Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

酸分解における貴腐とは

2012-07-24 | ワイン
日曜日は朝から山の上まで駆けた。パン屋が夏休みのため異なるルートを選んだのである。登り30分が目標であるが、既に駆け出しの急坂からそれが難しいのは分った。腕が振れるのでとても走る姿勢が良くなってきていると思うのだが、流石に急坂をその調子で走り抜くのは心肺が許さない。足には堪えなかったのはとてもよい傾向で、緑のベンチまで6000歩で通過所有時間が16分であるからまずまずで、その後若干辛く頂上では9000歩で37分であった。なによりも足が動いていることが我ながら驚異だ。

頂上で息を整えていると、昨日までドロミテに行っていた仲間の蛸入道の親爺が駆け上がってきた。偶然に会うのは二度目である。別の上り口から28分だったようだ。毎週走り続けていれば、こちらも数分の短縮は可能だろう。

土曜日は、2008年産のグランクリュワインを開けた。飲み頃を迎えている2008年産であるが、グランクリュも完全に開き切っている。今の時点で開き切っていない2008年産ワインはありえないが、グランクリュ以下のものでは完全に黄昏になっているものも少ないであろう。グランクリュにおいても春に飲んだビュルクリン・ヴォルフ醸造所のペッヒシュタインのような若々しくとも開いているものがあるなかで、さてレープホルツ醸造所のガンツホルンは如何だろう?

香りそのものからして可也熟れている感じは、その液の色合いからも一目瞭然である。そしてペパーミント系の味と中々の妙であるのだが、やはり完熟感は免れない。つまり飲み頃を迎えつつ、更に残糖の多さに気がつく。

本来ならばドイツで最も残糖を絞った醸造所であり、その中でも最も甘み要素の少ないガンツホルンなのだが、糖を感じるのである。当時の分析票を見ると、果実の糖比重値が92とこれは標準的であるが、酸が85Gに対して残糖値が88Gと思いがけなく高い。このバランスならばペッヒシュタインの方が遥かに辛口であろう。

さてここからは想像を働かしての分析であるが、亜硫酸濃度も若干高めのようで、糖の質について吟味しなければいけない。恐らくワイン酸の量が多いのだろうが、その分解されたもの以上に酸の減衰が早いので糖が突出することになったのであろう。考えられるのは貴腐の関与で、決して健康な実りの年でなかった2008年の果実の貴腐の関与は、その肌理の粗い酸の質にも関係しているようだ。

酸の量感は十分にあったのだがこうして落ち込みが激しいとなると、2008年産は早めに飲み干した方が良いと言うことになる。当初から癖のあるその酸に対しては二年後の熟成で飲み頃となるのは分っていたのだが、ここまで早く完熟するリースリングがあるとは思わなかった。

グローセスゲヴェックスの出来には、その酸の質と僅かな貴腐の影響が大きいことは最近認識しだしている。つまり、酸の分解と呼ばれる貴腐の発達時期とその摘み取り時期で、酸の質も決まり、最終的な瓶での熟成に影響を与えると言うものである。

グランクリュの産みの親ビュルクリン・ヴォルフ醸造所は、丁度天然酵母を準備する段階での貴腐の影響を受ける前のリンゴ酸のような激しい酸とその貴腐の影響を計算して収穫、そして醸造していることが明らかとなってきている。その影響は、瓶熟成での新鮮さを保ちつつ長持ちさせるためのノウハウの重大要素であるようで、こうしてガンツホルンとペッヒシュタインを比較するとき、二年から五年で終わるワインと五年から二十年と新鮮さが保たれるワインではその価値が大分異なる。割高のリースリングと格安のリースリングの差異となる。

しかしながら食前にサラダとインゲンとニンジンの煮野菜サラダにザウマーゲンパイ、メインにグリーンペッパー入りミニザウマーゲンの食事に、これが合わないわけがないことは言うまでもない。



参照:
そう言うことなのである 2011-11-21 | 暦
重くなく軽やかにいきたい 2012-07-04 | 試飲百景
エコノミラートとは農業顧問官 2012-05-25 | ワイン
アルコールの乳酸への影響 2012-01-24 | 生活

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