Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

氷葡萄酒の名匠のお屠蘇

2015-01-03 | ワイン
ワインについても書き忘れてはいけない。デーノッフ醸造所のフェルゼンベルク2013年グローセスゲヴェックスである。昨年の夏初めて訪れたときに試飲して残っているワインを予約したのであった。このワインのためにフランスに行って甲殻類を購入したようなものである。なぜ甲殻類なのか?これは説明が難しいが、試飲した時に火山性のそのミネラルからこれしかないと感じたからである。ある意味強いミネラルなのだ。そうしたものに豚肉の繊細やドイツ料理の素材の味は合わない。

だから、強い味の甲殻類であり、日本料理なのである。それは正解だった - そして今年は午前中に飲み倒れることはなくて、飽く迄も夕食にメインをもってきたのである。流石につけ醤油にどうかとは言えないが、少なくとも煮物ぐらいには堪えない。強い味筋なのである。これは言い換えると、味の複雑さには限界があると言ってもよいだろう。勿論この醸造所にはスレート土壌のリースリングもあるので、そちらの方はもう繊細であるに違いない。しかし傾向としては甘口の醸造所が辛口を上手に造っているという傾向は否めず、味の傾向ものっぺりとしたラインヘッセンのケラー醸造所の「のっぺらぼう」などとも共通する。要するに複雑性には欠けるきらいはある。但し質の高さはもしかするとライヴァルのシェレーバー醸造所よりも高いぐらいで、丁寧な仕事は特筆されるだろう。酸は綺麗に分解されているが、貴腐の存在はあまり感じさせないのは余程の手間をかけているに違いないのである。それにしても2013年の特徴とは言いながらこれほどはやくから楽しめるグローセスゲヴェックスには驚く。ある意味ここのリースリングはあまりもたないか、あまり瓶熟成をしないのかもしれない。これはいろいろと試してみなければ評価は下せないだろう。訪問した時の親爺さんの顔を思い出すと、「現在最高のアイスヴァイン造りの名匠」は、あの真っ黒の搾り汁の貴腐の使い方を熟知しているに違いない。蜂蜜味を出さないで辛口を醸造しているとすれば恐るべき業である。

食事で面白かったのは、最新IHジャーでの寿司米も満足だったが、安売りで見つけたアヴォガドが興味深い色を醸し出したことであろう。そもそもキャリフォルニア出身の素材が大阪寿司で作られた記憶がない。今回二枚おろしのイワシの塩漬け二匹を素材にして箱寿司を企てたが、それを作りながらやはり寿司の原点は押し寿司だと再認識した。そもそもは麹を使った魚の保存法であったから、滋賀県の鮎寿司のようなものである。その流れを汲んでいるのは間違いなくこれであろう。和食文化の広報なんだかんだというならこのスローフードの時代には何はさておき鮎寿司であろう。

ただしエビの方はワインに浸しておいたのだが海水が強かったのか、グリルすると塩気が強すぎた。保存のために海水以上の塩水を使ったのかもしれない。それゆえかお頭付尻尾付のそれも全く気にならなく平らげた。貝の方もどれということも無く食して、流石にフランスの食生活はこんなに内地でも奥が深いと思わせた。これぐらいでないとワインにも力が入らないのである。もう一品はニシンの煮凝りで、これは毎年のごとく食すが、結構上手に作ってあって、身の量も十分である。どのようなように食しても魚を楽しめる。

春になれば、ナーヘの谷から試飲会への招待状が届くはずだ。間違いなくグーツリースリングにも期待できる。2014年は2013年ほどには魅力はないかもしれないが、それでも楽しみである。この醸造所のリースリングは割安感がとても強くて、そこまで車を走らせて買い付けても決して損はない醸造所である。それにしても十分残してある糖を残糖とは感じさせない腕には脱帽である。



参照:
オフラインの年末年始 2015-01-06 | 暦
雨のナーヘの谷を回遊 2014-09-14 | 試飲百景

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