Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

三十五年前からの使者

2005-09-11 | 歴史・時事
選挙戦たけなわである。後一週間で決まるが、先週のデュエル以降のSPDの回復傾向が堅調である。殆んど競馬のような、最終コーナーの鞭が入った。

メルケル女史によって、保守連合の大蔵大臣に指名されたキルヒホッフ教授の税制大改革が大きな影を落としている。この一律25%の所得税案は、一切の補助金打ち切りへの好印象に関わらず、これがボディーブローのように堪えて来ている。自らが放ったパンチでスリップした挙句に、敵に背中を見せているような按配になってしまった。

簡素化した税システムはそれ自体アカデミックな感じで美しく光り輝くが、誰も政治にそのような理想は求めていない。僅か三分の一の支持で、その他は不支持らしい。

氏の書籍を紐解く余裕も気も無いが、これも現在の7%の付加価値税から15%に上がるのだろうか。元々買わなければ関係なく、法人が業務資料として購入すれば付加価値税は返還されるから関係ないだろう。1943年生まれのカトリック教徒で裁判官の子息である。氏自身も憲法裁判官となるなどして、ハイデルベルク大学における税法の現職教授である。

所謂、ネオリベラリストと呼ばれるが、氏が三十五年ほど前の学徒の時分は大抵の人間は同じ様な考えを持っていたのではないだろうか。その学究の成果を今、連邦政府で実験しようと試みているらしい。

「政府は、伝統的に内外から自由を保障して来たが、この権力が拡大して経済的に力をつけ、制御出来ないほどの権利を持つとき、個人の自由を侵し始める。だからこそ、特に議会制民主主義の形態や機能を変えていかなければいけない。現代の我々は、こうして、世界に開かた欧州連合の中での政府にも、政治的文化的な拠所を見つけ、自由の恩恵を強く自覚出来る。自由が最終的に失われる事の無い様に、自由主義政府や社会が請負政府の網の目に埋没してしまわない事が肝要である。」

このような些か埃のかぶった古典的イデオロギーが、現在の有権者を魅了する素地は全くない。序でながら、メルケル女史が、家庭・子育て問題で、この教授の四人娘とその子育てを滔滔と語ったが、TVを観ていた何人がこのような超一流のドイツ人家庭と自己を同一視出来る事だろう。そのような人がいるなら一度、その家庭を訪問してみたいものである。未だに人口増加と税収自然増加を見せかけた、お粗末な人選と空虚な政策に、女史への失望感は大きいであろう。

結果はまだ判らないが、CDU&CSUとFDPで過半数を取れないとなると、大連合案が出て来る。これも烏合の集となり評判は良くないので、ベルリン州モデルのような左翼連合も考えられる。これもなかなか協議が進まないだろうが、こうなると東西ドイツの思想面での本当の合併と言うことになるかもしれない。



参照:ニューオリンズを聞いたボブ [歴史・時事] / 2005-09-06
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2 コメント

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自民大勝 (matsubara)
2005-09-11 22:44:56
私のblogに有益なコメントありがとうございました。

日本の選挙は今日終わりましたが、そちらではどの程度伝えられているのでしょうか。

東欧旅行中CNNニュースでは殆んど日本は無視という感じでしたが・・・郵政民営化はとっくにドイツではすんでいるらしいので、ニュースにもならないのでしょうか。
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自由主義経済派、小泉に追い風 (pfaelzerwein)
2005-09-12 04:24:45
事実関係は、忍者刺客女等全て詳しく伝えられていますが、改めて書くほどのものは特にありません。



民営化の進度も場合に依るので一概に言えませんが、郵便貯金額が違いますからね。



「自由主義経済派、小泉に追い風」となっております。



しかし、詳しい結果分析やその他はこれからでしょうか。
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