まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第664回定期演奏会

2022-02-21 18:53:31 | kyokyo
2022年2月18日(金)19:00 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : ガエタノ・デスピノーサ / 独奏 : 小林 海都(ピアノ) / 管弦楽 : 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ヴェルディ : 歌劇「運命の力」序曲
デスピノーサ氏は、イタリア生まれの若手世代の指揮者。 主にヨーロッパの歌劇場で、研鑚を積まれてきたようだ。
当初、指揮を予定されていた原田慶太楼氏が選曲されたものだろうが、デスピノーサ氏には得意なレパートリーのはず!

さすがにオペラ指揮者! オーケストラを歌わせることが巧みで、ドラマチックな演出効果。 華やかなオープニング。
豊かな弦楽合奏の響きの下、京響・管楽器セクションの妙技が冴える。 今夜の演奏会の盛会を確信させる出来映え。

● ラフマニノフ : パガニーニの主題による狂詩曲 作品43
この曲は、京響の名曲ライブシリーズのCDにも収録されています。 おそらく、お持ちになっている方も多いでしょう。
第527回の定期でのライヴ。 気合のこもった広上さんの唸り声でもお馴染み。 河村尚子さんの瑞々しいピアニズム。

それから十年余の歳月を経て、今回の定期。 京響もずい分、成熟した「大人のオーケストラ」になったなあという感想。
デスピノーサ&小林海都の両氏、直前にも協演の機会。 スリリングな展開の中にも、まだまだ余力?を感じさせる演奏。

● チャイコフスキー : 交響曲第5番 ホ短調 作品64
京響と第5番のシンフォニーは相性がよく、ラザレフ、アシュケナージの両巨匠の定期を始め、名演・熱演の数々。
今回も、昨年7月の原田慶太楼さん指揮の「新世界より」の好演もあり、大いに期待していたところ、無念の代役となり。

新進気鋭のデスピノーサ氏には失礼ながらも、「すでに、チケットも買ってるしなあ…」というのが正直な気持ちでした。
それが、なんと大当たり! イタリア人指揮者らしく、明るく開放的な響き。 かつ、洗練された美しさも感じさせる演奏。

いかにもロシア風といった地鳴りのする重低音や、民族的・土着的な熱狂を期待する向きには、若干物足りないかも?
京響も氏の要求に見事に応えた充実ぶり。 第2楽章の美しいホルン独奏など、聴かせどころは十分堪能できるものでした。

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指揮者、独奏者共に代役という難しい状況にありながらも、極寒の二月の「北山」を熱くするような演奏会になりました。
特に第5番の京響は、愛聴しているライヴCDのゲルギエフ氏に客演してもらいたい!と思わせるほどの充実ぶりでした。



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