まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

オーケストラ・ディスカバリー 2013 第3回 「和と洋」

2013-11-26 12:51:03 | kyokyo

2013年11月24日(日) 午後2時開演 @京都コンサートホール
オーケストラ・ディスカバリー 2013 ~こどものためのオーケストラ入門~

指揮 : 川瀬 賢太郎 / 管弦楽 : 京都市交響楽団
独奏 : 藤原 道山(尺八) / 東儀 秀樹(笙・ひちりき) / ナビゲーター : ロザン

            *  *  *  *  *

● 中山 晋平(宮川 彬良 編曲) : 砂山
「海は荒海、向こうは佐渡よ」。 詩人・北原白秋が書いた詞に、中山晋平が曲を付けました。
一流の文学者と音楽家の手による唱歌の数々は、日本の誇るべき文化遺産だと思います。

● 宮城 道雄(日下部 進治 編曲) : 春の海
ロザンのお二人の第一声が、「いやぁー、正月気分ですなぁー!」。 まさに一足早いお正月。
年始のTV番組のBGMで必ず流れる、お馴染みの名曲。 尺八の音色が清々しく響きます。

● 東儀 秀樹(日下部 進治 編曲) : 越天楽幻想曲
平安貴族を思わせる「衣冠束帯」の艶やかな装束で、東儀さん登場! 「何とか麻呂」みたい。
笙・ひちりきの独特の音色に魅了される一曲。 笙は携帯型のパイプオルガンのような楽器。

● モーツァルト : フルート協奏曲第1番 ト長調 K.313 から第1楽章
道山さん、紋付&袴の「正装」から現代的なフォーマルな洋装に着替えて、再びステージへ。
尺八でフルート協奏曲を演奏するという離れ業を披露。 これには、モーツァルトも驚いた!?

● 一ノ瀬 響(日下部 進治 編曲) : 琥珀の道
道山さんの学生時代の友人が、尺八のために作ってくれた曲。 オーケストラ用の編曲で。
尺八をフィーチュアした上質のフュージョンを聴くような感覚。 身体が自然にリズムを刻む。

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● 東儀 秀樹(山下 康介 編曲) : 蒼き海の道
唐招提寺の開祖・鑑真和上の苦難に満ちた渡航の道のりと、高く尊い志を表現したもの。
まさに「海のシルクロード」と呼ぶにふさわしいような、壮大なスケール感をもった曲です。

● プッチーニ(栗田 信生 編曲) : 歌劇「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」
フィギュア・スケートの荒川静香さんが、フリー演技の曲として採り上げたことでも有名な曲。
東儀さんのひちりきが、まるで主役のテノール歌手のように、朗々と高らかに歌い上げます。

● 外山 雄三 : バレエ組曲「幽玄」から「天人の踊り」
外山雄三さんは、京響第4代常任指揮者を務められた、私たちには馴染み深い音楽家です。
前半の優美なフルート(もちろん、清水さん!)と、後半の勇壮な打楽器との対比が面白い。

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● アンコール 一青 窈 : 「ハナミズキ」
最後にして、道山さんの尺八と東儀さんのひちりきがついに共演! 感動的なステージ!
古くから伝わる楽曲を大切に継承しつつ、新しい地平を開拓しようとする姿勢が素晴らしい。

Watoyou

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垣根涼介さん 「光秀の定理(レンマ)」を読んで

2013-11-18 17:35:20 | book

タイトルの「光秀」とは、日本史上最大のクーデターの首謀者、織田軍団の智将・明智光秀。
「レンマ」とは、サンスクリット語で「定理」を表す言葉。 賭けの「確率論」に絡む定理。

主要な登場人物は、美濃源氏の名族・明智家の再興を生涯の責務とする十兵衛(光秀)。
関東流れ者の食い詰め「兵法者」の新九郎。 辻博打で生計を立てる「僧侶くずれ」の愚息。

            *  *  *  *  *

伏せられた四つの椀のどれかに、1つだけ石が入れられている。 それを当てさせる辻博打。
この「四つの椀」の賭けに潜む定理が、ストーリー全般に渡る重要なモチーフになっています。

この定理は、織田軍による六角氏の長光寺城攻撃の際、光秀が応用し大成功を収めます。
それ以降、光秀は信長から抜擢につぐ抜擢を受け、「近畿管領」と呼ばれるほどの栄達へ。

            *  *  *  *  *

本書では、愛宕参籠から本能寺の変。 続く、天王山の戦いの場面が描かれていません。
終章では、変から十数年を経て、残された二人の友が光秀の心情・行為に思いを馳せます。

作者の視点は、信長との修復し難い確執・遺恨よりは、互いに認め合い理解し合える部分に。
光秀の盟友とも言える細川藤孝を、煮ても焼いても食えぬ「悪党」と断じたところも面白い。

Mitsuhide

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