Neurology 興味を持った「神経内科」論文

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多系統萎縮症の睡眠関連呼吸障害は約3割の症例で自然に軽減する

2017年04月06日 | 脊髄小脳変性症
多系統萎縮症(MSA)は高頻度に,睡眠時無呼吸症候群などの「睡眠関連呼吸障害(Sleep-related breathing disorders; SRBD)」を呈するが,その経時的な変化についてはほとんど分かっていなかった.新潟大学医歯学総合病院呼吸器内科と神経内科は,2001年から2015年までに経験したMSA症例のうち,複数回,SRBDに関する検討を行った症例を対象とし,その経時的変化と,SRBDの増悪を予見する因子について検討を行った.その結果をSleep Medicine誌に報告したのでご紹介したい.

本研究の対象は,いびきや喉頭喘鳴の精査のため,当科に入院したMSA症例のうち,持続的陽圧換気療法を未導入で,かつ2回以上ポリソムノグラフィー(PSG)を行った連続症例とした.初回および最終の無呼吸低呼吸指数(AHI)の変化により,増悪群と改善群に分類し,両群を比較し,SRBDの増悪を予見する因子を前方視的に検討した.

さて結果であるが,対象は24名(MSA-C 21名,MSA-P 3名)で,初回PSGまでの期間は3.1±1.7年であった.初回および最終のPSGの間隔は2.4±1.5年で,その間に2.5±0.6回のPSGが施行された.この間,PaO2と%VC(肺活量)は有意に低下し,AHIは19.4±22.8/hから34.4±30.1/hに増悪した(P=0.006)初回検査時は全例,閉塞型無呼吸であったが(図の●),経過中,3名(13%)が中枢型(図の○)に変化し,いずれの症例もAHIは増悪した(1例は急激に増悪した).また中枢型無呼吸への変化は,発症から3-4年という比較的早期でも認められた.

増悪群は17名(71%)で,無治療での改善例(改善群)が7名(29%)に認められた(体重の影響はなく,BMIが増加してもAHIが改善する症例があった).両群間の比較では,年齢,罹病期間,病型,初回検査時のBMI,疾患重症度(UMSARS),血液ガス,呼吸機能,PSG所見に差はなく,唯一,増悪群で発症から初回PSGを行うまでの期間が短かった(2.7±1.5年対4.2±1.7年;P=0.037)

結論として,(1)MSAに伴うSRBDは経時的に増悪するものの,約3割の症例では自然経過で改善しうること,(2)発症から初回PSGを行うまでの期間が短いこと,すなわち早期からいびき・喉頭喘鳴を呈する症例では,持続してSRBDの増悪が進行することを初めて明らかにした.

Ohshima Y, Nakayama H, Matsuyama N, Hokari S, Sakagami T, Sato T, Koya T, Takahashi T, Kikuchi T, Nishizawa M and Shimohata T. Natural course and potential prognostic factors for sleep-disordered breathing in multiple system atrophy. Sleep Med 34; 13-17, 2017.

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