Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

市民の意識環境を明文化

2012-01-25 | マスメディア批評
東京電力福島原子力発電所における事故調査の中間報告書へ意見するために、独第一・第二公共放送のアーカイヴから選んだ映像や音声を時系列上に並べた。

個人的に重要な情報源である南ドイツ放送文化波ラジオの定時ニュースのトップラインであり続けたフクシマ報道に関しては残念ながらそこには含めれていないが、寧ろここでは専門家の見解と事故対策の裏側を考察することが主目的なので速報自体はそれほど重要ではないだろう。

大まかにその専門家の見解と状況分析を時系列に並べて観察していくと、重要な観測は、第一号機が爆発したことから大々的に報じられていて第三号機の爆発によって避難の必要性や汚染への配慮に関しての予測が閉じられたこととしてよいだろう。

当然のことながら、それ以後も3月13日以降の核反応炉の更なる水素爆発の危険性やそれどころか水蒸気爆発による圧力容器の完全崩壊の最悪のシナリオは報じられていたのだが、その時点で15日までの福島の避難民の被曝予測は既に大部分終了していた。

そしてその当時も不明であった核反応炉内の燃料棒の溶解も溶解した燃料の場所も未だに一切不明であるばかりか、格納容器から放射性物質が大量に放出された経路も定かではないのである。要するに、事故対策の二大支柱であるオンサイトの破局的な状況を食い止めることと、オフサイトの市民への被曝を最小に収めることの二点においては、得られる情報の正確さや量の問題ではなくて、確率論的見地に基づいた予防的な事故処置でしかないことを再確認するのである。

これを平易な言葉で表わすと、3月11日夕刻において少なくともそれから24時間以内の、第一号機爆発の3月12日中に出ているオフサイトにおける被害状況は予想出来たのである ― 現実には3月14日においても発電所員の避難の必要性が認識される第二号機の危機的状況となる。そして、その予想が八時間の時差をもってドイツ連邦共和国では情報として一般市民に共有されていたことを示すことで、中間報告に示されている視点の不合理性を指摘することが出来る。

要するに、その不合理性こそが、不思議な日本政府の対応や報道、そこの世論の歪に感じたドイツの市民感情を、その意識環境を明文化することで再現できるに違いない。



参照:
とんでもない社会の反撃 2012-01-23 | マスメディア批評
セシウムも降り注ぐマイホーム 2012-01-07 | アウトドーア・環境
東電は真実を隠している 2011-03-12 | アウトドーア・環境
東京への旅行を控えるように 2011-03-12 | マスメディア批評
福島の最終作戦に固唾を呑む 2011-03-12 | アウトドーア・環境
輪番停電という外出禁止令演習 2011-03-13 | マスメディア批評

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アルコールの乳酸への影響 | トップ | 厳しい行間を読み取る作業 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿