Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

シスマの危機に脅える教会

2009-02-05 | 歴史・時事
「ヴァチカンの伝統派問題」は収まらない。メルケル首相が、「明白にさせない限りこのままではおかない」とベネディクト十六世に、「ドイツ・カトリック教会からの声」を代弁する形で言明を求めた。

なるほどネットで見られる限り、今回の破門解除で最も話題となったリチャード・ウィリアムソンの発言は見逃すにはあまりにも大胆で横着過ぎて、修正主義者と呼ばれてもおかしくはない。その中に映画「サウンドオブミュージック」批判まであって保守派の琴線に触れるようなものが混じるのが超保守派の特徴であろうか。

そしてこれらの考え方は、破門解除された1988年にルフェーブルの手下とされる超保守派グループ「ピウス十世司教団」に共通している。それは、ピウス十一世が1928年に閉め出した改宗ユダヤ人のための一派「アミチ・イスラエル」、要するにユダヤ民族との親交関係の破棄にも表れている考え方で、第三帝国を準備していたと見てもおかしくはない。

今でもクリスタルナハトと呼ばれる1938年11月に教会は一日中鐘を打ち鳴らすべきだった言われるが、結局は沈黙を守り通して1939年にそのピウス十一世を継いだ十二世が、1942年のクリスマスにラジオにて「虐殺を警告」したときには、既に時遅しだったのである。その後、ローマ周辺のユダヤ人をあらゆる手を企ててSSから保護したとしても一体なにになったのだろうか?

ピウス十二世は、ヒットラーが悪魔につかれているとしてエクソシストを派遣して追い払おうとしたようだが、結局果せなかったとされる。

こうして、教会への信頼は現在も続く情報の開示の不十分さを伴って薄らいでいるとされるが、第2バチカン公会議における現代化への反動勢力としてピウス十世の会FSSPXがルフェーブル司教によって設立され、そのようにして求められた教会の普遍性が皮肉にも今日こうして危機を導いている。

教皇としては、超保守派の復帰をもってポストモダーンな社会に対応して行くつもりであったのかもしれないが、結果的には自らの地元であるバイエルンのドイツ連邦の、またユダヤ人団体の政治的な干渉を直裁に被る事になり、本日のラジオが伝えるところ、「リチャード・ウィリアムソンの真意を質す」どころか、「破門の撤回を再撤回するだけ」では事が済みそうでなくなって来ている。

今後どのような処置をヴァチカンが講じても、レーゲンスブルク騒動の時以上に、教会内でのまた社会での影響は大きいと考えられる。そしてその先に見えてくるのは、ヴァチカンが最も恐れている教会分裂という事態であり、もし再撤回をしない限りユダヤ人団体の声を背後にドイツ連邦政府は干渉し続けることになり、万が一ヴァチカンが明白な答えを出さない限り、「伝統的な教会税の方法からライシテへと進むのも一つの方法であるかもしれない」とすら考えさせられるのである。



参照:
Vatikan fordert Williamson zum Widerruf auf (tagesschau.de)
Deutsche Bischöfe: Kritik am Papst - und an Merkel (BR-online)
RICHARD WILLIAMSON (sueddeutsche.de)
Vatikan weist Merkels Kritik zurück (FAZ)
Rechtsextremisten feiern Holocaust-Leugner Williamson (Spiegel)
聖ピオ十世会(SSPX)カンザス・シティーで司祭叙階式
聖ピオ十世会総長フェレー司教様インタビュー (CREDIDIMUS CARITATI)
主日の静けさをブチ破るスマッシュヒットかも (Tant Pis!Tant Mieux!)
ラテン語ミサ典書が復活 保守色を深めるローマ法王 (叡智の禁書図書館)
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