Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

役立たずの旧ヨーロッパ

2007-03-21 | 雑感
ミサイル防御網構築問題は、ベルリンの最も大きな政治課題の一つとなった。外相シュタインマイヤーがワシントンにてライス女史に対して、欧州分断への試みとして警告を発したのは当然であるが、防衛を建前とする欧州の新たな軍拡と定義してこれを否定した意味は大きい。

前者においては、2003年にラムスフェルド米国防相が、米国が強行したイラク派兵を否定した欧州の盟主を評した以下の発言に読み取れる、旧ヨーロッパを米国追従のポーランドを代表とする新ヨーロッパに対照させた概念が真意とされる:

― You're thinking of Europe as Germany and France. I don't. I think that's old Europe. ―

この定義自体は、マルクスの共産党宣言で弾劾される旧社会を指すようだが、東西欧州の冷戦下における地政的区分けに、反対に英国を含む中欧の盟主を浮き上がらせる。大西洋を挟んだ新旧大陸の対峙の関係でもある。

また、「防衛の名の下の軍拡」に対する社会民主党のアレルギーと反応は、相変わらず些か観念的であまりにも正直過ぎるともみられる。しかし、これもこの政党の持ち味であり、メルケル首相のポーランド訪問での成果を踏まえた政策には違いない。

一方、キリスト教民主同盟の対応は、NATOとEUさらにロシアとの関係を抑えていく事が政策の軸となっている。外交担当の、名門ワイン醸造所ファン・ブール、もしくはミュンヘンの指揮者のツ・グッテンブルク家のカール・テオドールは、「防衛システムはロシアと共同で構築する事が出来たのに、軍拡として扱われるのは不幸なこと」として、「当面の議論では形容動詞的に軍縮が論議されるべき」と正論を述べている。

しかし、役に立たない防衛システムを売りつける軍需産業の詐欺の手口のように見られるミサイル防御構想に、北京が衛星破壊の実験を行い、各国が抑止核の傘を離れて戦略核保持への意向を見せる中で、核大国の抑止核への信頼は徐々に崩れてきている。

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