まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第659回定期演奏会

2021-08-30 18:03:41 | kyokyo
2021年8月29日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : デイヴィッド・レイランド / 独奏 : ジャン・チャクムル(ピアノ)/ 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● モーツァルト : 交響曲第29番イ長調 K. 201
20番台の番号が付いた交響曲の中では、映画「アマデウス」で用いられた第25番と並んで、演奏機会の多い曲。
この曲が書かれたのは、彼が17歳の時だというから驚き。 日本の学制で言うと、まだ高校2年生。 早熟の天才。

モーツァルトの指揮者として定評があるレイランドさん。 細部へのこだわりや、行き届いた配慮を感じさせる演奏。
起伏のある微妙なニュアンスも巧みに表現。 指揮者からの高いレベルでの要求、指示にしっかり応えた京響も立派。

● モーツァルト : ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K. 595
最晩年、死の年に書かれた最後のピアノ協奏曲。 第20番以降、幾多の名作を世に出しても尽きることのない才能。
死の予感めいたことを指摘する人も少なくないが、透明感のある魅惑的な調べ、響きは最後を飾るに相応しいもの。

独奏のジャン・チャクムルさんは、クラシック界では珍しくトルコ出身で、将来を嘱望されている若手ピアニスト。
勝手な思い込みで、もっと民族色の強いエキゾチックな音色かなと思いきや、清潔感のある流麗なタッチが印象的。

本日の演奏会では、チャクムルさんが優勝した「浜松国際ピアノコンクール」で使用したピアノでの演奏とのこと。
相棒、もっと言うなら分身としての楽器への愛着、感謝の念が感じられて、大変好ましい。 演奏会への意気込みも。

● モーツァルト : 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K. 551
プレトークで、「交響曲の中に、オペラのドラマ性を感じて、楽しんで欲しい」と語っておられたレイランドさん。
演奏は、その言葉通りの躍動感、生気溢れるもの。 モーツァルトの作品で、これだけ興奮したのは初めてのこと。

これだけの演奏を聴かせてもらえるならば、第39番から始まる「三大交響曲」のプログラムも、絶対アリ!です。
レイランドさんの指揮姿もスタイリッシュで、とてもカッコいい! オーケストラとの連動性、機能性もバッチリ。

14日間の自主隔離期間という障壁にも拘わらず来日、そして日本デビュー。 充分なインパクトを残し、大盛会。
何より、日本デビューのパートナーが、我が京響だったことが嬉しい。 早速、客演指揮のオファー、殺到の予感。



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