なく、ややこじんまりとした感。
その分、すっきりとしたまとまりのあるサウンドが新鮮で心地よく、安定感も十分なステージ。

            *  *  *  *  *

広上さんの演奏後のトークも楽しみのひとつ。 今日は「八重の桜」と東北楽天イーグルス。
マエストロの京響と京都の街を愛して下さっている気持ちが、心から伝わってくるお話でした。

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